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【AC6】火をつけろ、燃え残った感想すべてに───AC6プレイ感想!!

始めに

2023年8月25日に発売された『アーマード・コア6』。その発売日から何かにとりつかれたようにAC6をプレイし続け、コーラルを吸い過ぎたドーザーの如く脳みそ幸せだぜ状態に漬かっていた。
ここ最近ようやく一呼吸つけるようになってきたので、コーラルハイが続いているうちに感想とか、ゲームの考察とかを書き散らしていこうと思う。

なお内容的にストーリーのネタバレを含んでいる部分もあるので、未プレイだったり今遊んでる! という人はご注意願いたい。

G13! 楽しい感想戦の始まりだァ!!!!


プレイ状況について

PS5版をプレイ。今のところのプレイ時間は90時間ほど。全ルートをクリア済みで、9/3には全ミッションオールSをなんとかとり、トロコンを達成した。最近は対戦環境に潜っては他人の機体をじっとりと眺めまわしたり、XのTLに流れてくるチャティ構文やイグアス弄り、登場人物たちのファンアートを探し回るのが日課。(プレイ関係ない)

「アーマード・コア」ここに復活する

回りくどい話をして忘れてしまうまえに感想をいうと、超面白い。
ほぼ10年ぶりとなる「アーマード・コア」シリーズの最新ナンバリングタイトルというところで、発売前から非常に期待値が高かったゲームなのだが、時間を忘れてプレイするほどに遊びこんでしまった。

これまで培ってきた「アーマード・コア」としてのエッセンスを下地に正統進化してきた部分と、「フロムソフトウェア」として10年の間に獲得してきた技術や経験をまんべんなくぶち込んでいた。これまでのシリーズを遊んできたコアなファンたちの期待に応えつつ、シリーズ未経験者にも遊んでもらえるようくみ上げられたゲームだと感じた。
特にバトルデザインは同社のもう一つの看板タイトルである「ソウルシリーズ」系列でおなじみ、ソウルライクな戦闘バランスに仕上がっており、メカカスタマイズアクションとして新しい境地に到達している。新たに導入された「スタッガー」のシステムと合わせて、攻守の切り替えを感じさせるドラマチックな戦闘によって、これまで以上にダイナミックかつカッコいい戦闘が自身の手で描けるのはとても嬉しい。
また、強大な敵に挑むにあたってアセンブルの要素が非常に重要になっており、敵の弱点や行動を考えたうえで機体を組むという壁をプレイヤーに与えることで、アーマード・コア本来の楽しさであるメカをカスタマイズする喜びを感じることができる。

総じて、高い技術力と経験に基づき新しく生まれ変わった「アーマード・コア」であり、ストーリー・ゲームシステム・バトルデザインなどがバランスよくまとまったゲームだと感じた。こまごまと思うところはあるものの、オフラインでのコンテンツとなるストーリーモードは非常に楽しく絶叫しながら遊ぶことができた。
10年という長すぎる時間を経て、「アーマード・コア6」によってシリーズは完全に復活を遂げ、今後のさらに新たなナンバリングの開発に続いていくのだと確信を持てる。メカカスタマイズ×アクションが好きな人にはぜひとも! おススメしたい!! 興味があればお手に取ってみてください、ご友人!!!

レーザーダガーの美しい軌跡。
本作はフォトモードもあり、いろいろなSSがとれるのも魅力。

ここがイイ! 語りたいところ

圧倒的なグラフィックス

今作では現行機であるPS5やPCなどでも発売されており、グラフィックスが極めて美しい。4K出力で映し出されるゲームの舞台「惑星ルビコン3」は様々な表情を見せてくれるし、そこで繰り広げられる激しい戦闘はこれまでのシリーズでは考えられないほどに鮮明なものとして描写されていた。

ルビコン3の一部。
超巨大な建造物が天を覆い、廃墟と化した街が広がっている。

まず、ゲームを起動して「めっちゃ綺麗…!!」と思った。『わぁ普通の感想』って思うかもしれないが、一番最近やったアーマード・コアシリーズが10年前に発売された「ARMORED CORE VERDICT DAY」なんだから仕方ない。当時はFPS30で、しかも砂嵐やエフェクト掛かった画面が多かったために非常に見にくかったのだが、流石最先端の現行機、4K画質でみるルビコンの世界はめちゃくちゃ美しい……

世界観もフロムソフトウェアが得意とする、どこか影を落とす退廃的な世界。むき出しの配管や巨大な鋼材で構成されたメガストラクチャー、「アイビスの火」によって完膚なきまでに破壊された市街や放棄された巨大施設。生き物の気配すら感じない荒涼とした砂漠地帯や雪降る寒冷地など、ただ歩いているだけで「惑星ルビコン3」の様々な表情を見ることができる。

これら世界の表情に関して「エルデンリング」「ソウルシリーズ」で培ってきたグラフィック技術と、これまでの「アーマード・コアシリーズ」の世界観がうまくマッチしているように見える。遠くに見える景色もだが、破壊された建物やそれに投下される陰影、そして敵や味方、自身の放つド派手なエフェクトなど目を引くものの描写と、世界になじむ光と影のつけ方はフロムならではの味付けを感じる。

