クラス全員で節分鬼祭り(1)
小学校生活の中で大事にしていることの一つに、
「季節を感じる行事」に楽しく触れてほしい。という考えがいつもある。
あらゆるアイデンティティーを「尊重せねばならぬ」ものとして考えて、
年々、学校でのそういった行事に注文がつく話もよく聞くが、
昔からある季節の行事を楽しめることは、
心を豊かにすることにつながると思っている。
そんな僕が、子ども達と楽しむ行事の一つが、「節分の豆まき」だ。
毎年2月3日辺りに、時には担任外の先生が鬼のお面をかぶってくれたり、
時には、自分が鬼のコスプレをして鬼になってみたり、
担任の仕事を受け持ち始めた数年の、低学年の受け持ちのときには、
そんな風に、節分を楽しんでした。
ところが、その年は、かなりイレギュラーに6年生の担任になった。
この時の6年生は、一学期からだいぶ落ち着かない男子集団に、
ベテランの教員が2学期の初めにギブアップ、だれも補充も来ない中で、
4月から担任外で加配されていた自分に声がかかった。
このクラス「途中から卒業まで担任の6の1」で出会った36人の子達は、
すごくパワーもあり、でも1学期で子どもたちも傷ついていて、
そんな子たちと、卒業まで過ごした日常はどんなに激しく、
楽しかったことかと笑顔になるほどに、印象深い思い出は沢山あるので、
また、この子達のとのエピソードは書いてしまうかもしれない。
とにもかくにも、一番印象深かったのが、この6の1の子たちと行った
【クラス全員で鬼祭り】
そのきっかけは年を開けて冬休みの間の職員室での会話からだった。
4月に担任外で異動してきた僕は、一学期は出張の代替や、
図書室の管理人みたいな仕事をしていたのだが、
その時期に1年生の主任のN先生に、
「一年生で何かするときにはぜひお願いするね。」
と声をかけてもらっていたのだった。そしてその年度初めの時期に
1年生の先生たちで、「3学期は節分もしようね。誰か鬼を頼まないと。」
そんな話が聞こえてきたので、
「僕、体空いているので、やりましょうか。」
と約束していたのが、1年生の4クラスに鬼役で行く仕事だった。
冬休み終わりになり、その話題が出てきた時に、N先生がはっと気づいた。
「ととろん先生は6の1の担任になったから、鬼役頼めなくなっちゃったね。どうしようかしら。」
「そうですね、申し訳ないです。まさかできなくなるとは思ってもみなかったので、、、。」
「いや、いいのよ。それより6年1組の子たちのこと、3学期も頼むね。」
N先生は、僕のことを応援するように返事をくれた。
いつも気遣ってくれるN先生の受け持ちの1年生とは、
最上級生である、6の1の子たちはよくかかわっていて、
うちの子たちは、一年生の面倒見も、とてもよかった。
「僕にはつんけんしても、一年生に優しいなら全然OK」と、
子ども達の下級生への優しさを、いつも素敵だな。と感じていた。
そうか、、、、、、じゃあいっそのこと。
僕は一つのアイデアが浮かんだ。
「N先生、鬼役の約束ですが、やはり引き受けてもいいですか?」
「え?ええ、いいけど、普通に5時間目とかにする予定なんだけど。」
「はい、ぜひ行かせてください。」
「6の1の子たちはどうするの?」
「はい、うちの子たちに、鬼役をしてもらおうかと思いまして。」
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