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第ニ回 ひまそらあかね(暇空茜)東京都知事候補周辺についてちょっと解説してみる。

 選挙というのは現職が強い。
 特に都知事選では、過去に現職が負けた事はない。
 それは選挙において「知名度」はそのまま武器になるからだ。
 東京では過去にタレントの青島氏が都知事に、同じ大都市である大阪では横山ノック氏が府知事になった。
 まあこんな事は今更解説するまでもないのだが、とにかく知名度は票に繫る。

 また、人間は多くが「面倒くさがり屋」なのだ。
 この面倒くさがる事に莫大なコストを払いがちで「月々の電話代が200円も安くなります!」みたいな営業トークをされても「うーん、200円くらいだったら、色々なサイトに登録している情報わざわざ変えるの面倒だしこのままでいいかな」となりがちだ。
 
 つまり現職に「よほどの大きな落ち度」でもない限り、まあこのままでええんじゃない? となってしまう。

 上で電話で例えたのでさらに続けるなら「電波がそもそも入りにくい」とか「電話代が倍になった、これじゃ払えないよ」みたいなレベルにならないと、節約家でもなければなかなかキャリアを変えようとはならないのに近い。

 この「知名度」と「それなりに上手くいってるなら、わざわざ変えるの面倒」みたいな心理によって現職は守られている。
 この牙城はちょっとやそっとじゃ崩せないので、他の候補者は「自身の公約がどれだけ都民にとって利益があるか」をアピールしつつ「いかに現職をそのまま当選させ続ける事が、都民にとって不利益か」を広めなければならない。

 では都民にして「面倒くさがり日本代表」レベルの私の感想をちょっと述べていく。

 ちょっと本題からはズレるが、石丸伸二氏のキャッチコピー「東京を動かそう」や蓮舫氏の「あなたと次の東京へ」。
 日々小説家になろうやカクヨムでタイトルやあらすじ、キャッチコピーを考えている身としては申し訳ないが「0点」だ。
 いかにも意識高い人間が、なんかフワッとした事言っている、という感じを受ける。

 だって、そもそも東京って止まってる?
 東京が止まってる姿や動いてる姿に、どれだけの人間がピンときますかね?
 もちろん「いやいや、東京が止まってるってのはこうで、動かすってのはこういう事で」って説明を受ければなるほどと思うのかも知れないが、そもそもその説明を聞く気にさせるのがキャッチコピーだ。
 申し訳ないがその説明さえ聞く気にならない、というのが個人的な感想である。

 まあとにかく候補者ってのはこのように「自分を選ぶメリット」とともに「現職の失策」を追及しなければならない。

 小池都政における失点として「公約の進捗が……消えた」というものがある。

https://tomin1st.jp/

上は都民ファーストの公式サイトだが、過去には「公約の進捗状況」というページがあった。
下はアーカイブ。

https://web.archive.org/web/20230129192918/https://tomin1st.jp/policy/1209/


今現在アーカイブされているアドレスは、Newsに差し替えられている。


では、元々何が書いてあったのか。
アーカイブを見るのが面倒な人向けに画像。


「のり弁」をやめます、実現ヨシッ!


 このNoteにたどり着く方々にイチイチ解説は不要かも知れないが、のり弁とは「住民が公文書を開示したさいに、一部情報が黒塗りされる事」である。

 ちなみに以前は黒塗りだったのだが、このような書式に変わったようだ。



 誰もが思った。
 「いや、のり弁やめるってそういう事じゃない」。
 むしろ白米だけなら、弁当としては劣化している。

 とんでもない事ではあるが、ただ、これは「失点」としてはあまり高くない。
 というのも、私を含めてほとんどの都民は「公文書の開示」なんて行わないからだ。
 だからこれ単体だと、デメリットがピンと来ない。

 問題は「公約の進捗情報を丸ごと消した」だ。
 これは「公約を守る気がない」とほとんど同義だろう。

 正直「政治家なんて、どうせ公約を守らないよね」みたいな諦観が、政治不信に拍車をかけていると思う。
 個人的には実務上、守れなくても擁護の余地はあると思うが、守ろうともしないのは論外だ。

「任期中、一生懸命やりましたが実現できませんでした、ただ、もう一度チャンスを頂ければやります、中途半端で終わらせたくないです」

 と、潔く認める方がまだマシだろう。

 ただこの点を追求する候補者は、ひまそらあかね氏以外今のところいない(見落としがあるかも知れないが)。

 これは個人的な感想を含むが「同種のズルをする人間は、そのズルを指摘しない」のだ。

 例えばタバコ休憩。
 私が仮に2時間に一度一服しにいくとしよう。
 その場合、三十分に一度一服しにいく人間に「ちょっと行きすぎじゃない?」とは言いにくい。
 なぜならそもそも「休憩中でもない仕事中に、離席してタバコを吸う」事自体があまり良いとは言えず、非喫煙者から見れば「どっちもどっちだから、もうタバコで離席するのは禁止」みたいな話になったらヤダな、と思うからだ。
 いやまあ「禁止とかなったらヤダから、もうちょっと我慢してよ」みたいな交渉の余地はあるが、それは「ズルの談合」でしかない。
 つまり、「自分もここまでじゃないにしろ公約破っちゃうかも」と思ってる人間は、なかなか他人の公約破りを追求し辛いだろう。

 もちろん、候補者たちが「公約進捗を削除した」を追求しないのは別の理由かも知れない。
 ただ、こんなわかりやすい落ち度を追求しないのはやはり不自然だ。

 冒頭に書いたように「現職有利」な選挙において、前回の公約を守る気がないなんてのは「巨大なシェアにあぐらをかいて、契約者を蔑ろにする大手キャリア」みたいなもんで、乗り換えを勧めるなら真っ先に追求すべき点だろう。

「あそこの電話会社、料金下げるとかアンテナ増やすとか色々言ってましたけど、その約束を書いたページ消したんですよ」

 みたいな話なのだから。

 また、この点を指摘できないのが「そのきっかけがひまそらあかね氏だから」という点もある。
 他の候補者の手柄を喧伝したくない、という邪推もできる。

 もちろん都民ファーストが「いやいや、たまたまホームページリニューアルで消しただけ!」とアピールするのは自由だ。

 ただ、ひまそらあかね氏がいわゆるWBPC問題を追求する過程で、公文書の開示を大量に行い、非開示資料が大量に出てきて「のり弁やめますは実現!」と矛盾していたという事実は変わらない。

 ここが変わらない以上、それがきっかけで公約の進捗が消された、と思われても仕方ないだろう。


 個人的な気持ちとしては、東京を動かしたり、次にしなくていい。
 実現可能な公約を掲げ、それを守ろうとしてさえくれればいい。
 現在のプランを続けるデメリットと、乗り換えるべきプランがどれだけ魅力的か。

 面倒くさがり屋が動くのは、その二つのギャップだ。
 その意味で「公約を死守しようとする政治家」は、とても魅力的なプランだろう。


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