GCコンの塗装、カスタム販売は違法かどうか

海外では「カオスコン」などの有名どころから個人まで様々な人たちがGCコンやゲームのコントローラーのカスタムを生業としています。

日本ではまだまだカスタム文化が知られていないとは言え、GCコンの塗装を行っている人たちが増えてきました。

また、その塗装作品を見て「お金を払ってでも依頼したい!」「塗装コンを購入したい!」といった人が現れ、個人間でのやり取りも少しずつ見られ始めました。

 

個人間でのやり取りは小規模であるので意識している方は少ないですが、海外の方々のように積極的に塗装依頼、もしくは塗装コントローラー、カスタムコントローラーの販売をしていきたい!と考える人も出てきましたね。

 そこでGCコンのカスタム販売に関することが法律的にアウトなのかどうか改めて自分なりに情報をまとめていきたいと思います。

まずは知っておかなければいけない法令に触れつつ、自分が行っている自作ボタンの話から進めていきます。


Q:GCコンの自作ボタンの販売は違法かどうか?
A:現在確認できている情報内では問題がないと判断できます。

 

理由:
コピー商品が法律に触れる部分としては「意匠権」、「商標権」があたります。
簡単に説明すると

 

・「商標権」・・・

はサービスを提供したりするときに使用するネーミングやマーク、ロゴマークなどを登録、保護するものです。

商標権者は、設定の登録から10年間(ただし、存続期間は更新することができます。)の存続期間内において、商標登録出願に係る商標を使用する商品または役務(「指定商品」または「指定役務」と言います。)について、登録商標を使用する権利を専有しています。そこで、登録商標と同一の指定商品・指定役務に登録商標を使用する行為は商標権の侵害とされます。また、さらに指定商品・指定役務に同一もしくは類似する商品・役務に登録商標に類似する商標を使用する行為または指定商品・指定役務に類似する商品・役務に登録商標を使用する行為も侵害とみなされます。


・「意匠権」・・・

製品のデザインを登録してコピー商品、類似商品などの模倣品対策に使います。

意匠権者は、意匠出願から20年間の存続期間において、登録意匠またはこれに類似する意匠を独占的に実施することができます。従って、意匠権者から実施を許諾されていないにもかかわらず、第三者が業として(個人的または家庭内での利用を除くという趣旨です。)登録意匠またはそれに類似する意匠を製造・販売等を行った場合には、意匠権の侵害となります。

 

自分が作っている自作ボタンはデザインを模倣したものになるので「意匠権」にあたります。
しかし、意匠権の有効期間は当時15年間(現在は法改正により20年間※1)となっています。
そして、GCコンの意匠権についてですが、まず意匠登録されていることを確認できませんでした。(プロトタイプなど試作段階のデザインは大量に登録されていました)
プロトタイプなど大量に登録されているのにも関わらず、製品化されたGCコンが登録されていないとは考えずらいので見落としている可能もありますが…。


いずれにしろ登録されている物は15年以上経過しているのですべて「存続期間満了」による抹消となっていました。

 

※1
意匠権の存続期間について(15年/20年)
・平成19年4月1日以降の出願…設定登録日から20年間。平成19年3月31日以前の出願…15年間。

【意匠権、存続期間、平成18年法改正、意匠法21条、2007年4月1日、15年、20年、権利期間、保護期間】
・意匠権の発生と存続期間、その効力 (特許庁)
「意匠権の存続期間は、設定登録日から20年間です。平成19年4月1日以降に出願された意匠権の存続期間は設定登録日から20年間。
ただし、平成19年3月31日までに出願された意匠権は、設定登録日から15年間です。
関連意匠の意匠権の存続期間は、その本意匠の意匠権の設定登録日から20年間。
本意匠及び関連意匠の双方が、平成19年3月31日以前の出願の場合、関連意匠の意匠権の存続期間は、その本意匠の意匠権の設定登録日から15年間。
本意匠が平成19年3月31日以前の出願で、関連意匠が平成19年4月1日以降の出願の場合、関連意匠の意匠権の存続期間は、その本意匠の意匠権の設定登録日から20年間。

 

ここで新たに気になることとしては上がるのが、、


Q:意匠権を更新もしくは再登録する可能性はないのか?
A:意匠権は更新、再登録されることはないです。

 

理由:

意匠権や特許権、実用新案権は、一定期間独占的な権利を付与することで個人の利益保護する目的と、これを公開することで社会に広め、産業の発達に寄与するという目的とがあります。