光と影、陰影に映し出される機体がカッコいい。

ソウルライク×アーマード・コアの化学変化

ここ数年、フロムの看板的タイトルと言えば「ソウルシリーズ」「Bloodborn」「SEKIRO」そして「ELDENRING」などバチバチのアクションゲームであり、その特徴的な部分として「死んでおぼえろ」と言わんばかりの高い難易度設定がある。

一つ一つのボスが滅茶苦茶強く、それら簡単に突破できないボスを攻略するため、プレイヤーは武装やアイテムを精査し、相手の行動パターンを把握・予測し、自身の行動や武装を最適化することで一つずつ突破する。そうして「何度も苦渋を舐めさせられた強敵を倒した!」というカタルシスと戦闘で得た経験を元に、更なる強敵に挑んでいく……といった非常に中毒性の高いバトルデザインを提供している。
もう大好き!! うまく型が嵌った時の脳汁の溢れ方は尋常ではなく、得られるソウルやルーンを消費することで自分自身もどんどん強化されていくのが目に見えて実感できるのだ。また、戦闘を重ねていくことで自分のビルドや特性に合った戦闘経験を積むことができるのも大きい。

一方「アーマード・コア」シリーズのストーリに出てくる敵は、正直に言えばそこまで強くはなかった印象だ。一部手ごわいボスや、やたらと難易度の高いミッションはあるものの、出撃できる機体構成であり、ちゃんと弾が出て飛んでいく武装が積んであれば何とかなるレベルの物がほとんどだった。
どちらかといえば「自分の好きな機体構成でも(大抵)クリアできる」といったぐらいの難易度であり、そういう意味合いでは「行動最適化のソウルライク」「装備自由度の高いAC」とも見れなくはない。

しかし本作「アーマード・コア6」にはこれまでの「ソウルライク」的なバトルデザインに加えて「SEKIRO」の体幹ゲージのような「スタッガー
の要素が追加されることで、登場するボスはより強くなっている。そして攻守の立ち回りが非常に重要なものへと変化することで、劇的な戦闘を演出できるようになっていた。

攻守を意識した立ち回りが、よりドラマチックな戦闘を演出している。

立ちふさがる圧倒的なボスたち

今までのアーマード・コアにでてくる所謂「ボス」というのは、基本的にはACよりも強い。……のだが、スタッガーのシステムはなかったため、適当にグレネードやガトリングを撃ち込んでいれば勝てる相手が多く、最悪ガチタンで引き撃ちをつづけていれば処分可能ではあった。また、攻撃パターンもワンパターンなことが多く、高いAPや特殊な攻撃を仕掛けては来るが、そんなに考えなくてもごり押しできてしまう相手だったと思う。ぶっちゃけデカいボスより敵ACの方が厄介だったことの方が多いイメージだ。

本作に登場するボス、カタフラクト。
遠近距離をとり続ける高機動戦闘となる。

本作に登場するボスたちは、これまで以上にACよりも圧倒的に強い。高AP・高防御・超火力に加えて移動速度がめちゃ早かったりと「もうこいつらだけでいいんじゃね?」と思わなくもないスペックをしている。
またボスもそれぞれ個性的で、一気に距離を詰めて轢こうとしてきたり、大量のミサイルで飽和攻撃をしてきたと思ったらクソデカブレードで焼き払ったり、終いには飛ぶ斬撃をこれでもかと撃ち込んできたり、これまでのアーマード・コアのボスにはなかった激しく多彩な攻撃パターンが多用されている。

当然、無策で真正面から殴り合いをすればボコボコにされてしまう……のだが、「スタッガー」の要素が加わったことで「回避に専念する場面」「全力で攻撃する場面」の立ち回り意識を自然とできるようにデザインされていた。
敵のACS(スタッガーを発生させる値)が上昇しきるまでは、敵の攻撃を避けつつACSを蓄積させる攻撃を出し、完全に溜まり切ってスタッガーが発生したら「ぐへへ、こっちのターンだ!!」と言わんばかりに殴り掛かる。攻守のタイミングを作ることで、戦闘にメリハリができるほか、敵の攻撃をゆっくり見て覚える、反撃する、という流れが作りやすくなっている。何より、「全弾発射せよ!」と言わんばかりに猛攻をかける自機を眺めるのはなかなかに気分がいい。これまでやられてきた分をお返しできる絶好の機会を用意してくれる、非常によくできたシステムだなぁとボコボコにされながら思ったのだ。

バチバチにボスと殴り合う。
本作は非常に近距離での戦闘が多いのも特徴的だ。

原点にもどって、アセンブルの重要度

本作ではこれまでのシリーズ以上にボスが強力であるため「アセンブル」の要素が重要になっており、「このままじゃ勝てない!」と思った時は機体構成を一から見直し、時には大胆に変えることが重要になってくる。
重量機でなんど挑んでも全然勝てなかったのが、軽量機で速度を上げたらすんなりいった……なんてことがざらに起きたりする。もちろん、武器を変えただけでもボス攻略に大きな変化を感じることができる。

ショップに並ぶパーツのタイミングも分かりやすく、例えば序盤に登場するボス「ジャガーノート」は正面装甲が厚いため背面か天井(天板?)を狙う必要があるが、そのタイミングで垂直ミサイルがショップに並ぶなどパーツの登場タイミングに工夫が見られる。一時期Xのトレンドに居座り続けた「バルテウス」も、パルスアーマーを破壊するならパルスガンが有効で、これもまたボス登場前にショップに並び、武器のテキストにも有効な旨が書かれていたりする。

