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彼はまだ自分が面倒くさいやつであることには気付いていない

出しなに天気予報を見て、自分の部屋の窓を閉めた。
晴れ時々曇り降水確率20%であるが、雷雨の可能性アリとある。
家には妻がいるが、彼女は私の部屋の窓には関心がない。
開けたい時には開けるし、閉めたい時には閉める。
"雨が降っている"="窓を閉めたい"
が常に成り立つわけではない。

「自分の部屋の窓は自分で閉める。なぜなら自分の部屋の窓であるから」
ちょっとだけ進次郎の真似をして、心の中で独りごつ。

バイクのハンドルの脇に、マイナスドライバーをさしている。
中古で買ったスーパーカブは、気温によってエンジンの調子が違うから。

「そんなの持ってると、めんどくさいお巡りがいたら職質されるよ」
と職場でバイクにささったドライバーを見て彼が言う
「お前がめんどくさいよ」
と思うが、口には出さない。
彼はまだ自分がめんどくさい人間であることに気づいていない。
たぶん一生気づかないのと思う。
それでいいと思う。僕の人生には影響がない。

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