長編連載小説『サンキュー』第839話。
病院長の寺田宏一が、
「前川雄一様の脳の一部に、萎縮が見られます。MRI画像を撮って、分かりました。この分だと、認知症の症状は、ファーストステージです」
と言った。そして、画像を再見分し、
「この脳の悪くなった箇所に、レビー小体という物が、溜まり始めています。60代後半でも、発症する病気です。記憶障害や認知障害、歩行障害などが出始めます。最後は、突然死という事も有り得ます」
と言って、ダメを押した。付き添っていた映子が、
「そうですか?もう、父は、良くない状態なんですね?」
と問い質すと、寺田が、
「レビー小体型認知症は、稀に生き永らえる方もいらっしゃますが、大抵、介護期間は7年から、最長で12年程です。後は、もうありません」
と断言した。悪い予感は当たったのだ。(以下次号)
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