Skimo JapanChampionships individual race day2
インディビジュアル
会場へ
9:00スタート会場への宇奈月観光案内所のある総湯へ。今朝も曇り予報ではあったが青空が広がる。上空は雲が出ているが午後までは天気も持ちそう。
ウォーミングアップは宿の近くで済ませてきていたのであとは体を休めて冷えないように軽く動き続ける。
続々と選手が集まってくる。
スタートに向けて会場の緊張感も増してきてみんないつになく真剣な表情。
昨年の成績からスタート位置は決まっていたのでマイペースに支度を済ませる。昨晩の降雪が50cmほどあり、コースを朝見てないのもあり、少し不安がある。それでもスタートから前に出ると決めていたので先頭が不利でも突き進むだけ。
9:50頃スタートラインに並びスタートを待つ。隣には昨年もデッドヒートをした藤川さんをはじめ実力者揃い。年々レベルが上がってきて誰が勝ってもおかしくないくらいの実力差。
スタート
10:00スタートの合図が鳴る。
まずは位置取り。スタートで飛び出し先頭へ。
ロードのランニングセクションはブーツが壊れるくらいに走る。少し登って、林道入り口でスキーを履く。スムーズに履いてトップで林道へ。
後ろから走る選手に抜かされる。ライバルとして警戒している平林さん。どこまでも走っていきそうな勢い。
自分は林道で差をつけるために毛が短いスキンを使いグライドで進む作戦。案の定その方がスピードに乗れてすぐに抜き返し、林道出口までで40mほど差をつけて上部のセクションへ。
コース下見から、上部は比較的急で走れないためどれだけ平坦と緩やかな登りで走って差をつけるか。なるべく心拍を下げないように走りで平坦をつなげる。それでもまだ一周目はトレースが固まっておらず走ると圧で脚が埋まるから難しい。
順当にジグを超えて一度尾根に乗り更に上へ。先頭で行くとやはり小ラッセルに雪面が柔らかいため短めのスキンだとグリップが効かず、今年のコース1番の確信ポイントでスキンが取れてしまい登れなくなってしまう。瞬時に取れた方のスキンを毛の長いスキンに貼り替えて登る。そんな事をしている間に差は縮まり、7人ほどに抜かされて一気に首位陥落…。
でも全く焦っておらずその位置でとりあえず立て直しを測る。その時で既にトップは見えなくなっていた。流石に先に7人が通ると登りやすくノーミスで登れる。平和の像までで2人抜いて前を追う。トップが見えたがまだそんなに離されていない。平林さんもスキンが剥がれて貼り直していた。そのタイミングで抜いて5位みんな斜度と雪に苦戦していそうだ。
滑りで小寺さんを抜いて4位へあがる。
トランジットでは毛の長いスキンに張り替えて登りのミスをなくし差を詰める作戦。
2本目の登りで遠藤さんが柔んだ雪に苦戦している隙に交わして3位へ。
ツボ足手前の急登で苦戦している間に平林さんと小寺さんに追いつかれる。前2人は遠い。
それでも得意のツボ足で後ろを離して前2人に少しでも近づく。登り切り3位。
3人でバトル
前は登りが圧倒的に強い加藤さんが2位の藤川さんを少し離して尾根に乗っていた。僕はもう前だけしか見ていない。
2周目、3周目はあまり距離がつまらず、少しずつ後ろから様子見。
そして4周目のツボ足手前で補給をとっている加藤さんの隙をついて後ろにピッタリつける。長いツボ足は体力を温存してゆっくりついていき、その上のトランジットで板を履いて走って前に出て2位にあがる。
尾根に上がるところでトップの藤川さんを完全に捉えてしばらく3人で進む。
藤川さんが先頭を行く中、隙をついてレーンを変えて走って一気に前に出る。しばらくジグを走って20mほど差をつけてあとは耐久レース。ひたすら早いピッチで登る。少しずつ差が広がってきたか。
加藤さんも平和の像あたりで藤川さんを交わして2位に上がってきた。同じくらいの感覚で1.2.3位が連なる。登り切って降り始める時にはまだ誰もトランジットにはついていない。これはいける。下りは攻めて滑り、でも転ばない確実なラインで通過。
