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『消えない月』

読み終えたあと、しばらくの間
動けなくなる本だった。

その出来事が人によって
たいしたこと、であったり、
たいしたことではなかった、り。

大学からの帰り道、駅近くのコンビニの前で
彼女は声をかけられた。
無視して通り過ぎると、
「無視かよ、、、」と
聞こえるか聞こえないかの声でブツブツ言われながら、
後をつけらた。
人が溜まっているところを通り過ぎたとき、その声は聞こえなくなったが、
とにかく怖くて彼女は家に電話をかけた。

彼女は髪型を変え、同じ洋服を着なくなった。
しばらくの間、歩いて10分の家までの距離が不安で、
19時前のまだ明るい夏の時間でも
駅まで誰かが毎回迎えにいった。

声をかけた金髪の少年は、彼女がこんなに怯えているとは思っていないだろうし、
きっと彼女のことさえ覚えてはいないだろうけど、

こういうことは普通にあることと思う人がいるかもしれないけれど、

それが本当に怖い。


『消えない月』(畑野智美・著)


思い出した本
  『ストーカーとの七〇〇日戦争』(内澤旬子・著)
   (被害者本人が書いたノンフィクション)
  『ナラタージュ』(島本理生・著)


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