通じて本作のボスたちは非常に強力で、なんども戦いその行動パターンを理解し、適切なアセンブルを施すことが重要になってくる。過去作と大きく異なる部分ではあり、「愛機の構成をそんな簡単に変えるなんて嫌だ!」という気持ちもわからなくはない。一応、頑張ればどんな機体構成でも突破は可能ではあるものの、当然それに見合った技量が求められる。
因みに私は1週目、大好きなガチタンで挑んだのだが各ボスに大変苦戦し、2週目から中・軽量機を触ってみようと思いアセンを変えてみたところ、びっくりするぐらい簡単にクリアできたりした。
一度クリアできると、自分にとっての最適解を得られるため、2度目以降はすんなり勝てるようになってくるのも面白い所だ。それぞれのボスにあった武装やアセンを機体データとして保存し、必要な時には組み替えて戦う。ある意味、本来あるべき形のアーマード・コアが帰ってきた。

拘りは大切である。だが、まずはともに壁越えを果たそうじゃないか、戦友。────だってそのボスのあとに、もっと強いボスが出てくるんだから。

一周目を共にしたガチタン。当時はお金がなかったため、完全ガチタンではない。
厳しい戦いを共にした愛機だ。
二週目以降で乗り始めた中量二脚。
コンセプトは早くて(弾薬費が)安い。

理解しやすいストーリーと蘇ったマルチエンディング

アーマード・コアシリーズと言えば、やたらと難解で意味深長なストーリーがいい意味でも悪い意味でも有名である。
気が付いたら僚機に突然裏切られたり、イレギュラーと呼ばれて排除されかけたり、返り討ちにしたりしてたらいつの間にか人類種の天敵になってたりなど……大抵何かしらの陰謀策謀が裏で蠢いているのだが、それが全然出てこずほぼ語られないためにプレイヤーの考察が出て回り、ストーリーが補完されたりなどされる。良くも悪くもフロム脳たる所以ではあるが、やっぱりわかるように説明してくれると嬉しくはある。

しかし今作は過去作に比べてみれば比較的分かりやすく、シンプルなストーリーとなっている。登場する組織のスタンスも明確でその目的も理解しやすかった。

ルビコン3で生まれ育ったルビコニアンで構成され、企業や惑星封鎖機構の専横を排除し、コーラルとの共存を掲げる《ルビコン解放戦線(RLF)》
ルビコン3に眠るとされる超資源コーラルを奪取・独占しようとする《大企業(アーキバス/ベイラム)》たち。
それらのどこにも属さず、各々の目的のために雇われ、金を得る《独立傭兵》
独立傭兵を各企業やRLFに仲介・斡旋し、手数料を得つつ独自の組織形態を持つ《ALLMIND》
そして、主人公C4-621の飼い主であり、惑星ルビコンに眠るコーラルの殲滅を目的とした《OVERSEER》などだ。

これらの登場団体たちが、それぞれの思惑やグループの垣根を超えて関与し干渉しあう巨大な群像劇でもあり、プレイヤーはウォルター配下の飼い犬C4-621として、ルビコン3に眠るコーラル争奪戦に身を投じていくのだ。

それぞれの組織の立ち位置や目的、その理念など共感できるものが多く、その行動は分かりやすい。どの組織に付くのか、それを選択することでC4-621でありプレイヤーはこの物語の結末を選び掴むことができるようになる。

そしてその大きな物語の筋としては、下記の3つに終着していくことになる。

  • ルビコン解放戦線と共同し、OVERSEER&企業をぶちのめす《コーラル共存ルート》

  • OVERSEERと共同し、企業&ルビコン解放戦線をぶちのめす《コーラル殲滅ルート》

  • ALLMINDと共同し、人とコーラルの真の共生を目指す《コーラルリリースルート》

の3つある。本作はミッション形式で話が進んでいくが、選択するミッションによってエンディングが変わるマルチエンディング形式で、3つ目の《コーラルリリースルート》については3週目にようやく解放される、裏ルートみたいなポジションとなる。1,2週目の答え合わせというか、そのルートの裏で起きていたことをプレイヤーが体験していくというなかなかに熱いルートで、やりごたえがあった。

このルート分岐は割と最終盤に選ばされるのだが、そこに至るまでにウォルターやカーラ《OVERSSER》の想い、コーラル変異体であるエアとの交流などがあるため、選択にはかなり迷いが発生する。

《OVERSEER》たちと共同すれば、ウォルターの願いでもあるコーラルの殲滅に乗り出すわけだが、それはこれまでともに過ごしてきたエアを切り捨てることとなる。
対して《ルビコン解放戦線》と共同すれば、エアや実はルビコン解放戦線のメンバーだった戦友・ラスティと共に、《OVERSEER》や企業を滅ぼす結果となるため、ウォルターやカーラを裏切ることとなる。非常に悩ましい。

そう思わせる要因の大きなところが、濃すぎるキャラクターたちの存在だ。

あまりにも濃すぎるキャラクターたち

アーマード・コアシリーズといえば、登場するキャラクターたちにほぼ立ち絵がないことで有名である。あるのはエンブレムと通信時に聞ける声、あとは機体(オペレータの場合機体すらない)ぐらいで、個人を特定できる要素が非常に少ないのである。背景なども語られないことが多く、それゆえに妄想で補完されることもしばしばある。

