猫女

真夜中

分厚い鎧戸を下ろし

眠りこけた人々の魂が

深海を彷徨う魚となって

すばやく

わたしの前を通り過ぎていく

きらきらと

過ぎ去った時のようにまぶしい

何も映すことのない瞳は

白いガードレールの脇に

群れる猫じゃらしを

海底に沈み込んだ

オルゴールのように透かして

その度に

真っ暗な倉庫のトタンの壁に

妖しくたくさんのしっぽを揺らめかし

ひどく退屈そうに座り込んだ

猫女の黒い影が浮かぶのです