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シンカ論:⑧トンデモ・ツイッター漫画を読み解く。

「トンデモ」という言葉がある。

 1992年に設立されたサークル(と言って良いだろう)”と学会”が提唱した概念で、現在は「めちゃくちゃな」「非科学的な」という程度の意味に使われる。ただしと学会はより正確にこの言葉を定義しており、トンデモとは、「作者の意図と異なった楽しみ方ができるもの」ということになっているあ。と学会が事実上の社会的デビューを果たした『トンデモ本の世界』(1995)などで、「作者の意図と異なった楽しみ方ができる」本として紹介したものの多くがオカルト本や疑似科学本であったことから、こういうイメージがつくことになった。

 それ以外にトンデモと呼びうるものというと、たとえばストーリーのつじつまが合わずツッコミどころの多い娯楽作品――少年ジャンプ黄金期から現代まで輝き続けている名作漫画『キン肉マン』などはその好例であろう。娯楽作品として文句なく楽しいが、ストーリーや設定をよく考えるとあまりに辻褄が合わない。しかしその合わなさにまで娯楽性が認められ、一粒で二度美味しい、二重に(断じてアンチによるバッシングの言い訳ではなく本当に)ファンに愛される作品となっている。

 今回紹介する漫画は疑似科学やオカルトにまつわるものではないが、まさに「ツッコミどころ」という点で、作者の意図と異なる楽しみ方ができるものである。
 これはマルクス@b_ksou氏というツッターユーザーが、ツイッター上で連載している漫画である。本人によれば「性犯罪被害女性を恋人に持った男性」(ただし実際には女性なのでは?との疑惑が掛けられている)だそうで、その怒りと悲しみから「女性が被害者!男性が酷い!」と訴えるフェミニズム漫画を数日おき程度に公開し続けている……ことになっている。

 その中には本人の体験と称するものだけではなく「リクエストエピソード」ということになっているものも多く含まれる。では、ひとつ見てみよう。

 この作品については全編にわたって指摘したい。
 というのは、この作品、少し前に話題になった「痴漢と思った相手を針で刺すために安全ピンを持ち歩け」と煽動する内容なのだ。それが体験談形式でまとめられ、人を針で刺すと言う行為がいかにメリットしかないかという印象付けるものとなっている。

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