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2023/11/06 日記、詩四篇

斬っ裂く舞ってく轡で呼びたい呼びたい呼びたい! こんにちは、二十一歳です。ようつべで見つけて最近ずっと聴いてる曲が、実はチックタックでも流行っているそうです。先ほど四篇の詩を書きました、それはべつに詩と呼ばれずとも当然にそこにあるのですが、通じない言葉を使うのはもう飽きてしまった、青い光の中から声が漏れて出てくるのですが、それに従うことが一番楽なのだと気づきます、二十歳にもなればそれは気づきます、私は未だ人に正しく挨拶が返せません、それに流行りといえばですが、また美容院で、思春期に心的ストレスを受けることなく育ったタイプの人を失望させることができた、というので、私はそれを悲しく思いながらも、友だちを作ろうとして、言葉を勉強していますが、一体脳汁の出ないゲームのようです。一昨日、眼鏡のネジも締めてもらいました、野暮ったい髪型をしている女性は見ていると嫌な気分になってしまいます。お小遣いで今日もお買い物をします。小間使いじゃないのよと老婆は喚き散らします、彼は重たいヘッドフォンを振るい抑鬱と闘っています、彼だって辛いのです、まさかと思うでしょうがしかし、彼にだって真面目な一面はあります。そういうことを四篇目には描いています。私は口下手で誰にも彼のことを理解させられないのですが本当は彼もいろいろなことを考えています、屑ではなく、社会に貢献だってできます就活もしています。ええ。:) 一〜三篇目はテーマなど何も考えず書いており、四篇目はいつのまにかテーマのようなものが浮かび上がってきて勝手に完成した形ですが、一〜三篇目のウォーミングアップがあったからこそ四篇目になにか人に見せようという意気の宿ったものが書かれたと思います、そして一〜三篇目には加えて、やはり心を癒す力がありました、なにか取り返しのつかないことをしでかしてやろうかというくらいイライラしていたのが、落ち着いたのです、傷つけることに鈍感な人というのがいて、そういう人が傷ついたときこそ、どうしたらいいのか普通は、わからないでしょうが今日は、言葉遊びというのに救われました、だからこれを書いています、これでフィニッシュして課題にでも取り組もうかという算段です、でも気が萎えています、木が枯れています、死が垂れています、実が熟れています、胃が揺れています、臭いトイレ。←こういう調子です。これはひとになにももたらしませんが彼の体を温めることは確かです。なにもかもバラバラにして一から組み立て直すような、そういうデトックスのようなのは、ドラッグなどで聞きますが、iPhoneのメモ帳でもそれができるんです。助かります、今日は本当に助かりました。はあ助かったというとき少し気持ちがいい。生の実感と呼ばれます。私、彼、おれ、僕ら、彼女、君、どれを使ってもいい、というところが始まりになるかと思います、主語をバラバラに壊すのは私の提案するメモ帳セラピーに重要なことです、もう一つ、人になにももたらせない意識状態でありながらも慎ましく提言できることというのが、好きなリズムにのっとって書くことです、それによってマインドフルネスに該当するようなものを得ることができて、より精神を癒すことができます。概念の解きほぐしと拍子です。こう書いてみると妥当性があるように思えます、なんとなく聞いたことのあるような方法だからです。さて、数十行目から始まった、人になにかもたらそうという意志の息吹のベールのようにふりかかった文章は、ここで終わりです。たまたま書けただけだからです。冒頭から私がどことなくよそよそしかったのは、心のどこかで誰かに読んでほしいと思っていたからです、しかし正当な努力を今の私はする気がないのです。癒されましたが眠たいです、部屋の窓の大きさにはじめて気がつきました、枕元に絵を貼ることを思いつかなかったのは、バスタオルの足りないせいですが、私は洗い物と掃除が得意で、ある人の陶器の食器と関わるように、私の大切にするものがあります、そういうことの一部も四篇目に書きました。書いたというもののはっきりはしていないように思います、まだ不安なところがあるように思います、しかし今夜よく寝たら、明日の朝には気分がよくなっている気がします。筆が止まりました。筆が止まったと書いたことであの正当な努力が要され始め、その圧力はたった今増してきていることでしょうが、私にその気はありません。一番好きなおやつはパンです。性器を無くしてしまいたいです。犬と交配してみたいです。それによって幽霊になってみたいです。あまりにも抽象的な試みと、たった今帰ってきた母の「お風呂洗っといてよー」という要請が、この生に同居していることが、私にとってなんとも、苦しいのか悲しいのか嬉しいのか狂おしいのか、それか、自らの愚かさを完璧に明快に説明する叱咤であるのか、ともかく私は誰かに何かを聞いてほしくて、今とても恥ずかしいことをしているというのはわかります、彼は誰かに何かを聞いてほしくて、どう見ても恥ずべき行為を犯しています、包んで丸めても滲んで拡がりつづける、どうしようもないのです

