見出し画像

クラス全員で節分鬼祭り(2)

「え、子ども達と?!」

驚いているN先生の反応に頷きながら、

「はい、うちの子達、もう180㎝近いのもいるので、僕より迫力出ると思います。あと一年生のこと大好きだから、喜んですると思うので。」

「うん、わかった。じゃあ、お願いするね。」

そんな流れで、6の1の子ども達と節分の日に、

1年生の豆まきの鬼をさせてもらえることになったのだった。

そうと決まればと、まず取り掛かったのが、準備。

ガチ感が伝わるのに大事な事は、準備だ。

僕はインターネットのショッピングを探して、

鬼のお面(フルフェイス)・全身タイツ(赤・青)・寅柄の鬼用トランクス

を6セット、冬のボーナスの残りは全部飛んでしまったが、購入した。

まずは道具をそろえて、さて、次は鬼をどうやってさせようか。

数日思案していると、さすが、わがクラスのやんちゃな男の子たち、

ちょうどいい感じに叱られ事案を持ってきてくれた。

「中休みに、○○先生の車にバスケットボールをぶつけた子たちがいたって話が来てるんだけど、6の1の子達みたい。」

「ほんとにすみません、車は大丈夫だったですか?」

「へこんだり壊れたりはしていないみたいよ。見てた子たちからは、裏の駐車場までボールのあてっこしながら帰っていたらしいから、車を狙ったわけではないみたいだから。

「わかりました。学級で指導しておきます。」

またやらかしたな。と思いながらも、内心、チャンス到来と思いながら、

準備していたグッズを二重の袋に入れて6の1に向かう。

・・・・・・・・・・・・・・

「はい、授業の前に全員に確認したいことがあるから聞いて。」

少し厳しい口調で話し始めると緊張感がピンと張りつめる。

二学期以降、がっぷり四つで向き合い、叱るときは叱り、笑うときは笑い、

子ども達と過ごした日々の中で6の1の子たちは、

「真剣に話すよ。」というときに、「真剣に聞くよ。」

という姿で向き合ってくれるようになっていた。

「さっき、中休みの終わりに、裏の駐車場までボール投げて遊んで帰ってきて、○○先生の車に派手にボールをぶつけたものがいたという話がはいってきたんだけど。心当たりのある人はいるかい?」

これももうお約束の何度も見られる日常で、子ども達との約束で、

やらかしたら隠さず申し出なさい。そしたらその事についてだけ叱るから。

でも後から嘘や隠し事が出てきたら、

その嘘や隠し事も叱らねばならなくなるから、

追加で叱りたくはないので、その場で出てきてねと。

受け持ってからの5か月も沢山やらかしてきて叱っていたので、

男の子が6人「僕です。」「俺です。」と、出てきた。

「で、よ、なんで駐車場までしてしまったんか。」

「いや、K君が最後に運動場で当たったからそのまま持って帰らんといかんのに、そっからまたぶつけてきて・・・。」

「ちげーし、お前がその後、ぶつけてみろって煽ったやんか。」

「あおったの俺じゃねーし。Nやし。」

「はぁ?Rもいっしょにあおったやろーが。」

わいわいと言い訳が盛り上がる。

「わーっかった!とりあえず先生から言いたいのは、二つよ。まず駐車場でのボール遊びは危険だから禁止なのはもう学校の決まりで何度も話しているのだから、今さらテンション上がっては言い訳にはならんぜ。6人もいるんだから、だれか止めなやろ。」

「はい・・・・・そうですね。」

「で、もう一つは、卒業までもう50日切っただろう最上級生が、下級生の悪い見本になってどうするよ。むしろ下級生がやらかそうとしているのを停めれるようにならんと、と言っとるやろ。」

6人とも、確かに、という観念した顔で、ショボンとしている。

「ということで、6人には、罰を与えます。」

「はぁ?なんなんまじで。」

「お前のせいやろーが。」

「宿題増えるのはやだよ。」

「おいなんのばつだよ・・。」

各々反応している中、紙袋の中身を机の上に出した。

「罰はこれです!」

「??????はぁぁぁぁぁぁああ?!」

6人が驚いたような、なんてこったというような顔で声をあげた。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?