ただ、本作のキャラクターたちは上に書いたようなわずかな情報しかないにも関わらず、異様なまでに彩り豊かで、しかもほぼほぼ全キャラクターが本編・ないしはミッションに登場しデカい爪痕を残していくのだ。
毎回、アーマード・コアシリーズにはアリーナと呼ばれるシミュレーション戦闘ができるものがあるのだが、本作では30人のキャラクターと戦うことができる。この30人が何かしらの形でミッションなどに出てくるのだ。これはちょっとした異常事態である。しかも30人全員キャラが濃い。

おかげでXでは、誰も見たことの無いはずのキャラ立ち絵が沢山描かれており、見たことないのに知っているという奇妙なことになっている。往年のアーマード・コアシリーズにもファンアートは存在していたが、ACが描かれているものが多かった。本作のキャラクターファンアートの多さは、登場するキャラクターがそれだけプレイヤーに影響を与えているといってもいいだろう。

プレイヤーと一番関りの深いNPCと言えば、《ハンドラー・ウォルター》だろう。腕と手に巻きつく幾つもの紐が、これまで彼が使役してきた強化人間を示すだろうことは想像に難くない。発売前に公開されていたPVなどでも非道なサイエンティスト、ないしは人を物として使い潰すことに何の感傷も抱かない無常にして非情な男というイメージだった。

しかし、物語が進むにつれ《ハンドラー・ウォルター》がそういった人間ではないことが伺い知れてくる。確かに強化人間を作り、目的のために使い潰しはしているものの、そのことを忘れているわけではなく、あまつさえ心を痛めてそうな描写がみられる。プレイヤーの操作するC4-621についても、この仕事を終えたら手にした金で人生を買い直せと事あるごとに言い、暗に心配しているようにも見える。感情の薄い、抑揚のない声はどこか冷たく聞こえるが、それも自身の感情を抑え、冷たくあしらおうとすることで強化人間との深いつながりを持たないようにしているようにも見えてくるのだ。
こうなってくるとエンブレムも、彼が紐を支配し、強化人間たちを操っているという意味と同時に、彼もまた強化人間たちとのつながりに縛られ、その縛りから抜けだせない暖かな呪いのようにも見えてくる。

そして本作のヒロインともいえるのが、コーラルから発生した自我(波形)の一つ《エア》だ。コーラル汚染の直撃を受けた主人公が、その後遺症として彼女の声を聞こえるようになることで交流が始まる。
主人公とともに行動していく中で、ルビコンの事、コーラルのことを知り、また主人公に知ってもらい、ただ指示されるだけでなく自身で選択を選ぶことができるよう、成長を促す重要な役回りでもある。
そのエア自身、発生した自我としては幼く、人に関しては無知なところも多いというのが面白い所だ。エアに導かれてというよりかは、エアと共に主人公も成長していくのだろう。最初はどこか無機質な感じの声だったりするのだが、次第に人間性(といっていいのかは謎だが)を獲得し、主人公がピンチの時は慌てた声を上げたり、冗談でALLMINDの声真似をしてくれたり(しかも結構似ている)と親密度が上がるにつれ様々な一面を見せてくれる。

バルテウス戦以降、サポートをしてくれるエアちゃん。
それ以外にも疲弊した621にこれでもかと仕事を持ってくる。鬼か。

まぁこの二人とも、最後のミッションの選択肢如何ではめっちゃ敵対してなんなら最後のボスとして立ちふさがるのが粋な演出なのである。フロムは人の心がないらしい。知ってた。しかもめちゃくちゃ強い。

《ハンドラー・ウォルター》《エア》は濃いキャラクターの代表として挙げただけで、他にも濃いキャラクターは大量に居る。

ベイラムお抱えのAC部隊「レッドガン」の面々。とくに《G1ミシガン》の鬼軍曹みたいなだみ声はめちゃくちゃ脳内に残る。あの総長の通信楽しすぎていつまでも聞いていられる。作戦のことを毎回遠足といい、茶目っ気たっぷりなブチギレおじさんなのである。しかも中の人がノリノリでXにネタボイスを投稿してくれたりもする。いくら何でも面白過ぎるだろ。
《G4ヴォルタ》《G5イグアス》のやんちゃコンビも目が離せない。特に《G5イグアス》は主人公になにかにつけて突っかかってくるキャラで、何の用もないのに突っかかるためだけに通信してきたりする可愛い奴なのである。あのやんちゃボイスで「野良犬テメェ調子乗ってんなよ!!」って吠えてるところを想像するとほっこりするよね。狂犬めが。

G1ミシガンの楽しいブリーフィング。
愉快な遠足の始まりだ!

