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1巻こばなし#02「その着せ替え人形は恋をする」

このnoteでは
色んなマンガの単行本1巻だけの感想を書いていく。
すでに連載終了した作品でも、まだ1巻しかでていない作品でも1巻は誰にでもやってくる。
「このマンガは3巻から面白くなっていくんだよね」「最終巻まで一気に読むといいよ」
そんなことはご存じない。だって、ボクらはいつだって1巻から読み始めるんだから
※有料になっていますが、全文読めます。よかったら投げ銭くれると嬉しいです。

自分の気持ちは
自分の為に言わなきゃダメだよ

その着せ替え人形は恋をする01より 喜多川 海夢

はじめのこばなし

「”オタク君に優しいギャル”もそうさ!! 必ず存在する!!!!」
というのはあの有名なマンガ「ONE PIECE」に登場するキャラクター黒ひげことマーシャル・D・ティーチの名台詞である。
――というのは嘘だけど。

実際、いつから「オタクに優しいギャル」ということは言われ始めたのだろうか?
というよりも元ネタは何なのだろうか?
ギャルっぽいキャラは昔から色んな作品にはでてきている。彼女たちは大体コミュニケーション強者で、普通に明るくて、(マンガのキャラってのもあるけど)可愛い。
ただ、気になるのは「オタクに優しい」という属性だ。
これが果たしてどこから生まれて、そして定着していったのか……。非常に気になる。

最近は「オタクじゃないギャルが、オタクである僕をなぜか気にかけてくる」という設定が多い気がする。
要するにギャルのスタートはオタクでも何でも無いのだが、僕(オタク)と交流していくうちにいつの間にかオタクになっているというものだ。
最近だと「2.5次元の誘惑」のアリアだろうか? 彼女もリリサや奥村らとの交流を進めていくうちに、徐々にオタクになってきていた。
彼女の場合は初めが初めなので完全に0スタートでオタクになったのかと言われるとちょっと違うが。

では、この「その着せ替え人形(ビスクドール)は恋をする」――略して「着せ恋」に登場する喜多川海夢(きたがわ まりん)はというと……。
彼女は初めっからディープなオタクだ。
懐かしい作品(書いていて懐かしいというのが割と驚くが)だと「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」のヒロイン「桐乃」だろうか?
というか、「俺妹」の本編最終巻が2013年発売というのがもうなんというか……ねえ。

そんなこんながあって今や「オタクに優しいギャル」というのは1つの女性キャラクターへの属性として、少しずつ増えてきているのであった。

今日の1巻

今回紹介するのは「その着せ替え人形(ビスクドール)は恋をする」
「着せ替え人形」と書いて「ビスクドール」と読む。ここら辺の日本語の言葉を英語読みさせるタイトルは、久しく見ていなかった気がするがここにきてまたそのムーブメントが来たのだろうか?

それはともかく、この作品はオタクのギャルである「喜多川 海夢」が雛人形職人を目指す主人公「五条 新菜」へ美少女ゲームのキャラクターのコスプレ衣装の製作を依頼する所から始まる。

新菜は大柄な男子高校生であるものの、引っ込み思案で友達もおらず雛人形のことばかり考えるような男の子だ。
幼少のころから雛人形が好きすぎて、幼なじみ(おそらく)の、のんちゃんから「気持ち悪い」と言われそれがトラウマとなり、自分の好きなモノなどを隠すようになったのだった。

ヒロインの海夢はクラスの中心にいるわかりやすいギャルだ。
明るく、社交的で誰にでも優しい。ちなみに耳のピアスと(原作では)舌ピアスもしている。個人的にはポイント高い。
そして、オタクだ。しかし、海夢はそれを隠すことなく、むしろ鞄にキャラキーホルダーをぶら下げるなどいわゆるオープンオタクというものだ。

今でこそ「オタクなんだよね~」ということはそこまで迫害されることなくむしろ平気でそういうスタンスでいることが多い。
私が中学の頃は丁度電車男がテレビドラマで放送されており、その前後だったのでわかりやすくその切り替わりを見て来た気がする。

