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奄美大島の美味しいもの:長命草のパスタと淡いピンクのバンシロウ

25日にアラセツという行事が行われた奄美大島各地。
既にこの行事を継承していない集落も多く、この伝統行事を見ることができた人は幸運と言えるかも。

龍郷町の行事が最も知られているけれども、ここ宇検村でも、夜通し踊りあかす集落がある。
豊年祭が終わって一息かと思えば、まだまだ続く行事。新築のお宅やお祝い事のあった家々を巡るヤーマワリという風習が残るエリアもあったりする。
そして宇検村のさきばる地区ではシバサシというこれまた伝統行事がある。

いろいろ沖縄と共通点があるのは、やはり統治されていた歴史があるからなのか。(気になる方はグーグルさんへお尋ねを)

この期間、旧盆中は、ご先祖様と共に、無縁さんや悪霊が一緒に降りてくるそうで。(まぎれもない呪術廻戦の世界)
そうそう、昼の長さと夜の長さが一緒になる時は色々入って来るらしい。(君の名は。の世界)

家々の軒先に突き刺された青々としたススキの葉(穂ではない)を見つけたら「悪霊払い」のサイン。

観光客の皆様、それを見つけても、ゆめゆめ触れられませぬように。
それは《五条先生の「瞳」と同じくらい大切!》くらいに捉えておいて。(相変わらず例えが下手)

そんなスピリチュアルな伝統がまだまだ残る奄美大島。の、中の、宇検村。
最近では、毎日決まって午後に突然スコールがやってくる。
どんなに朝がお天気でも、昼過ぎにはザアアアアどころか、ドドドドという音と共に視界が真っ白に。

《リメンバーミ~もぉすぐ~通りを、スコールがかけてくる、じーこく~♪≫
と、唄わすにはいられない。(この曲が何か解ったら、そこそこの年長者)

いや、もう、スコールというより嵐。
一瞬でびしょぬれ。車の運転など怖くてできない。

そして数十分で、からりと晴れる。
その後には、大抵、巨大な虹が、広大な自然、海や山を背景に姿を見せる。

その虹の大きさ、幅はとてつもない大きさ。
時には、二重に重なるダブルレインボーも。
車で暴走していたら、絶対に気づけない。

巨大な虹は、時には山から山に。時には海から海に。時には海から山に。
見事な半円形を描く虹。

それが毎日普通すぎて、ひとりとして感動していない、スピリチュアル村の人々。その中で、口を開けて感動している新参者。

さて、そんな村にひっそりと生えている、どうみても雑草にしか見えない、長命草というものをご存じだろうか。別名「ボタンボウフウ」。

いかにも長生きしそうな名前の草。「一株食べると一日長生き」と言われている。栄養価が高く、パワーベジタブルともいえるもの。有名なのは沖縄の与那国のものらしいけれど、ここ宇検村にも普通に生えている。

どう見ても雑草に見えるのだが。

「これ食べられるよ」と言われて躊躇する心の声

多分なかなかの効能があるはずなのだろうけど、誰も調べたわけではなく、ただこちらの人は昔から経験則で身体によいと感じ普通に食べていた模様。だからこんなに長生で元気なのか。

昔の人は根こそぎ取ったりせず、ちゃんと次に育つ分の根っこを置いていたらしいのに、身体に良いと聞いた新参者たちが我も我もと引っこ抜きすぎたせいで一時期乱獲され、すっかり姿が見えなくなっていたそう。

この長命草、ジェノベーゼ(パセリ、バジル、松の実などを粉砕攪拌して、ガーリック入れてオリーブオイルで和えたソース?)のようにパスタソースにして食すとなかなか美味しい。
ここでも家庭料理としてもよく食卓にのぼるそう。
(そう聞いても絶対作らない人)

久々に屋鈍まで赴いた日、必ず立ち寄る「屋鈍カフェ」。
そのパスタがランチメニューにあったので、嬉しくなって頼んでしまった。
(タイトル写真)

身体に良さそうなお味で、添えてあった、ローズマリーが香るポテトがまた美味しい。お塩加減は人それぞれなので、物足りなければ天然塩をお願いして欲しい。お塩の味自体が美味しいので。

