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2016年5月の記事一覧
不完全永久プレパラートその12
じんるいのれきしにコッペパン
みぞおちはわがままということだ
念仏のむこうにかすかに子馬
ねむれないと出てくるカモノハシ
火星はさみしいいかの目玉
ミモザよミモザさんすくりっとでどうぞ
めんたいここわくて口笛がきこえる
家系図は三回燃えた
当面の敵にされる夕暮
みどりいっぱいの代理人です
不完全永久プレパラートその11
ぺんぎんかえるぎっちょになって
姉さんのハンカチでおとな二枚
輪ゴムまるまってさむい春
香水こぼれたところが時間
おとうとに塗る色がない
行間にきみの名前があったよ
海水のんで今日はおじぎする
おんがえしに来なかったマンボウ
うぐいすこわしたらすなわち夜
かたつむりは度胸である
不完全永久プレパラートその10
ごういんなみずたまり目玉焼き
穴があってもやみくもはいかん
うつぶせてもなにも変わらなかった
必要以上にかまきりの角度をはかる
点滴中にはちみつの話を聞く
筋肉痛さみしくてひまわりだ
かれが決めた心臓の位置
勝手に星座こしらえる姉妹
見えそうで見えないハヤシライス
上半身から夏野になるまだ容疑者
不完全永久プレパラートその9
チューリップと闘うときは無料
てんぷらにごり押しすると誓う
怪獣はひとりでつくるもの
わりばしが刺さっている五月闇
真剣にふぐを見てみようとおもう
りぼんほどいてそこらじゅう鮎など
らくらくと目頭があつくなる油田
オカリナはオカリナというかたちに見える
うれしくて花を縫ってしまう
ぶんすうひなたのほうが分子たぶんきむすめ
不完全永久プレパラートその8
筋肉えがくていねいにそして矛盾
恐竜は死ぬ参観日だった
ほしがきには本名を書くこと
合言葉でかなりもめている
きんぴらごぼう山狩りがはじまる
かがみを嗅ぐ虚無僧とおよぐ
わたくしがみたのは銀色たぶん死体
むりやり割り算するしかも腹式呼吸
ほんきになった九官鳥におこる
たぶんモグラで殴られた
不完全永久プレパラートその7
父たちのアジトにチューリップおくる
予定変更して妹をしかる
しゃっくり銀河がひとつ消える
エトセトラは続くよ半永久プレパラート
しかばねを見つけたいなら四月の曇天
池の主を殺したと少女は話しはじめた
さくらの下でわたくし殺し屋でした
みんなの赤ん坊が校舎にみえた
伝説の少年はしってかるい毒
本籍にちかいセキセイインコ
不完全永久プレパラートその6
でめきん黒くて大きすぎるまつり
はかばかしくないとかげの脱皮
いっせいにくちあけて薫風
ことわりなしにすべり台
いちえんだま浮く場所はみどり
きおくの中央にざぼん
クロワッサン油断する青空
のうのうと毛虫くる死ぬる
うたがわれるように石を拾う
プレハブにくるらくだはほぼひとこぶ
せせらぎさざなみささやき春のへび
不完全永久プレパラートその5
めぐすりも春といえば春
やりを抜こうか父さん
たまたま素数だ象がいる
かんせいした馬は火星に帰る
ぼんやりと昼をねつ造している
ぜんざいは残酷なものだね
チーズの歯形われら五月の清流
みずはとくべつ蛇でもない十一月
めいじんがつながれている無人駅
さみしさのど真ん中どろん
不完全永久プレパラートその4
円周率は逃げませんか
うたばんぐみに怪獣の骨
秘書がむりやりついてくる塩湖
故郷はシャガールみたいだったよ
じょうずに殺されたいからねとにっこり
なつかしい人は両替をしてくれない
屈葬を頼んだのだが
ドン・キホーテ百人の谷底の底抜け
木枯らし結局こむらがえりに
草食になる月光
吉田さんに間違えられて吉田さんにおこる
不完全永久プレパラートその3
エンゲル係数のエンゲル氏のホタル
レンゲもってうろうろしている
やくそくしていたクジャクと違う
沈丁花すなわち事件である
先生は両生類のまねがうまい
凍蝶しかし決闘中である
わたくし鮎わたくし花束そして呪われる
だれかに刺されそうな交差点だ
みみたぶに警察が潜んでいる
ほめられるようお墓を描きました
不完全永久プレパラートその2
イチジクぐるみでだまされる
よりによって塩水ほめる行事
いそぎんちゃく魔法いっぱい
スイスにいったような顔の鳥
劇画のようなもなか
むかしむかしの火事がマチュピチュとか
遠くからにわとり見ているなんて一揆
蛇はほどかれて花束
人妻にぶつかったスイカだ
絵手紙に虚数
不完全永久プレパラートその1
ちょうどよい月のない隙間
ジャングルジムと十回言わせる大人
正午みたいに広いひらめ
いたしかたなくタンカー通る
くるぶしから俺と判明
カレーパンのパンとうそをつく
ナマコが分母
幸せであるあぶりだし
父の自伝に出てこない姉
腕時計が母そっくりで困る