朝食
葉が枯れている、剥がされていく薄皮、足の裏、踏みしめてきたことのないと気づく、芝生、青いにおい、人の気持ちがわからない、我々は友情を探している、君の奥歯を覗いている、どんな形の穴が空いているのか知りたい、知りたいと思って見て取って、それでもわからないことがある、それでも歩けないことがある、靴、黒、スポンジ、グランジ、秋のお買い物、冬の寝床、君と出会ってから四季の巡るのが異様に速い、大人になってから大切なものを失うのが異様に容易だ、コロラダ、わたしは、黒々とひろがる宇宙の奥の、見つめる先の孤独を描きたい、それをリビングの壁に飾って、君とサニーサイドアップの朝食をならべたい。

午睡
もぐもぐ、おいしい、おいしいかった、紅葉だった、生き物だった、犬や猫は後悔しなかった、人のようだった、実は違った、漫画の中の青春は本物でなかった、言葉が出なかった、君は笑わない、僕は笑わない、挨拶を知らない、夕焼けが綺麗だというのをどうして伝えればいいのか知らない、ただそうであったことはひとになにももたらさない、ただそうであったのにつぶやきは価値を持たずに、私は部屋から出ることを許されない、許されたい相手がいることが人類を殖やしたのに、私はそれがわからない、どうしても、なにかをなかったことにしたくて、直線の雪原を適切な靴で歩いた、はずなのに指先は黒く腐り落ちた、膿が涙の代わりに語る、私の深い悲しみを騙る、ただ苦しかったということは君になにももたらさない、唐突に防犯ブザーが鳴る、ただ鳴ったことはひとになにももたらさない、その響きが水洗トイレに似ていたことで初めて君は笑う、その響きの持つ嘘つきの相似が初めてひとを救う、私はそれがどうしてもわからずに、裸で曲線の草原を歩いた、開けた場所まで辿り着いたら、なんの夢も見ずに植物のごとくに眠る、目を閉じるか開けるかも重要でない、涙でも笑みでもどんな言葉でもない、午睡の溶けてゆく自然の中に、殖える前の人類の影が、私を連れていって抱きしめて、いつしか私は抱きしめられているのでなく抱きしめていた、君はもうどこにもいなくて、私はやっと世界をわかった気になれた、冬に枯れてゆく草木の中に、四季の境界も国家の境界も必要としない、純粋な午睡は平穏をもたらした、抱きしめるものと抱きしめられるものに。やっと。