そして去年もあった恐れていた事が…。
下りで出た涙で右目のコンタクトが飛んでいった…。
既にゲレンデの圧雪のポールバーンに入ったから良かったが左目しか見えてない状態。
トランジットに入る時も減速して入る。やはり藤川さんが圧倒的な下りで、トランジット手前で抜かされて2位でトランジットイン。
最後の登りへ
スキンオンは確実に登りで剥がれないように圧着を優先にゆっくり行う。藤川さんが5秒ほど先に5本目の登りへ。僕もすぐ後を走って追い、ジグに入る手前で追いつき、一気に抜く。
左目だけでは登りも平衡感覚がつかめず、バランスを崩す。前半の尾根に上がるまでにジグ2つ分ほどリードする。走れるところは走り、より差をつけたいが藤川さんはやはり強い。なかなか差が広がらないどころか上部では少し差が縮まったように思える。最後の登りも走って詰め切り、最後のスキンオフをして滑降へ。
出る時には既に藤川さんはあと20mほどでトランジットにはいるところ。
コンタクトの取れた右目は瞑り、左目だけで滑る。
もちろん上手く下ることなんてできず、4周した下りのラインを感覚で滑る。
最後の登りで足を使い切り、耐えるのもいっぱいいっぱい、ましてスピードを上げることなんてできず転ばないようにただ流すだけ。1番ひどい下りだ。
これで抜かされても仕方がない。これ以上は攻める事ができない。
登り20m差は足りなく、抜かされることを覚悟した。
それでも抜かされることなく最後のポールバーンへ。
振り返っても藤川さんはまだ来ない!これは何事だ!
ポールも踏ん張る事ができず流すだけ、それでもなんとか勝ち切る事ができた。
15秒ほどして藤川さんが2位でフィニッシュ。
聞いたら、下りを攻めたら2回転んだらしい。もちろん勝つためにした事で後悔はしていない、転倒を恐れて滑るつもりもないし、全力を出し切っての転倒に悔いはない。藤川さんらしいかっこいいレース展開。
フィニッシュ
デッドヒートこそ燃えるし、抜きつ抜かれつを繰り返し、勝てたのならそれが1番感動するし心に残る。
今年は藤川さん、加藤さんとの3人でのバトル。本当に最高のバトルでした。
自分よりも一回り以上年上の藤川さん。スキー技術もテクニックも勝つ事ができない。そんな方を憧れるし、目標にしたい。僕も47になってもあれだけ動けるのか。いや、動いていたい。今年もバトルできたことに感謝しています。
ゴール後はたくさんの方々が3連覇を讃えてくださりました。ありがとうございました。
「圧倒的な差で勝つ」去年も掲げた目標ですがまだまだ実力が足りなそうです。更に世界と戦えるようにトレーニングに励みます。
フラワーセレモニーを行なっていただき、メディアの方々に取材をしていただきました。より、スキーモが日本で普及して、競技人口が増えていく事を願って。
昨晩の降雪によりゼロからのコース作りになったにもかかわらず、早朝よりラッセル、コース作りをしてくださったガイドの方々、運営スタッフの方々、本当にありがとうございました。とても魅力的なコースで周回ごとに楽しめるそんなコースでした。
一度下山をして総湯で温まり、16:30受付会場にて表彰式。3連覇でき、今年もこうして真ん中に立つ事ができて嬉しく思います。
まだまだ実力は乏しいですが、世界を見て、世界との差を知ってきたそんな僕を基準に、世界との差を実感していただけたら幸いです。まだまだ世界でも戦えていませんが…。
今年もいろいろやらかしてしまった日本選手権。
一つのミスは命取りになる事をより体に刻んで今後のトレーニングにも励んでいきます。次はイタリアワールドカップ。そして世界選手権。
日本チーム全員で世界に挑むぞー!
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