同じくアーキバスお抱えのAC部隊「ヴェスパー」の面々もこれまた濃ゆい。トップを張る《V.Iフロイト》はアリーナトップランカーであり、最強のAC乗りであるがなんと純粋な人間で、まともそうに見える戦闘狂。めちゃくちゃ声がいいのに出番が少ないのが少し残念ではある。
そして事あるごとにでてくるヴェスパー部隊の実質的リーダーである《V.IIスネイル》はねちっこく高慢さがにじみ出るこれもまたイイ声で、主人公のことをこれでもかというぐらい煽るのだ。あの声で『駄犬』って囁くASMRがアーキバス社内では流行っていてほしい。因みにそんな感じなので、同じヴェスパーの面々からも人徳がないのである。有能なのに人徳がないこの感じ、スリザリン寮にいそうなタイプである。当然のようにネタにされつつある。
そして本作でのライバル兼戦友ポジに《V.IVラスティ》がいる。めちゃ爽やかなイケメンボイス。実際颯爽と現れて、きっちり戦う良い奴なのだ。大抵こういう奴はろくでもないやつなのがアーマード・コアシリーズなんだが、恐ろしいことにマジでいい奴だったことが発覚する。ルート分岐によっては敵対もするが、それは選んだ道が異なるためであり、敵対する理由は理解できる。今までみたいに突然裏切られたりすることはない。

初めてあった時のV.IIスネイル。
超高圧的で最後までそれを貫く、めっちゃ好き。

物語の都合上、ベイラムやアーキバスなどの企業とはどのルートを通っても必ず敵対するのだが、企業に肩入れするルートとか見てみたい。実際、最初のミッションでライセンスを取得(というか詐称)する際、ベイラム所属のライセンスを拾っていたりした(G7)ので、G13として活躍するC4-621という世界線も気になる。もちろん、ヴェスパーに所属してV.IVラスティ先輩と一緒にアーキバス社内でろくでもないことして遊びたくもある。

企業に所属しないキャラクターだと《RaD》《シンダー・カーラ》やその部下である《チャティ・スティック》も非常に濃く重要なキャラクターになってくる。Xで最近よく見るチャティ構文大好きです。毎回カーラ搬送されてるのは笑える冗談だ。
インパクトの強いキャラで言うと《オーネスト・ブルートゥ》なんかも濃い。というか存在が強い。空の方のACでも頭のぶっ飛んだ艦長をやっていたが、ロボの方のACでも頭のぶっ飛んだパイロットをやっていた。

他にも本来の《レイヴン》やそれらに関わるAC乗りたち、ぶっとびドーザーの《インビンシブル・ラミー》や殺し屋家業をされてる《スッラ》《コールドコール》《六文銭》などなど枚挙にいとまがない。もっと深掘りできるミッションがあると嬉しい限りだ。

ちょっと残念な部分もなくはない

10年ぶりのアーマード・コアで、内容もぎっしりつまり滅茶苦茶楽しい!
……のだが、かといって完璧というわけでもない。勿論、完璧なゲームなど存在しないのだが、個人的に気になったところを最後の方にちょろっとまとめていく。感想の蛇足の部分である。

レベルデザインは微妙かも

本作は敵のボスがかなり強いことで話題を呼び、発売当初からXのトレンドにボスの名前が入るほどだった。チュートリアルで登場する強襲ヘリ(通称ルビコプター)は、初期機体+ゲーム開始後不慣れな状態というのが最も高いハードルとして立ちふさがり、多くのプレイヤーにフロムのチュートリアルを体験させるに至った。
その後も心を折るボスが連続して登場し、1週目クリア率は半数程度(執筆当時)と激戦の様相を呈していた。しかしフロム自身、あえて難しい敵を配置し、それを突破することで得られるカタルシスを重要なゲーム体験として位置付けているので、難易度が高いのはある種当然のことである。

ただ、大絶賛を得た「エルデンリング」やソウルシリーズと異なり、本作はミッション形式でゲームが進む。ボスに詰まってしまったら、別のエリアを探索して強い武器を探す、レベルを上げて復讐を誓う、別のボスを倒して別ルートの話を進めるなどセルフ心折回避ができたソウルシリーズとはそもそもゲームデザインが違う。だが、本作ではソウルライクな強烈ボスを多数配置しているため、心が折れやすく感じる。そこで心が折れてしまったら青ニートまっしぐらとなりかねない。しかも今作はオンラインでお助けもできないため、真面目に詰まるとかなり厳しい。

特に序盤はジャガーノート、スマートクリーナー、バルテウスにシースパイダーと強力なボスが目白押しであり、一回心が折れると続けて戦うのがしんどくなる気はする。アセンブルを変えると作っとクリアできたりするが、そもそもアセンブルをやったことの無い初心者をぽんっと放り出すような仕様なのでかなり厳しい。あの大量にでてくるパラメータを見て、どこをどう弄ればいいのかわかる初心者はそう多くないと思う。最低限、脚部パーツが解放された段階で、各企業別テンプレ機体データみたいなのは渡してもいいと思う。(なおこの執筆中にアプデが入り、序盤のボスのいくつかは弱体化された模様)

AC6屈指の強ボスの一人でもあるアイビスシリーズ。
苦しめられた傭兵も多かったことだろう。

また、本作のボス攻略はアセンブルが非常に重要だと上の方で書いた。嘘ではないし間違いではない。が、ぶっちゃけ軽量機に重ショットガン2丁と近接武器を持たせればほぼすべてのミッションを簡単に突破できる。
開発側も、アセンブルをさせる気でボスを配置しているのだろうが、ボスの攻撃がどれも痛すぎるため、基本的に速度に秀でた軽量機で一気に距離を詰め、ショットガンを当てて即スタッガーにさせることで一方的にほぼすべてのボスを無力化できてしまう。アセンブルが大切とはなんだったのか。

