長編連載小説『サンキュー』第394話。
俺は、冷風扇の風に当たりながら、スマホを耳に押し当てて、
「姉さん、何時頃来れる?」
と、義姉に訊いてみた。
「うーん、仕事が終わるのが、午後7時頃だから、7時半には来られるわよ」
「そう?じゃあ、待ってる」
俺はそう返して、電話を切り、右手に嵌めているスマートウォッチを見て、今日の運動量を確認した。これも、アマゾンで買った物である。3000円ちょっとだった。映子が、
「安いから、健康の為に買ったら?」
と言ってくれたので、印税の一部を叩いて買ったのだ。由香も、
「お父さん、それ良いよ。あたしも欲しいなあ」
と言って、笑った。娘は、高校時代、制汗剤もろくに持ってなくて、貧乏していた。俺は、一も二もなく、娘に、スマートウォッチを1台買ってやった。妊娠中だが、右腕に付けている。映子も、それを見て、微笑んでいた。妻も、由香には、散々貧乏させて、申し訳なかったと思っているらしい。(以下次号)
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