長編連載小説『サンキュー』第822話。
ちょうど、3時間後の、午前7時に、映子は目が覚めたようで、ベッドから起き出し、Tシャツとジーンズに着替えて、台所に入ってきた。
「おはよう」
俺が声を掛けると、妻が、
「ああ、あなた、おはよう。……起きてたの?」
と訊いてきた。
「ああ、腹減っててな。飯作るよ」
俺はそう言って、フライパンに油を引き、目玉焼きを作って、トーストを焼き、カフェオレを淹れて、妻に差し出した。奈々たちも起きてきた。由香も、健もいる。健が、
「オヤジ、寝不足だろ?」
と問うてきたので、俺が、
「お前な、俺は、オジサンだぞ。働き盛りだ。一晩徹夜したぐらいじゃ、疲れやしない」
と返して、笑い飛ばした。前川家の賑やかな朝の時間の始まりである。(以下次号)
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