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決断~出産当日③~

娘が生まれる出産当日のことを書いています。

予定日よりも3カ月早く、超低体重出生児として生まれたわが子。

「お産は喜び」と信じて疑わなかった私に、突然突きつけられた、受け止めきれない現実でした。

「ごめんね」

詫びることしかできなかった出産となり、振り返るのも気が重く、忘れることもできず、時々フラッシュバックして、身体が冷たく強張るのを耐えてきました。


娘は元気にすくすくと成長してくれています。

それは本当に奇跡と、医療時従事者の皆様と沢山の方々の支えの賜物です。

ただその成長の過程とは別個に、出産当日の恐れや不安が、今も私の心に残っています。


noteにこうして書かせてもらうことで、同じ境遇の方へ届けたい気持ちと同時に、このような自分の中に渦巻く思いを吐露させてもらうことで、自分も振り返り整理したいという気持ちがあります。

ここからは、出産当日の場面を書くので、人によってはしんどくなることもあるかと思います。

どうぞご自分の心身を大切されて、不安な方は読むのを控えて下さい。

目を通してくださる方、ありがとうございます。


主治医で女医のM先生は、上司らしき男性の先生と話し込んでいました。

しばらくしてM先生が私が横たわるベッドのそばに立ち、向き直って言いました。

「このままではお腹の赤ちゃんへの影響が心配です。手術した方がいい」

「手術」というのは、帝王切開のことです。

とっさに私は分かりました。

「赤ちゃんのため」と言ったけど、それは私を納得させるための口実で、本当は私の体、私を優先してるってこと。

M先生は、これまで再三、できるだけ長くお腹で育てたほうがいいと言っていたからです。

いやだ。手術したくない。

「このまま出血がおさまってもですか?」

M先生は頷きました。

「手術、したくない?」

M先生の問いかけに、私は頷きました。

「でも何回も出血を繰り返すと、赤ちゃんの脳に影響してしまうかもしれない。」

この時、私は本当に自分のことは1ミリも考えてなくて、赤ちゃんことしか考えていませんでした。

だから脳に影響がでるかもと言われ、帝王切開すべきなのかなと思いました。

そして一番聞きにくいことを、M先生に訊きました。

「手術して、赤ちゃんは元気に育つんですか」

M先生の答えは

「可能性は高くない」

でした。

気絶しそうなくらい、色んな気持ち、感情に襲われました。

でも、今この場ですぐに、手術するかを判断しなくてはならない。

迷っていられる時間は、そう長くないと感じていました。

緊迫した表情の先生からは、一刻の猶予もないことが感じられました。

主人と相談したい、と思った時、私の中にひとつ答えがでました。


「きっと主人も、先生たちが一番いいと思う方法でお願いしますって言うと思います。」


でもつらかった。赤ちゃんを守れなかった。

お腹の中で守ってきた命を、先生たちに委ねる判断をすることが、つらくてつらくて、泣きながら必死で言って、そのまま号泣しました。

M先生は

「では手術の準備を進めますね。ご主人に連絡します」

私は泣き続けていました。

そして、お腹が張るたびに、やはり出血が始まっていました。


つづく。


これまでの経過はこちらです。




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