コンテンツのボリュームはやや少なめ

ストーリー1週で大体50ミッションを突破する必要があり、結構なボリュームに思えるのだが、時間に換算すると15時間~長くても30時間くらいであり、意外とそこまでは掛からない。そのため、1週だけで満足してしまった場合はボリュームに物足りなさを感じるだろう。
本作は2週、3週…と何週も繰り返すことが前提のゲームとなっているため、1週当たりの時間を意図的に抑えているのかなとは思った。が、その分物語が急展開というか巻きで進んでいくイメージが強く、最終盤で監禁されたり眠らされてる間に、突然成層圏をぶち抜いた超巨大建造物ができあがっていたりと突拍子もない展開になっていたのは気になった。誰も建設妨害しんかったんかアレ。地上の日照権大陸レベルでなくなってそうだが。

ストーリーが分かりやすくなったのはとてもイイのだが、反面ストーリー自体にはそこまで意外性がなく、平坦な物語となりやすい。途中裏切ったり敵対するキャラもいるが、その動機は明快であるため、あとは「言葉は不要か」となる。アーマード・コアとしては正しいのだが、それ以上物語として語ることはなくなる。
個人的に、本作は特にキャラクターが濃い分、ストーリーを薄く感じてしまった。せっかくものすごくいい素材がそろっているので、もうちょっと長くなってもいいから細かく描写してストーリーを作りこんでほしかったなぁと思う。彼らの話をもっと見たいのだ!

企業側の内部や、もっと詳細な所を見てみたい。
ラスティ先輩と、もっと一緒に戦いたかった……

周回前提となるいくつかの要素

本作は物語の全容を見るためには、最低でも3週はストーリーをクリアしなければならない。マルチエンディングであるため、その部分はどうしようもない。ただ、周回時一部ミッションや結末が変わったり、新しい通信イベントが増えたりはするが、道中同一のミッションも多く、すすめるのは結構だるかったりする。
またアセンブルの幅を増やす各種パーツも周回状況にある程度紐づいているため、全てのパーツを集めるためには3週以上しなければならないのだが、「1週したらさっさと対人戦に行きたい!」というプレイヤーからしてみれば足かせでしかない。
パーツ集めに関しては、割と過去作からそんなところがあるが、別にそこは引き継ぐ必要性をあまり感じない。特定のミッションをクリアしたら配りたい、という気持ちもわからなくはないのだが……

やりこみ要素的なコンテンツが少ない

ストーリーを3週するとすべてのミッションをクリアしたことになる。ここから先は所謂クリア後扱いで、あと残されるコンテンツはと言えば、全ミッションオールSやパーツ集め、ログ集め、そしてオンライン対戦などである。
ただ、全ミッションオールSは新鮮さに欠ける他、スコアがSなどと評価されるだけであり、一度とってしまうと再度挑むことはほとんどない。またオールSしたからと言ってパーツがもらえるわけでもない(それでもらえるのだとしたらとても面倒なので嫌だが)ので、人によっては魅力的なコンテンツにはならないだろう。
パーツ集めも一度回収すれば二度回収することはなく、そもそもそこまで落ちているパーツが多いわけでもない。残るはバトルログやアーカイブ集めなどであるが、これもロアを充実させたりパーツを集めるといった目的であるため、半永久的に遊べるようなものでもない。
ショップの商品を全部買ってしまうとついにはお金の使い道すらなくなり、右上に表示されるお金がどんどんたまっていくのを眺めるだけとなる。一応、パーツ集めは探索要素的な物にはなる(?)のだろうが、すべてのミッションであちこち探索できるわけではない。《グリッド086》のように極端に広いマップがあるにはあるので、そういうマップを歩き回ってみるのも楽しいとは思う。が、エンドコンテンツにはなり得ないと感じた。

そしてある種アーマード・コアシリーズの花形でもあるオンラインでの対人戦なのだが……それは次の項目に続く。

その他、SSをカッコよくとるなどもあるが、いくら何でもそれ一本で行くのは厳しい。
ただカッコいいSSがとれるとめちゃ嬉しい!

オンライン要素はかなり薄い

終わりのないコンテンツの一つとして対人戦がある。自分の作った機体を、オンライン上の他の傭兵たちと競い合うのはこのシリーズにおける華だろう。ただ、本作はオフライン要素が主軸であるため、オンライン要素が薄くなっている。それ自体は本作の明示されたコンセプトなので別にいいのだが、それにしたってオンライン対戦でできることが極端に少ない。

現状、オンライン要素としてできることは「対人戦」「機体図面・デカール・エンブレムの交換」となっている。交換系は非同期要素であり、作ったものをネット上に公開し、その際のIDを入れれば入手できる仕組みなのだが、特にそれ以上話すことがない。しいて言うならID公開・打ち込みがめんどくさいのと、ハード違いだと共有できないことぐらいだろう。