ある日、雛人形の服を縫うために、学校の被服実習室でミシンを使っていた新菜。
誰もいないので臆することなく雛人形に語りかけながら、服作りをしていた。そんなところに現れたのがクラスでも人気のギャル。海夢だ。
彼が服を縫えるということを知った海夢は突然制服を脱ぎ出すと、なんとも言えないつぎはぎ布の服を着て見せた。

どうやら、美少女ゲームのキャラクターのコスプレ衣装を作ったらしいのだが、服飾の技術・知識を持っている新菜からするとその不出来さに、唐突に饒舌になる。
オタク特有の早口だろう。
涙目になる海夢だったが、彼女が言ったのは「自分が着るコスプレ衣装を作って欲しい」ということだった。

好きなモノにまっすぐな彼女や、はっきりとしている彼女を知っていた新菜は、承諾する。
ただ、その作品はどう聞いてもR-18のいわゆるエロゲーだったのだが……。
個人的には昨今の色んな年齢のなにがしに小うるさい中でよくもまあ、高校一年生がエロゲーをプレイしているということにOKを出したなあ。やるなあヤングガンガン編集部。

衣装を作るためには採寸が必要ということで、週明けの月曜日にやろうと言った新菜だったのだが、翌日土曜日。家にやって来たのは海夢だった。
曰く、「五条 雛人形」でググったらここだろうなと思って突撃してきたとのこと。
新菜は「行動力!」と言うだけだったが、実際問題これ立場逆だったら通報されるだろうなあ……と思ったりした。

当然ながら女の子が来るどころか友達さえも来たことのない新菜の部屋に、クラスの美少女ギャルが来たのだ。
気が気でない新菜。
採寸には下着でやらないととおずおずと言うと、水着を着てきたと脱ぎ出す海夢。
この子に羞恥心はないのだろうか? それともギャルというのはそういう生き物なのだろうか……。

ひたすらに恥ずかしい気持ちで一杯になる新菜。それもそうだろう。なんたってナイスバディの確実にモテるであろうギャルが水着姿で部屋にいるのだから……。
「恥ずかしくないのか?」と聞かれた海夢は「雫たんになれるのなら」とあっけらかんと言い返す。
これを聞いた新菜は覚悟を決めて自分を叩いた。
そして、タオル?手ぬぐい?をハチマキのように結ぶと職人モードとなり採寸を始める。

ここら辺の新菜の気合いの入れ方というか、スイッチを入れた時の表現はうまいなあと思う。
ただおどおどしているのではなく、自分の好きなモノ得意なことのためにはちゃんとやる。
ある意味職人らしいそれだ。

そして、最後の股下の採寸では……。ここから先は是非とも買って読んでみてほしい。
クールに淡々としていた海夢かと思われたが、我に返ったのだろうなと可愛らしさが溢れてくるので。

そんな1巻は材料も揃いいよいよ服作りが始まるという時に、イベントは2週間後と海夢から言い渡されて呆然とする新菜の姿で終わる。


ということで

オタクに優しいギャルというよりも、オタクで優しいギャルが登場する「着せ恋」。
ジャンルとしてはラブコメだ。
コスプレや衣装製作をテーマにしたラブコメである。果たして、二人のこれからはどうなるのだろうか?

絵が綺麗で女の子は皆可愛く。海夢への衣装製作によって人としても成長していく新菜を応援している自分がいるはずだろう。
ある種、ヒロインは新菜だったりしてと思う。

現在テレビアニメ放送中というのもあり、テレビアニメの3話までが原作1巻までの話となっている。
ほぼ原作ママだったりするので、テレビアニメを見て気になったのなら是非とも原作マンガも合わせて楽しんでほしい。

というか、現状めちゃくちゃ売れてるらしいですね。原作マンガ。
やっぱ、アニメ化っていい原作にちゃんとしたところが愛を持ってちゃんと作ればいいんだよなあと思いました。

今日紹介したマンガ


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