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長編連載小説『レター』第102話。

 伯父の給料と報酬は、桁違いだ。単に椅子に座っているだけで、滅茶苦茶な額の給料と、掛け金が高かったかからか、はっきり言って、庶民の感覚などないような年金を受け取れる。俺は、伯父に対して、言ってやりたかった。あなたは心が痛まないのですか?と。それを言っても、気は済まない。腸が煮えくり返るような思いだった。俺の仕事は、作家だが、作家は食えない。俺が必死で原稿を書いても、得られる報酬は、日当で5000円程度。最低以下だ。俺は、食うや食わずで仕事した。望の面倒を見ながら……。望はまだ小さい。俺が責任をもって、育てないと、ネットゲームをする程度で、分別はあっても、まだ何事も分からない。そんな望でさえ、「伯父ちゃまは、汚い」と言って、伯父を糾弾した。俺は、子供心に、そういった言辞が出た事の真意が分からなかった。ただ、伯父のやった事は、罪に問われないにしても、犯罪に等しい。あの菓子折りも、単なる“ポーズ”だった。俺は激しい怒りを感じた。いや、怒りと言うより、もはや、呆れの感情である。(以下次号)

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