で、オンライン要素の一番の目玉が「対人戦」なのだが、1vs1の個人戦か3vs3の集団戦だけとなっている。しかも今どきマッチングシステムも未実装で、自分たちで対戦ルームを立て、そこに集うという古の方法がとられている。
このルームも正直イマイチな造りで、ルーム名をつけることもできないし、チーム戦の時任意にチームを振り分けることもできない(多分できないはず、もしできたら教えてください)。ルーム内でできるのは定型文でのチャットと、機体のアセンブルくらいのもので、不要なものを極限まで切り落としている印象だ。
正直な感想を言えば2023年発売のゲームとは思えない時代遅れのシステムだと感じた。ルームを検索する際のフォームも絶妙に分かりにくく、結果が表示されてはいろうとすると「既に満室でルームは閉じられました」と追い出され、検索結果を更新する場合はもう一度検索をやり直さなければならない。いつの時代の対戦部屋なんだ。背景も相まって「ARMORED CORE for Answer」のオンライン部屋を思い出した。かれこれ10年以上前のことである。そういう所にノスタルジーを感じるのであればいいのかもしれないが、普通にストレスでしかない。

ルームの検索画面だが、驚くほどシンプル。
2023年に発売したゲームのオンライン画面とは思えない。

また、チーム戦の時のルールも「ただひたすらに敵を墜としてスコアを稼げ」という所謂チームデスマッチしかない。一応、一番スコアの高い人を撃墜すると多くスコアがもらえるというシステムがあるものの、あまりにも味気ない。
チームデスマッチも楽しいのだが、例えば一定エリアを確保するエリア戦や、相手チームの陣地をとり、味方の陣地を防御するようなフラッグ戦、指定オブジェクトを守り切るようなルールなどいくつかルールを増やしてほしいと思う。地形やルールによってアセンブルを変えるといった変化がみられるかもしれない。
地形の選択肢も少なく、しかも戦闘エリアが大体どこも同じ程度に狭く、地形的に変わり映えがしない印象だ。だいたいが開けた場所か盆地のような形状が多い。本作はスタッガーシステムの影響か戦闘距離が比較的近い、というか近くならざるを得ない状況であるため、これら開けて狭い地形が多いのかもしれないが、もうすこしレパートリーを増やしてほしい。巨大な峡谷を挟んでの撃ち合いや《グリッド086》全域を使った広域戦闘が可能な場所があれば、単に戦闘以外での使い道も出てくると思う。

武器のバランスが悪い

全体的にパラメータのバランスが微妙で、かつスタッガーシステムのおかげでほぼ一部のパーツ一択、みたいな状況が発生している。シリーズ恒例ではあるが、こんなところまで引き継がなくていい。昔からフロムの対人戦におけるバランス調整は不評が多く、アーマード・コアに限らずエルデンリングもイマイチな調整が多いといわれてきたが、どうやら本作も似たような状況のようだ。

基本的には近距離は重ショットガン(正式名称:SG-027 ZIMMERMAN)を2丁持ち、背中にはワーム砲やニードルミサイルなどをのっけてることが多い。遠距離はといえば両手両肩フルミサ構成が多い。というか300m以上の遠距離は基本これしか選択肢がない。
これらは本作のスタッガーシステムにおけるある種最適解ともいえる武装の一つだ。一気に距離を詰めて重ショ2発を叩き込み、スタッガー状態に持っていく。あとは蹴り飛ばし肩武器で追撃する。復帰したところでまた一気に距離を詰めて重ショを叩き込む…という形で相手を翻弄し続ける。一時期あまりにもこのアセンしかいなかったために、対抗アセンが組まれるなど対戦環境は目まぐるしく変わっていくが、圧倒的な衝撃力とダメージ、リロードの速さと取り回しの良さに取りつかれた傭兵は少なくない。

みんな大好き重ショ。やや重いものの取り回しの良さに優れる。
圧倒的な衝撃力でACSを一気に溜めることができる。

また、遠距離戦のフルミサ構成はといえば、マニュアルロック状態で目標をセンターに入れてスイッチをするだけで面白いほど敵が落ちる(チーム戦)。300mぐらいから間断なく発射することで、常に相手に回避を要求し、回避できなくなれば大量のミサイルが直撃する。ミサイルはACSを溜めることを得意としているため、あっという間にスタッガー状態に陥れることができる。1vs1だと相手がこちらを意識しているため難しくはあるが、3vs3の乱戦状態で打ち込むと相手がぼろぼろとスタッガー状態に陥り、その隙を狙って味方が強烈な一撃を叩き込むため滅茶苦茶有利に戦況が進む。ミサイル運用としては本来あるべき姿…なのだが、本作にはフレアもなければCIWSもないため飛んでくるミサイルは気合いで避けるしかなく、かといってQBは無限に吹かせないしそもそも目の前に別の敵がいる状態でそんなことをしている暇はないのである。因みにフレア自体は存在しているようだが、敵しか持ってない。なんでだ。

Rad謹製ハンドミサイル。特徴的な発射方式で非常に扱いやすい。
ACS溜めに秀でており、相手に回避を強要させる。

これ以外にも凶悪な武器はあるが(最近はIA-C01W1: NEBULA持ちが非常に多い)特にやり玉に挙げられるものを上げてみた。実際、スタッガーというシステム、そして本作のやたらと近い戦闘距離に、軒並み弾速が遅い武器環境の中で最適解であり、武器バランスも悪いが戦闘システムそのものがオンラインでの対人戦に向いていないという印象を受けた。
ただ、たまに上記武器などを使ってる傭兵に対してキレ散らかしているのを見たりするが、そもそも対人戦は今の戦闘環境における最適解をぶつけあうものであり、自分の得意をいかに相手に押し付け続けるかというゲームである。キレるべきは相手ではなく戦闘環境にすると精神衛生上よいと思う。

それはそれとして、ふわふわ飛びながらミサイルばら撒かれるのはかなりウザいので、見かけ次第全力で叩き潰そうな!(私怨120%)。

ていうか武器少なくない?