かね
〈今すぐヤリまくり!〉私は特に何も知らない。←danger、danger、後ろを振り向けばゾンビの世界。タカタカ高々撃ち続ける、音楽は死ぬまでなり続ける、踊り続けてもタイルがそのまま、業者の到着まではあと十四時間。POPSのドックス(ドックス、ドックズ、人間の屑やくそくをなくす。)「目やについてるよ」お母さん。お母さん。もうお母さんはわたしのお母さんでないの。私は男の子でなかったの。お父さんを選んではいけないの。〈今すぐクリック!〉熟女が君を待っている、アルコール消毒。朗読。文盲の警察官が必死に荒野を駆けており、僕は双眼鏡でその姿を追い、射精。エベレスト。凍傷。勲章。軍神、そのまま死ぬ約束だったのだけれどなくしてしまった。今や私は何も知らない。今や私は死ぬために、今や私は死ぬために生きられない、下腹部でなく手首や太腿やデコルテを、日本刀でなく安全カバー付きの剃刀できりつける。ひらいた肉の間から、ねっとり誘惑する声がする。〈今すぐヤリまくり!〉八年ぶりの汗だくセックス。射精? 私は今や何も知らない。私は今や女でもない。さて何歳? 陰茎の有無? 当ててごらんなさい、トゲトゲの天井はもうすぐそこに。物言えぬ意識宿す桃色の肉の塊になる前に、マリアに精子をやろう、かね。

昼休み
昨日食べたサンマとレモンののったピザは大層美味かった、チョコレートムースも美味かった、鰤も美味しかった、散歩が楽しかった、紅葉狩りだった、風が暖かかった、僕ら色んな話をした、中庭のガラスのテーブルに落ちた陽光が美しかった、君の横顔には鼻がなかった。何のために生きるかと君は問うた、おれは生きるために何をもつくると応えた、それは罪ではないのかと君は問うた、おれは罰がこの家の柱を巡っているから君の部屋は東向きなのだと応えた、私は罪を背負っているのかと君は問うた、問う必要もないとおれは応えた、おれは意地悪がしたくなって、人間をこのブレッドナイフで刺し殺せるだろうかと問い、おれが世界で一番愛しているのは君だと言った、おれはナイフを逆手に持ちかえて肘をガラステーブルに乗っけて拳で柄をしっかり握る、君はこちらを見る、まっすぐこちらをみる、罪を背負った瞳でこちらを見る、美しかった、紅葉狩りは楽しかった、陽の光は毎朝うれしかった、君との約束は尊かった、それらすべては罪だった。君の顔には鼻がなかった、それもひとつの罰だった。僕らあざやかな味を感じる舌を持っていた、それもひとつの罰の筈だった、美味しい食べ物と豊かな自然が大好きな君、君はおれの意地悪な行為について、静かに立ち上がりだけして、あなたは罪をほろぼすかと問うた、おれは応えるのを躊躇った、なぜならおれ自身にだってわからなかったから……わからなかったから。君との約束を破ることはそれだって罪じゃないかとおれは問うた、君は頷いた、おれは君の顔の傷ついていない部分、頬をめがけて刃を差し込んだ、君は唸って蒼白になって倒れた、午後三時の太陽と、君の鮮血が同じ速度で、タイル張りの床をゆっくりと流れていった……おれは今しがたひとつの罪を背負って、同時に数えきれないほどの罰を受けて仕舞いにした、そういうことをおれは悟った。おれは前菜の皿に、君の清い血に濡れたナイフを置き、赤面して哭いた。君の顔は以前より醜くなった、君はほとんど動かなかった、人々のくらく深い夢の底に、とっぷりと昼がおりてゆくのがわかった、おれは本当は、マリナーラピザよりチョコレートムースより旬の鰤より紅葉狩りより温風よりひととひとの交わす色んな言葉よりガラスの散らす光より太陽より風より幾何学的な因果より、君の横顔と穢れた瞳を美しいと思っていたのだ、そしてそれは未だ変わらないのだ、また幾度道を外れて、罪と罰がこの中庭に積もっても、今日のようなことはもうしたくないと、おれは思った……君が息を吹き返し、そのことをおれが君に約束したら、僕ら犯すべき罪がまたひとつ増える、僕ら味わうべき味がまたひとつ増える、目覚めるべき朝が座るべき椅子が見るべき夢が、またひとつ増える、終わらない昼休みに、時計塔がまきもどるのをおれは見た。おれは君を抱き上げる、純な魂の流す涙が君の頬に落ちる。美しかった。

善の実践に使います。