そのため、意匠権については15年、20年間は保護されることがありますが、それ以後は広く一般に使用せしめ、産業の発達を促すことになっています。


以上のことから模倣品の製作販売は問題ありません。

近年、任天堂がプロコンのコピー商品は取り締まっているにも関わらず、GCコンのコピー商品が大量に市場に流通している理由がこれです。

現在はGCコンのコピー商品を生産、販売することは違法ではないからです。

 

 

次は商標権についてですが上記で触れたようにロゴマーク、ネーミングに関することになります。(2次元を対象としているように思えますが、ミッキーのぬいぐるみなど立体的なものも含まれる場合があります)


GCコンの全体像のデザインの商標権は現在抹消されており、再登録のため2018年に任天堂が再度申請してまいたが2019年に拒絶されています。


ただ、それとは別にGCコン右ダルマ状のところのみ商標登録されています。(ABXY、Cステックの配置、カラーリング)

ゲームショップのロゴなど商業目的でGCコンをイメージさせるデザインの使用が制限されている状態かと思います。

 

 

ここまで読んでくれた方々が一番気になることは塗装販売の問題かと思います。

Q:塗装依頼を受け、お金をもらうのは違法か?

A:塗装依頼を受け、依頼者の持ち物であるゲームコントローラーを塗装した場合は問題ありません。

これが違法なら塗装屋そのものが違法になってしまいますからね。

しかし、ここで注意が必要なのが、特定のキャラクターデザインを塗装することを宣伝、リペイントの商品として扱うのは上記で触れた「商標権」の侵害に当たるのでアウトです。

任天堂はスマブラのマークから、ゲームキューブのロゴ、文字に至るまで様々なものが2020年現在も商標登録されている状態ですので注意が必要です。 

ただ、依頼者側からの完全な依頼であればゲームのキャラクターデザイン塗装も問題ないかと思います。(正直グレーゾーンのような気はします、、)

よくある痛車もこの手の話があがりますね。

また、GCコンのコピー商品は多く出回っていてもロゴマークまで真似た商品がない理由が商標権の関わるところですね。

 

 

 

次に気になるのが、

Q:あらかじめ塗装したコントローラーを商品として販売した場合は違法か?

A:違法となる可能性はかなり低いです。

 これはいわゆる知的財産権法にかかわる問題です。過去には中古ソフトの問題で似たような裁判がありましたが、違法とはなりませんでした。

最高裁判所平成9年7月1日判決
特許権者又は実施権者が我が国の国内において特許製品を譲渡した場合には、当該特許製品については特許権はその目的を達成したものとして消尽し、もはや特許権の効力は、当該特許製品を使用し、譲渡し又は貸し渡す行為等には及ばないものというべきである。

 

一度購入した場合、商品の特許権の効果がきれてしまうので、さらに第三者に販売しても問題ないということです。

これを消尽理論といわれています。

皆さんがリサイクルショップに物を売っても違法にならないのは消尽されているからですね。

自分でしっかり使用した物の販売は違法ではないことがわかりましたが、今回のテーマのように

Q:初めから販売目的でゲームコントローラーを購入していた場合は消尽理論が適応されるのか?

といった疑問が出てきますよね。

よく転売問題でもあるように、初めから転売目的で商品を購入した場合などは消尽理論が適用されるかどうか怪しく、とてもグレーゾーンとなっています。

 

しかし今回テーマとなっているのはGCコントローラーです。

これは新品のものを除き、基本的には中古品を入手することから始まります。

GCコンの譲渡ルートとして

任天堂➡家電量販店、ゲームショップなどの店➡消費者➡中古ショップ➡リペイント目的の塗装勢

 

中古品を購入した段階でこれだけの譲渡ルートがあり、消尽理論が適応される可能性が高いと思われます。(あくまで可能性の話です)

 

これらのことから中古のGCコンの塗装販売は違法にならないと考えています。

しかし、中古品の取り扱いには古物商の話にもかかわってくるので別の問題が発生してきますが、それはまた時間があるときにまとめておきます。

 

ここまでの説明はあくまで法律に詳しくない一個人の意見であり、可能性の話です。

絶対ではありませんし、間違って理解している部分もあるかと思います。

そして、これらの行為が違法かどうかは任天堂が裁判を起こし、なおかつ司法裁判所が違法と判断を下して初めて違法行為となります。

 

あくまで参考程度にとどめておいてください。

 

 

 

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