ていうか武器少なくない?? 全体的に武器が減っているような気がする。というか確実に減っている。単純に種類が少ないというのもあるが、武器カテゴリごとなくなっているのもある。スナイパーライフルやキャノン、先ほど出てきたフレアやCIWSもそうだ。これまでのシリーズにはあった武器腕も消滅している。フレームパーツが減っているのは流石に寂しい。
フレームパーツが少ないのは謎だが、武器種……とくに遠距離武器が削られているのはスタッガーシステムの影響ではないかと思う。本作は基本的にスタッガーさせてAPを一気に削るのが戦闘のセオリーとなっているが、遠距離武器がでてくると遠くからスタッガーにされ、APをもりっと削られることになる。こうなると引き撃ちがあまりにも有効になってしまうため、これを回避するために遠距離武器は軒並み削り、その他武器も弾速を遅くすることで近・中距離でしか取り扱いできなくさせたのではないだろうか。
一応、一部の武器は有効射程的に400m以上遠くから攻撃も可能…だとは思うが、軒並み弾速が遅すぎて当てるのは不可能に近い。そもそもロック可能距離が400m程度しかないため、狙撃戦そのものが不可能になっている。621をワーム砲で狙い撃ちしたスネイルはどうやったんだよ。どう見ても1キロ以上距離ありそうだったが。

フレームパーツがやや少なく感じる。特に脚部パーツの逆関節、四脚、タンクは選択肢が少ない。
武器種も減っており、全体的に種類は控えめな印象。

昔から遠距離から狙撃するアセンというのは一定数存在していた。わざわざ近距離でスナライを振り回したり、タンクにスナイパーキャノンをのせてノーロックで射撃する狂人もいたりした。だが地面にパイルを打ち込んで、巨大なスナイパーキャノンを構えて狙撃する四脚など非常に好きだったので見れなくなるのはとても残念である。今作の四脚は特に、ふわふわと常に浮いていられるため、対空状態からの狙撃アセンはかなり楽しそうである。
「遠距離から攻撃してくる相手をどう詰めるか?」というのを考えるのも対人戦での醍醐味であり、そのために地形を生かしたりアセンを考えたりするわけで、それらができなくなったのは寂しいものがある。
また、全体的にぶっ飛んだ武器が少なく感じた。オーバードウェポンほどぶっ飛んだ武器とまではいかないが、「ACfa」のころにあったような両肩スロットを占有する巨大なキャノン(OIGAMI、別名社長砲)や追加ブースタ、巨大な榴弾を連続発射するハウザー、物理属性のブレード物理盾など、ぶっ飛んだ武器が今作は少ない気がする。全体的に無難な感じで、どれもそこそこに使えなくはないよい塩梅だと思うんだが狂気を感じない。ファーロンダイナミクスのミサイル愛はよく伝わってきた。いっつも増加させるもんね。今後、イカれた武器がぶっこまれるかもしれないのでそれに期待したい。

武器種や戦闘距離に関してはいろいろな都合があったのだろうが、アセンの幅を大きく狭めるような戦闘システムは個人的にイマイチだと思った。アーマード・コアの原点は「自分の好きな機体が組めるゲーム」だと思う、それを自ら狭める方には行ってほしくはない。

例えパラメータが産廃だろうがシステムに合わなかろうが
組めることが大前提だとおもう。ネタでもガチでも種類が多いのはいいことだ。

最後に

いろいろと語ったが、全体的には非常によくできており、オフライン要素のみに目を向ければ、今までのアーマード・コアシリーズと比べても高い完成度を誇ると思う。なによりプレイヤーたちの熱狂度合いが凄く、立ち絵のないキャラクターを描くどころか存在すらしないキャラクターを生み出し始めている。アーキ坊やにベイ太郎、大豊娘娘とかもう狂気を感じる。改めてフロムユーザーの恐ろしさを垣間見たのだった。

反面、オンライン要素の粗さは気になるレベルで存在しており、純粋にオンライン周りのシステムもだが、戦闘におけるスタッガーシステムとの相性の悪さも感じた。ただ、この辺りは適宜アップデートが施されていく予定のようで、今後も武器やパーツの修正は行われるし、大型アップデートのようなものが来る可能性もある。ただ一度付いた火を消すのは難しいため、臨機応変な対応が求められる難しい所だとも思った。

そしてなんだかんだ言っても、やっぱり10年ぶりの「アーマード・コア」最新作に心が躍り、めちゃくちゃ楽しんでゲームを遊ぶことができた。AC6を皮切りに、さらに新たなアーマード・コアシリーズが出ることが期待できる内容だったのも大きい。一度生まれたものは、そう簡単には死なないのだと、フロムからのメッセージのようにも思える。そんなところで、私は今日も対戦環境に身を投じていくのだった。

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