調味料ひとつひとつにこだわって体にいいものを提供するオーナー。
紅茶も無農薬のものをオーダー。
本当はお菓子作りの方が好きらしいけれど……。

〆の甘いお菓子と無農薬紅茶:
Yadon Cafe 1-1(いちのいち):(電話)090-4243-3298
お休み不定期。特に平日訪問の際は必ず事前にお電話を。

隣には一棟貸しの宿もあって「何もせずにゆっくりしたい」人向きの場所。
心か疲れてきた時、ここに友人と泊まったりしている。

都会の垢にまみれた心、疲れた心を癒す。ここで海とアダンの林とヤドカリを見ながら、ぼおっとしながらハンモックで揺れれば、のんびりした時が流れる。

夜には、店舗の外でバーべーキューしたり。
満天の星空をハンモックに揺られて眺めたり。(ハブとヤドカリ注意)

年に一度、決まった頃にやって来るリピーターが多い宿。
皆、ここの「何もないこと」を楽しみに来る。

集落は夜8時過ぎればもうひっそりしているので、飲んで大騒ぎするタイプの人はどうかご遠慮くださいませ。

急に移住を決心したり、別荘を買って何か月も放置するのは、個人的にはお勧めしないので、田舎暮らしを垣間見たいのならば、暮らすように長期滞在できるこういった場所で泊まってみるのも良いかも。

集落に暮らすには、そこに暮らす人とのつながりが最も大切。
目に見えないルールだらけ。
集落によっては、伝統行事の日に家にいない、参加しないなんてあり得ないレベル。

ここが屋久島のように、人がいつもいない別荘地だらけにはなって欲しくないなと切に願うこの頃。

このお宿、長期バケーションレンタルもしていきたいとのことだったので、これからはそんなお客さんも出てくるのかもしれない。

ただし、Wifiはないので持っていきましょうね。ラジオも……入らないしね。
山を越えたら瀬戸内、けれどここから先の山道は危険なので現在通行止。
イノシシも出るしね。ヤギも走るよ。夜はハブもいっぱいよ。

観光業目線では通行可能となることが待たれる道路。
でも、そう簡単には作れない道路だという。残念過ぎる大人の事情というのが、私にはよくわかりませんが。


帰りぎわ、ふと店の中で目に留まったサンキャッチャー。
売り物だという。
屋鈍の光を沢山浴びたようなので、お土産に買って帰ることに。

同じ宇検村の中ではあるけれど、車で40分はかかる距離にある店舗。
よくよく聞いたら、これを作ったのは私が暮らす集落の人。

遠く旅をして、元いた場所に戻って来たのね。戻って来たかったのね。

戻る40分の道のりの中、途中の集落で農家の無農薬のレモンをいただいた。
ご近所さんからは、ピンクのバンシロウ(別名、グァバ)を。
隣の集落からは「庭に生えていた島バナナ」のもぎたてを。
とにかく、食べるものを頂く日々。
よほど、「あいつはいつも飢えている」という噂が広まっているのか。

夕食後、自宅でもぎたてバンシロウを並べながら窓の外を見ると、海の上の夜空には上から下にまっすぐ、星の列が見えた。

虹と同様に、とにかく、ひとつひとつの光が大きい。
(ハブが怖いので、外には出られないけど)

ピンクのバンシロウ。
頬張るとあっさりした甘味が口の中に広がる。
種の存在感が半端ないので、好き嫌いがはっきり分かれる味。

大したことは起こらない毎日。
けれど、小さな幸せが幾つも転がっている。
それを、見ようとさえすれば。

嫌なことや残念なことは、何処にでもある。
けれど、まだここにいても良いのかな?と思える日々。
集落の人たちと笑いあう日々。


翌朝、自宅のカーテンレールで揺れるサンキャッチャー。
カーテンを開けると、部屋中に虹色の光が揺らめいた。

悪霊退散?

部屋中、朝日を浴びて、キラキラ

さて、今日一日、何から始めようか。

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