業務改善:何故本質に触れたくないのか[20240802]
今週は、業務改善をテーマに「軽目」の変更について話している。
目の前にある多くの問題点は「氷山の一角」であり、目に見えていない部分の方が大きくそちらを解決しない限り本当の「カイゼン」は出来ない。
しかし、多くの「カイゼン」担当者は「問題の根本は何であるかに迫りたくないだけ」のように見える。
それは何故か?
答えから言うと面倒だからであろう。
仕事をさぼっている訳ではない。
本質に迫ることは大事だし、本質が海中に沈んでいて普通にしていたら見えないことも担当者は知っている。
だからこそコンサルを雇って詳らかにするのだと言うのであれば私たちも喜んで加勢するのだが、少し違うようだ。
本質に迫っても、その部分は「カイゼン」出来ないだろうと考えている。
だから、本質ではなく目に見える部分の「カイゼン」について知恵を貸してほしいと言うのである。
本質を外して何かをするのは、時間もお金も無駄になるだけなのでお勧めしないどころか、止めた方が良い。
課題なのだか愚痴なのだか良く分からないことを解決するにはエコノミクスが成立しない。
ちなみに、エコノミクスが成立しない最大の原因は「○○人減らすことが出来ます」と言うのが主訴になるからである。
人は減らない。
その仕事が機械化されて合理化されても、人は減らないのである。
一般的に「人が足りない」と社内の色々なところから聞こえてくるのに「カイゼンに成功したので○○人を引き取ってください」とアナウンスした瞬間に「聞いてないフリ」で知らん顔になるのは何故だろうか。
ツールなどで機械化出来る仕事を担当していた作業者は、何処に行っても不要ということだ。
リスキリングが流行っている(?)と言われているが、このレイヤーにリスキリング教育を施す企業は殆ど聞かない。
いやはや、本当に悲しい日本企業の実態だと嘆いてしまうのは私だけだろうか。
日本の労働生産性について説明が必要だろう。OECDに加盟する38ヶ国中、30位にランキングされている。(2023年12月22日発表資料から)
Copilotにカイゼンの特徴を尋ねてみた。
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全員参加:現場の作業者一人ひとりが知恵と創意工夫を出しながら行います。
継続的な改善:一度の改善で終わるのではなく、常により良い状態を目指して改善を続けます。
問題の認識と解決:現状に満足せず、問題を見つけ出し、解決策を考え実行します
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これらは、トヨタ自動車の「カイゼン」を意識して回答してきたのだと理解できる。
だからこそPDCAサイクルが重要であり、たゆまぬ努力が必要なのである。
もし、こういうPDCAサイクルを上手く回すために組織を巻き込み体制作りをするためのコンサルを雇うなら「大正解」だ。
しかし、実際に「カイゼン」現場で仕事をしたコンサルから恐ろしい話を聞いた。
「現場は『変えたくない』の一点張りで『ヒトの仕事に口を挟むな』と言われる始末でして任期半ばだったのですが、辞退しました」
彼は、変更管理(チェンジマネジメント)が得意ではなかったことも手伝って八方塞がりになったのだろう。
それにしても、コンサルが請負った仕事を辞退するとはよほどの反発があったのだろう。
話を戻そう。
「問題の根本は何であるかに迫りたくないだけ」なのは何故か?
実は、面倒でも、殆どの担当者は「本質に迫る努力」は、しているように見える。
しかし断念するのだ。
先ほどの例のように「現場があまりにも頑なすぎる」「経営の方針が出されていない」とか「カイゼンチームがあまりも非力」といったことが原因だろう。
結局、経営トップが現状を理解出来ていないということだろうか。
先日、某企業の管理職研修で「三現主義」について話をした。
経営者が“現場”“現物”“現実”を理解していないのでは、本気で企業成長など有り得ないと思う。
大変残念なことに、こういう経営に限って私たちのような外部からの意見に耳を貸さないというのも特徴である。
合同会社タッチコア 小西一有
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