「のこす」ということ-古いを遺す?-
古民家をのこす
古い街並みをのこす
町屋をのこす
「京町屋」を残すってどういうこと?みたいなSNSの書き込みがあった。京都のある町屋・長屋を全部買い取って表だけ残して中は全面改装して宿泊施設にしている企業の取り組みについての意見だった。
政治でも「レガシーを残す」みたいな話が多く出てきて、本来の意味ではあまりなくて、ハードなものを残すっていう意味で使われていたりしますね。
難しいなぁ、と正直。
五重塔やお寺の中には、世界で最も古い現存する木造建築が。。。なんて話が出ます。北中欧の町には昔からの街並みや建物が残っていて、いまもそこを使っていて、その地の人たちは昔からのものを大切にするんですよね、と。「ふむふむ」。
大学のときにフィールドワークから関わりがはじまり数年間通い続けた富山県平村(現南砺市)。そこに合掌造りの集落が残っています。
何年も通わせてもらったので、住んでおられる方のお話しも深くきくことができました。古いものを「住まい」として残していくこと、残し続けていくことについて。そうそれもひとりの思いではなく、まさに「community」として残していくこと。
日本は災害の多い国です。四季のある国といえば、一般的にはポジティブなワードですが、一番温度の高いときと低いときの差が40度以上になる地域もあるわけです。家はそれを加味した機能を考えなければなりません。古い立派な家はそのための機能が備わっているところも多いです。でも、長屋などはそうはいきません。あたりまえです。長屋はもともと庶民が住んでいたところ。お金もちが住んでいたわけではありません。痛みもひどく戦中から戦後にかけて中途半端に手が入っている家も少なくありません。
きちんと調べたことがないのですが、西日本の地域では、戦前には家の移築という話をよくききます。「この家はどこどこの集落のだれだれのところから移築してきたんだ」と。すごく興味深い話です。おそらく、新築の家を建てることはとても難しかったのでしょうね。家を建てるための木材の確保が人間の都合でなかなかいかなかったのでしょうか。あまり史料をみたことがないのですがそんなことを思います。
「のこす」ってなんでしょうか?いろいろなことがどんどんと進んでいく中で、どんどんと変わっていく中で。改めて「のこす」ことについて考えたいと思います。
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