再開

[前置き]エッセイの真似事みたいなことを書きます。note初心者です。


とある友人の誕生日をお祝いすべく、何人かの友人たちとの間で計画を練っていた。

だが友人の誕生日の前日になって、毎年恒例としていたクラッカーを買っていないことに気づいた。

下校途中にダイソーに立ち寄ってみたが、取り扱っていないという。色紙とパーティーグッズを買って店を後にする。

すると、帰宅途中にセブンイレブンを見つけた。だめもとで、店内に入ってみることにした。

雑貨やおもちゃの棚を物色してみるが、見当たらない。そこで、店員に聞いてみようと思ってレジを窺うと、

昔の知り合いだった。学校が一緒だったからお互い顔は知っていたが、当時からわたしはその子から嫌われていた。(嫌われていた理由は思い当たらなくもないが、それが確かなら誤解だ。わたしも誤解を解こうとしなかったので嫌われ続けて仕方ないのだけれど。ただ、自分が嫌われていることは自覚していたので、態度に出すことはなかったものの、当時から苦手意識はあった。)

「すみません、クラッカーって置いてますか?」

出来るだけ自然に、初対面のつもりで尋ねるように心がけた。

すると店員もわたしの顔を覚えていたらしい。目を合わせた直後、店員の目が心なしか鋭利になる。途端に引き締められた口元は、淡く残るわたしへの敵意の表れなのだろうか。あるいは、わたしの気のせいかもしれないが。

コンビニのアルバイトにしては若干厚めのファンデと真紅の口紅。

当時から変わらない、芯の強さが窺えた。

「取り扱ってないです」と彼女はひと言。会計で使うお金の受け取り皿みたいなやつ(あれってなんて言うんだろ)を素早く滑らせてわたしのいる側に差し出した。こちらに向けられた眼差しは揺るがない。

勘に触ってしまったのだろうか。

そうですか。ありがとうございました。とひと言添えて、店を後にした。

夜風に当たりながら、きっとこのあとわたしに会ったことTwitterとかで愚痴るのかなぁ、とか思ったところで、考えることを辞めた。

その人が自分の悪口を言うんだろうと根拠もなく思いこむのは、被害妄想でしかないし、彼女にとっても失礼だと思ったから。

クラッカーを探して奔走するわたし。

バイトをしてお金を稼いでるあの子。

お互いそれなりに頑張ってる。それでいいじゃないかって、勝手に納得して帰り路に着いた。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?