「僕と野球と息子の日記」④

朝、嫁から電話があり、「今日、長男君学校休むって。」

熱は無いらしい。
サボったのか?

家に帰ると、長男はめっちゃ元気だった。
まー、たまにはいいか。そんな日もある。

しかし、次の日も、その次の日も
長男は学校に行く事は無かった。

あちこちの病院を回ったが、異常は無く、なんなのかわからないまま、何日か過ぎた。

僕も嫁も、イライラしていた。
サボってるだけなのか。
本当に体調悪いのか。
答えがないまま、数日が過ぎる。

ある病院に行った嫁から連絡があった。

「起立性調節障害らしい」

何の事かわからなかった。
始めて聞いた病名に、不安がのしかかった。

どうやら、身体に心が追いついてないらしい。
いわゆる、「心の病気」のようだ。

学校に行ってない間、もちろん野球に行く事は出来ない。
監督にも話し、しばらく休む事になった。

色々調べた結果、焦りは禁物、ゆっくりその病気に向き合うしかないようだ。

朝は頭痛を訴えるが、夕方は調子がいい。

僕は長男と、スポーツ少年団のグランドまで歩いて行った。
皆んなが練習をしている、その金網の外で息子とキャッチボールをする。

「野球、行っちゃダメだよね」
長男は言う。
「学校に行ってないから、無理だわ。」
と答える。

そんな日が何日か続く。

学校には行けなくても、やっぱりグランドには行きたがる。

ある日キャッチボールの帰り。
長男が言った。

「俺、また、野球できる日が来るかな。」

僕は言った。
「大丈夫。お前なら大丈夫だよ。」

ボロボロの心な息子に、簡単に「頑張れ」とは言えなくなっていた。

「明日、無理ならいいけど、給食の時間に学校に行ってみな。」

遅れてもいい。
最後の授業だけでもいい。
そうやって、少しづつ、学校に足を運ばせた。
もちろん、無理しなくて、自分が行けるなら、という感じで。

当時の担任の先生も、クラスメイトも、スポーツ少年団の子達も、凄く助けてくれた。
本当に長男は、周りの人に恵まれていると感じた。

スポーツ少年団の皆んなは、新人戦の最中で、支部戦の決勝まで行った。
長男は、参加出来なかったが、ホームページに、1人1人にメッセージを書いた。

「早く野球やろうな。」
「お前の分まで頑張るよ」
「一緒に優勝するぞ!」
あたたかいお礼のメッセージに涙が出る。

数日後、長男は学校に行きだした、
「頑張れ!」と、言葉にはせず、心の中で、強く思った。

なんとか、学校も、野球も、自分の力と、周りのサポートで、復帰する事が出来た。

そして、監督から、話があった。


続きます。

#野球
#親子の話
#起立性調節障害

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