鬼滅の刃

診断士的?アニメの人気要素分析

こんにちは中小企業診断士の廣瀬達也です。

ときおり爆発的に人気となるアニメがありますね。とがった人気作品は常にいろいろあると思いますが、時に私のようなオジサンにも伝わるほどの認知度を高める作品も生まれます。近年で長期的な人気を維持しているのは「ワンピース」あたりでしょうか。令和に入り確実に認知度高めているのは、昨年アニメ化、そして今年映画化という、王道をばく進中の「鬼滅の刃」ですね。

人気となる商品にはいろいろ共通の要素があります。その要素を理解して再現すれば、高い確度で売れ筋商品を作り出すことがでるはず(あくまで理屈では。実際はそう簡単な話ではないとはおもいますが)。今回は「鬼滅の刃」を対象に過去の人気作品との共通点も鑑みながらその共通の要素を分析してみます。

■経営理念に沿っている

まず、原作マンガの掲載元「少年ジャンプ」の王道と言われているのは「友情」「努力」「勝利」(集英社の経営理念ではないとは思いますが、「少年ジャンプ」の理念といえます)。これら3つをキチンと埋め込んでいることが挙げられます。
物語の始まりこそ暗めな展開でした。しいて言えば「努力」はあったかもしれません。しかし、途中からサブキャラを上手く登場させ、いい感じに暗さを払拭。さらに「友情」面を強化しています。そして、仲間と連携しながら敵を倒して「勝利」。まさに「少年ジャンプ」ワールド。。。

友情努力勝利

■恒久的な強みを踏襲している

【強力な脇役の存在】
「友情」面を強化しながら、主人公と仲間という戦うチームを演出しているところは、同じくジャンプに掲載されていたかつての名作幽遊白書を彷彿させます。ライバルとして登場し、友情を育む。そして、共に戦う。主人公を単独で浮かせない強力な脇役の存在は人気作品には欠かせない要素です。

幽遊白書


【シリアスとコミカルの絶妙なメリハリ】
過去にはスラムダンクあたりが得意としてたバランスだと思います。連続するシリアスシーンの中にサクッと入っている一つのコミカルな絵で場の空気を変える。それに合わせて登場人物のシリアスなセリフで一気に涙を誘うというメリハリ。

■日本の風土に根ざしている

※個人的には「この作品の大きな特徴の1つなのでは」と思っています。

【「鬼」という敵
「鬼」は、特に私たち日本人にとって、マフィアとか宇宙人よりもある意味怖い存在。この存在は大きいです。背後に忍び寄る恐怖を演出してくる力は抜群。過去の名作「彼岸島」は鬼により高まる恐怖感が相当でした。捕食という切り口では「寄生獣」とか東京喰種(トーキョーグール)」も鬼的な恐怖心を煽りました。

彼岸島

「東京喰種」はビジュアルの良さというかスタイリッシュさも魅力。私はその突き抜けたスタイリッシュなビジュアルについていけず、「誰が喰種(グール)なのか人間なのか」、さらには「誰が誰なのか(!)」が分からなくなり、「東京喰種」を挫折しました。「鬼滅の刃」はビジュアルの良さ(特にアニメ版)が作品力を高めつつも、「東京喰種」ほど突き抜けておらず「誰が誰なのか」が分かるレベルで留まっているところがよいです。

東京喰種

【時代設定の妙】
時代設定を大正時代にしていることにより、闇に生きる「鬼」の存在感を高めるとともに、モダンさも使える環境を実現しています。主人公たちは刀を振り回すけど、街には鉄道が通っている。そんな環境を円滑に包むのが「大正」という時代設定だと感じます。そして、この時代設定が作品全体に漂う「切なさ」の醸し出しに効果的な役割を果たしていますね。鉄道に関わる戦いなどは、今年公開が決定している映画への期待が高まります。

画像3

■対立する組織の特性がとても象徴的

【鬼組織】
「十二鬼月(じゅうにきづき)」と呼ばれる強い幹部がいるものの、相互はバラバラな関係であり、圧倒的な能力を持つトップである「創業者社長」によるワンマン組織。創業者はもちろん鬼なので「老いない」「死なない」「疲れない」の「3ない」。事業承継問題で悩むことがありません。さらには、各地の鬼に関わる事象を即座に把握する能力(超能力?)があります。(人間と比べての鬼の優位性ですね)、カラスによる伝達に頼る「鬼殺隊(きさつたい)」に比べて情報収集力は圧倒的に優れています。強力な創業者社長の率いる企業ならではスピード感とも言えそうです。

トップ二人

●人間組織(鬼殺隊)
柱(はしら)」と呼ばれる幹部の上位に、トップを務める一族の当主が世襲的に君臨する同族経営。世襲ながらも一族の当主は常に「柱」から尊敬されており、将来の「柱」となるべく若手人材の育成体制もある。よくできています。組織としてかなり理想に近いです。しかし、情報伝達手段がカラスによる伝言というのが残念です(大正時代の限界?)。また、サブキャラ強化の一環ともいえる「柱」という頼もしい先輩の存在は物語を盛り上げています。「強い敵」を作り出し、作品全体の厚みを出すためには、こういう「強い味方」が必要となってきますね。私のようなオジサンは「なるほど。つまり黄金(ゴールド)聖闘士ね」な解釈をしました。

黄金聖闘士

■主人公のキャラが社会的心理にマッチしている

過去には「機動戦士ガンダム(ファースト)」のように「悩める主人公」が魅力的だった時代もありました。しかし、「鬼滅の刃」では、「ぶれない主人公」の存在が作品の基盤を支える魅力です。「安心してハラハラできる」という優れた効果を演出してます。これは今の時代背景というか社会心理にマッチしているのではないでしょうか。令和の時代は始まっていきなりいろいろ不安定です。そんなとき主人公に悩まれてしまっては見ている側は耐えられません(「おいおい、勘弁してよアムロ…」となるような気がします)。

アムロ

だからこそ「ぶれない主人公」がこの令和に受け入れられているのではないでしょうか。

と、まあ、いろいろ無理くり理屈をつけてみましたが、「つまり、お前は『鬼滅の刃』が面白かったんだな?」と言われれば、「はい。そうです」
という感じです。

さて、鬼殺隊には人材育成の仕組みがあると書きました。中小企業診断士業界にもいろいろ育成の仕組みがあります。その一つが「マスターコース」
3月にはマスターコースを紹介するオープンセミナーが開催されます。二次試験の合格者、診断士資格保有者であれば、協会登録等に関係なく、どなたでもご参加頂けます。ご関心のある方はぜひ。


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