長編連載小説『サンキュー』第12話。
愛花は、由香が電話を掛けてから、2日後に、うちに来た。
「初めまして、今村と申します」
愛花は、礼儀正しくそう言って、綺麗に結ったポニーテールを靡かせる。20代ぐらいの可愛い子だった。奈々が、
「お姉ちゃん、誰?」
と問うと、愛花が、
「お姉さんが、今日から、前川雄一様をお世話します」
と言った。前川雄一――、雄一の本名だ。うちは、苗字は前川というのである。愛花が、ポニーテールを軽く掻き揚げ、
「いろいろ聞いてね」
と言って、笑顔を作った。すぐに、雄一の寝室に入る。中はゴミだらけだ。まず、片付けから始めた。愛花は、ヘルパーだから、慣れている。(以下次号)
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