伝
まわりにあるものが好きだったら
誰かと心から同意できたりする
おもしろいものが好きだったら
誰かを笑わせることができる
好きなものが伝わらなかったら
そこには
伝わらなかったという記憶と
少し冷たい風が残る
つむじ風のように渦を巻いて
いくつかの悲しげな色たちを巻き上げて
伝えるために駆け出していたものが
伝わらなかったらどこへ行くのだろう
その勢いのままでどこまで
歯車が扉を守る大きな島の果てに飛んでいって
そこに住む緑色の小さなとかげに見つかって
しばらく収集されたのち
こっそり逃げ出したりとか
生き物に囲まれた火の上をかすめて
すこし焦げたりとか
海に落ちて船に流され海藻に導かれ
海の中サンゴの端につかまって空を見上げてるとか
どうか旅よ続けと思うばかり
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