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おすすめマンガ感想③恋は雨上がりのように

年上の男性に思いを寄せる、一途な女子高生の姿を描いた恋愛漫画「恋は雨上がりのように」(以下「恋雨」)。

2018年にはアニメ化、映画化もされています。原作はすでに完結していますが、未だにファンの多い人気作品です。そして私もそんなファンの一人。雨の降る日は、この漫画をよく読み返しています。

この記事では恋雨のあらすじや面白さをどどどんと語ります!

あらすじ

感情表現が苦手で一見クールな女子高生の橘あきら。彼女はバイト先の店長・近藤にひそかな恋心を寄せていた。近藤は自他共に認める「冴えないおっさん」。45歳・バツイチ子持ち、髪はボサボサでズボンのチャックは開きっぱなし。あきらはそんな彼の魅力を「自分だけのもの」として、思いを募らせていた。

一言で言うと「17歳のクールな女子高生が、バイト先の45歳の冴えないおっさんに恋する話」です。

恋雨の面白さ①今までにない”男性向け”恋愛漫画

実は恋雨が連載していたのは『ビッグコミックスピリッツ』(2014以前は『月刊!スピリッツ』)という青年向け漫画雑誌。

あらすじだけ聞くと「女性向けの純愛漫画」に受け取れますが、ターゲットは(恐らく)青年男性です。したがって一般的な少女・女性恋愛漫画とは違った工夫があります。その最たる点がモノローグです。

少女漫画や女性の漫画には、ほとんどの作品に共通して「モノローグ」があります。

(↑こいういうの)

「私、○○!どこにでもいる普通の中学2年生!」みたいな主人公の心の内を表すアレですね。

ここからは個人的な考えなのですが、モノローグの役割=「読み手と主人公を同化させること」だと思っています。本来主人公以外が知り得ない主人公の思考を読者だけは知ることができる。結果主人公の思考を読者が共有することで、読者が主人公の視点になれる(=同化)ということです。

少女漫画や女性向け漫画においては、この同化によって主人公の心情の変化(恋の楽しさや切なさ)を追体験するわけなので、ほとんどの漫画はモノローグが多用されていると思います。

ただ、恋雨はモノローグがほとんどありません。ポツリポツリとポエムのようなセリフはあるものの、主人公の気持ちを大々的に表現するモノローグは著しく少ないです。

これは恐らく読者が青年男性であり、あくまで読者は読者、主人公は主人公という別の存在だから。第三者として物語を見守ることができる、というのが「恋愛漫画」としての恋雨の面白さであり、他にはない魅力です。

恋雨の面白さ②恋愛要素以外の取り入れ方

実は主人公の橘あきらは陸上部。走ることが大好きで、大会でも記録を更新するほどの実力の持ち主でしたが、ある理由から、走ることをやめてしまいました。

そして店長・近藤も、過去にある夢を諦めた経験の持ち主。人生の雨宿りをする二人が、徐々に前に進む姿も見ていて心を打つものがあります。


雨宿りをする2人が、前に進む物語

世界と同じように、人の心にも天気があります。毎日快晴なら良いけれど、ときには雨が降ったり、雪が降ったりすることもありますよね。

人生には、少しの雨宿りも必要です。

恋雨はただの恋愛漫画ではありません。過去に何かを諦めた人、後悔がある人にこそよんでほしい作品です。

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