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クラス全員で節分鬼祭り (6)

「じゃあ次は、1年生のお世話&あと片付け役について話すね。」

「だんだんわかってきた!けど説明して!」

「うん、この役は、鬼が暴れまわって出て行った後に、まめも散らかってるでしょ。あと机もひっちゃかめっちゃか。掃除が終わったばかりなのにとんでもなく散らかっているけど、おそらく一年生は泣いていて片付けどころじゃない。そこで、この役が大活躍です。一年生が泣いているのを、よしよしとしながら、教室の片づけを済ませる。」

「おおおおーーーーー。」

なぜか感嘆の声が上がる。いや、なぜかは失礼だった。

今回のイベントの徹底具合をすっかり把握してくれているからこその、

子どもたちの状況把握の正確さの表れとして当然の声だ。

「やはり、一年生のお世話でほったらかされている子がいたりすると、イベントとして後味が悪くなるから、ここは一番手厚く11人で。」

「これ、私やりたい。一年生可愛いから。」

「ね、Rちゃん、一緒にこの役やろう。」

そんな話声も聞こえてくる。

「そしてそれとはまた別で大忙しの縁の下の力持ちがこの、鬼セコンド役になります。」

うんうん、と頷く子どもたち。

もう何を言わんとしているかを察してくれているのが伝わってくる。

「1ターン全力で暴れたら、当然疲れるので、次のクラスに行くまでにインターバルを取ります。その時に、鬼が一回一回、コス脱いで水分補給とかはできない。なので、鬼3人に当たり5人ずつ計10人で、鬼の水分補給や汗拭き、それと破損した衣装などの応急処置をして、加えて鬼を鼓舞して送り出してあげてほしいのよ。」

練習中も鬼セットをバージョンアップさせてくれている子達や、

演技の練習で一緒に観て声をかけてくれている子たちが、

日毎に増えていたのを観察して、きっとこっちがいい子も多いのでは?

と思って作った役だった。説明を終えると反応は予想以上に上々だった。

5分間の希望決めの間は、みんなあれがいいこれがいいと話が盛り上がる。

あっという間の5分を過ぎて、希望を聞く時間。

まずは全員、名札のマグネットを第一希望に貼って。と指示する。

そこでまだ空きがあるけど第一希望に貼った人は確定だ。

思ったとおりに鬼補欠は2名で収まらなかった。

そして、思った以上に、一年生のお世話役と、鬼セコンドが多く、

第一希望で、お世話役と鬼セコンドは、残り1・2名となった。

「じゃあまず、鬼補欠からだけど、これは、まだ練習期間もあるので、運に任せてきめようか。」

ととろん学級は何でも割りばしくじなので、子どもたちは快諾した。

「8本のうち、数字が6本、色が2本。色が当たりね。」

と言うと、さっと引いて補欠の2名が決まる。

「ではまだ決まっていない人は第二希望にどうぞ。」

これで鬼セコンド、一年生のお世話係も定員になった。

次に集まったのは【鬼が来たぞー!役】だった。

「これは練習もできるけど、6人いるので、オーディションにしようか。」

と言うと、6人ともやる気の目になっている。

「2分間、自分なりに演技を考えて、くじを引いた順番に、前の入り口から入ってきて、後ろの扉から出ていくまでの演技をしてね。で、みんなは校庭側によって、それを全員観て4票ずつ入れる。ということでいきます。」

声の大きな子、恥ずかしそうだけど一生懸命に声を出している子、

慌てふためき方がすごく上手な子、各々みんなの前で披露して挙手投票。

本人たちは結果が出るまでは見ないように外で待機だ。

一人4票持っていることで、全員が0票にはならないような結果になるのも

やはり、立候補してくれた子へのちょっとした配慮になる。

その上で上位4人が決まった。

こぼれた二人は、タイムキーパー役とお知らせ役になったので、

もともと第一希望でお知らせ役になったこと3人に、

「一番重要な役どころだから、任せたよ。」

と、楽器などは黒板に書いたものでなくて、

もっと雰囲気の出るものがあれば工夫してよいと伝えると、

3人でうれしそうに打ち合わせも始めた。

「1クラスが5分としてインターバルは6分かな。」

「いや5分、結構疲れないか?」

「明日の練習で時間を計らせてもらって、大丈夫か確認しよう。」

そしてほかの役どころもそれぞれ固まって打ち合わせと準備の時間に、

役どころごとにリーダーとサブを作って、みんなで取り組めるように、

さらに細かい仕事の内容や、分担、担当分けなどを詰めていく。

本当に6の1の子たちの自分たちで企画を作り上げていく力は素晴らしい。

自分たちでイベントのツボを理解して、みんなで協力してやっていく事を、

楽しみながらできるこの子達との節分の鬼祭り。

仕掛けておきながら、自分自身のワクワクを抑えるのが大変になってきた。



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