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『アナベル・リイ』 (小池 真理子)

怯え続けることが私の人生だった。
私は今も、彼女の亡霊から逃れることができないのだ。

1978年、悦子はアルバイト先のバーで、
舞台女優の夢を持つ若い女・千佳代と出会った。
特別な友人となった悦子に、彼女は強く心を寄せてくる。
しかし、千佳代は恋人のライター・飯沼と入籍して間もなく、予兆もなく病に倒れ、そのまま他界してしまった。

千佳代亡きあと、悦子が飯沼への恋心を解き放つと、彼女の亡霊が現れるようになり――。

商品解説より

ゾワゾワしたい人におすすめ。
今まで、ホラー小説を読んで怖いと思っても、ざわっと鳥肌が立つことはありませんでした。でも『アナベル・リイ』は読んでいる間に何度か鳥肌が立ちました。

今のホラーというジャンルの本って、だんだん変わってきましたよね。なので、陰惨な雰囲気のある恐怖をテーマにしたもののイメージがあります。
その点から見ると『アナベル・リイ』はホラーストーリーっていう感じではなく、かといって昔懐かしい怪談、という感じでもない。

きっと文章の美しさが「怖ろしさ」をより神秘的なものにしていると思います。「ゴースト・ストーリー」という言葉が宣伝画像にかかれてましたが、なるほどと思いました。

エドガー・アラン・ポーの詩、「アナベル・リイ」を題材にした本で、思い出すのは大江健三郎さんの『臈たしアナベル・リイ総毛立ちつ身まかりつ』。昔「いけないもの」を読んでしまったような気がしたのを思い出しました。今は『美しいアナベル・リイ』というタイトルになっているみたいです。


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