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長編連載小説『サンキュー』第13話。

 愛花が、スティック型の掃除機で、部屋の中を掃除し、綺麗にしてから、ゴミも全部捨てた。はっきり言って、人間の体を成してない。俺は、これが認知症だと思った。実際、市役所から来た嘱託職員は詳しい。介護などの事に……。

「今村さん」

「はい」

「父の感覚はどうなんです?」

「正直なところ、お悪いですね。こんなに散らかってたんじゃ、収拾が付かないでしょうし、実際、認知症もだいぶ進行していると思われます」

 愛花が、髪の端を、耳に掛け、軽く、揺らして、言った。介護のプロは、慣れている。俺たち素人とは違う。俺は、小説家だから、小説を書くのは上手いが、介護とか分からない。畑違いだった。(以下次号)

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