見出し画像

「Dr.Bala(ドクター・バラー)」を観た

「自分がこれまでやって来たことは何なのか。今からできることは何なのか。」

スクリーンを観ている。映画に引き込まれている。
映画の熱量を感じながら、アタマの中の冷静な部分を自分自身への問いがぐるぐる廻る。不思議な感覚だった。
その自分自身への問いは、自分を責めているわけではない。責められている気持ちでもないし、後悔しているわけでもない。
素直な自分自身の振り返りであり、自分自身への問いだ。

5月中旬の週末ハーフマラソン出場のため神戸から東京乗り換えで長野県の軽井沢まで行った。そして、帰りも東京経由。しかし、まっすぐに神戸に帰るのではなく東中野へ向かった。映画を観るために。

学生時代に中野に住んでいたけど、東中野に下車することはあまりなかった。。。

観た映画は「Dr.Bala(ドクター・バラー)」。

毎年7日間、東南アジアで医療ボランティアの活動を続け、現地の医療を変えた大村和弘医師のドキュメンタリー映画だ。
「バラ―」とはビルマ語で「力持ち」を意味する。
大村医師は現地で「自分はバラ―です!」と自己紹介し、実際に「バラ―先生」と呼ばれていた。

東南アジアを舞台にした医療系映画。という角度でこの映画を知ってしまったので、
「汗と涙と愛がうねった感動の物語だな。泣かせに来るのかも」
と勝手に思い込んでいた。

しかし、その思い込みは軽く裏切られた。この映画に「説教臭さ」はない。さらには観る人の気持ちを「上げたり下げたり」、「泣かせに入ったり」という細工はなかったから。

映画の中で描かれているのは、大村医師を中心とした日本人(大村医師に影響を与えた人、与えられた人などなど)、そして、現地の人たちのリアルな姿だった。
現場で起こっている事実が粛々と観ている側に浴びせられるのだ。ガンガンくる迫力とも違う。まさに粛々と。ある意味「さわやか」とも言える濃度である(この濃度がこの作品らしいリアルにつながっているかもしれない)。

大村医師が望んでいるのは
「現地の医師が自国の患者を治療できるように、彼ら、彼女らに技術と誇りを手渡すこと」
日本人医師である自分が現地患者を次々に治療してくスタイルではない。
(この自走を促す姿勢は、会社員であり中小企業診断士でもある僕自身にとても共感というか納得できるスタイルだ)

映画の中で大村医師が
「あー、今年もご褒美終わっちゃったなー。また1年頑張らないと。」
というシーンがある。そこで、ハッと気づく。そう、大村医師は東南アジア地域で転々と医療活動をしているのではなく、毎年7日間の医療ボランティアなのだ。通常は日本で医師をされている。

そして、ちょっと冷静にスクリーンを観ながら考えるのだ

「自分がこれまでやって来たことは何なのか。今からできることは何なのか。」

と。
そんな、自分を振り返ることをさせてくれる作品だった。

GWの東京・ポレポレ東中野で上映が始まった「Dr.Bala(ドクター・バラー)」。6月には大阪(第七藝術劇場)、名古屋(名古屋シネマテーク)の上映が決定している。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?