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長編連載小説『サンキュー』第398話。

 義姉は、エアコンのリモコンを、テーブルに置き、

「美夏ちゃんのお給料は、一般的な介護ヘルパーと同額程度だから、あたしが出すわ。別に良いの。あたしも、父から、学資とか援助してもらったし、恩義があるから、出すわよ。ただ、市役所への書類提出とかは、愛花ちゃんに、動いてもらおうと思って」

 と言った。愛花が、自転車で動くから、機動力になると踏んでいるのだろう。実際、義姉は、美夏には、家の中の事をさせて、外の事は、愛花に任せる気でいた。役割分担である。美夏が庭木の剪定などもやれるし、奈々たちと打ち解ければ、相手も出来る。俺としては、大助かりだった。実際、雄一は、余命が長くない。俺も、父がもう生きないと思っていた。恒彦は、大往生だったが、雄一は差して生きない。俺の勘だった。実際、血糖や尿酸などが悪く、悪条件が揃い過ぎている。俺は、いかにして、雄一を、一日でも長く生かしてやるかばかり、考えていた。(以下次号)

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