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問題点まとめと改善方法の考察 ローグライク(仮)

久しぶりにゲーム制作をできた。ただ、胃痛でちょっと早めに切り上げることにした。今回は一旦、このプロジェクトが遭遇した問題点をまとめて、それについて考察していくことにする。目的は解決方法を見つけ出すこと。

問題点

以前は武器が同時に1つしか持てない使用だったが、問題が出てしまい武器を複数持てるようにした。その理由はここに書いている。

装備すべき武器に対して危険が後出しになり、装備が備えの役割を失ってしまっているわけである

装備の後出しができないことは、ローグライクでよくある「様々な危険に備える」という遊び方に大きな欠点をもたらしている。多様な解決策が与えられていないため、装備と危険性の不一致はゲームオーバーに直結することになる。これでは遊びとしての緊張の緩和が生まれない。

緊張の緩和とは以前にもここで言及したものだ。

お笑いや怖い話には「緊張の緩和」というものがあるとされている。桂枝雀が提案した理屈で、聴者を緊張状態にしてそれを緩和(解放)すると、そのギャップが感情に作用し、可笑しかったり怖がったりするというものだ。
(中略)
「緊張の緩和」の話はビデオゲームでも通用するものだと思っている。ローグライクの持ち味が緊張感だとしたら、そこに緩和を与えることで爽快さにつながるのではないか、と今更ながらに考えた。緩和させるのはゲームのクリアであったり、大きな難関を攻略したときであったりする。ゲーム内に緩急が必要ということだ。また緊張についても、ローグライクでは「ひとつしかない命」を勿体無いと思うから生まれるものだと考えている。

ゲームの緩急が適度に発生されることがゲームデザインの基本的な手法であり、ローグライク系では特にその緩急が激しいことが特徴だと思っている。ただそれは今回自分が作っているこのローグライク(仮)がこれまでのローグライクと同じように「激しい緊張の緩和」を必要としているか、とは限らないことを念頭に置いていただきたい。

では、武器を複数持たせることで解決したのか、という話がある。仮に4つの武器をストックでき、場面ごとに切り替えて使用するようにしたことで、敵の量や位置、仲間や自分の置かれている状況に合わせて臨機応変に対応できるようになった。この武器の準備を怠るとうまく解決できないことがあり、よく探索し自分が考える4つの武器を賢く選択することで難関を突破できるようになった。要するに、面白くなった。問題は解決した。かに見えた。

改めてこの日記の一番最初の記事を見ていただきたい。

ここでは国家が持っている「憲法」のようなものを書いている。つまり「ゲームデザイン」という法律を作る上で守らなければならない重要な点だ。

ゲームの内容
ローグライク系ゲーム。方向キーだけで遊べるようにする。なるべく機能を削ぐ。

その中でもここ。憲法というにはハッキリしていないが、ここで言いたいこととは「シンプルである」ということだ。スーパーマリオ並のシンプルなローグライクを目指したいという意図で書いた。より憲法らしく補足しておかなければならないので、改めて宣言することにする。

このゲームにおいて守らなければならないこと

・ローグライク系ゲームでなければならない
 ・ローグライク系ゲームとは、Wikipedia にかかれているベルリン解釈のこと https://ja.wikipedia.org/wiki/ローグライクゲーム

ベルリン解釈
「International Roguelike Development Conference 2008」において議論された、ローグライクゲームの持つ要素[1]。 厳密な定義ではなく、いくつかの要素を無視しても構わない。
価値の高い要素(high value factor)
ランダムな環境生成 ― マップ構造やアイテム配置がランダムで、リプレイ性が高い。
恒久的な死 ― 一度死んでしまえば最初からやり直しになる。ランダムな環境生成と合わさることでゲームが面白くなる。
ターン制 ― 一つのコマンドが一つの動作に対応する。じっくりと考えながらプレイできる。
グリッドベース ― ゲーム世界がタイル(マス目)で構成されている。
ノンモーダル ― 移動も戦闘も一つの画面で完結しており、画面変遷を伴わない。AngbandやCrawlの「店」等、しばしば無視される。
複雑さ ― 豊富なアイテムやモンスターが用意されており、ゲームの解法が一つではない
リソース管理 ― 限られたリソース(食料やポーション)を管理し、その用途を考える。
ハック&スラッシュ ― 多くのモンスターを次々に倒していく。
探索と発見 ― マップを慎重に調査し、未知のアイテムの使用法を発見する。

・できうる限りシンプルでなければならない
・直感的でなければならない

以上をこのゲームの憲法とする。

では「武器を複数持って切り替えながら遊ぶ」というものをどれだけシンプルにできるのか?これが今現在ぶつかっている問題である。主に2つの問題がある。操作性の難と、モードの存在だ。モードは2つあり、どの武器を使うのか指定する前と後で方向入力操作の結果が変わること、そして武器は4つしか持てないので5つ目の武器を取得するときに交換モードという状態が発生してしまう。この問題は操作性の難と密接に関係している。「できうる限りシンプル」であり「直感的」であることを達成するにはあまりに複雑だと感じた。

では解決方法はないのか、ということを考えなければならないが、この問題はもっと根本から考えるべきだと思った。

以上が今ローグライク(仮)が遭遇している問題だ。

考察

問題点は様々な視点で分解できる。

まずは憲法について。ローグライクとシンプルを両立することはゲームの面白さを保ったまま実現できることなのだろうか?

あらゆるローグライクは単純ではなかった。豊富なアクシデントに対する豊富な対応方法が用意されている。しかし、中にはとてもシンプルなものが存在した。

そのゲームはこの記事で紹介している。Warrior Heart というものだ。

このゲームの最も特記すべき点は操作感の気持ちよさである。一歩一歩ターンを熟考して遊ぶ方向を捨てて、軽快に進めていけるように適化されている

これはぼくが考えているゲームに近かった。つまり、「ローグライクとシンプルを両立することはゲームの面白さを保ったまま実現できることなのだろうか?」という問に対しては「可能である」ということになる。

次に、「武器を複数持てるようにする」ことについて。

実際複数の武器を持てるようにすると面白くなる。これは間違いなかった。だから、それをわかりやすくプレイヤーにお届けできれば解決するわけだ。しかしそれは「できうる限りシンプルでなければならない」というところまで削ぎ落とすことができそうになかった。先述したとおり状態を複数持ってしまうからだ。なので、ゲームの面白さを改善する方向として、ローグライク(仮)においては間違っている。なので、複数の武器を持てる昨日は捨てようと思っている。

もっというと、武器自体を捨てることもできる。

今一度、半年前の記事を読み直した。

今、ぼくが作っているこのゲームにはまだ『緊張感を生み出す、ひとつしかない命を惜しいと思う要素』と『緊張感を急激に緩和させるための難関』が存在しないのだと思う。これがローグライクの醍醐味でありぼくが作りたいゲームなのだ。本当に今更だが、やっと言語化できたと思う。
まずはこのふたつを優先的にゲームに実装し、面白いと評価できるものまで完成させたいと思う。

当時は難関がなく緊張感が生まれなかった。その後「強敵」と「魔物の巣」という機能を追加することで問題を解決した。これは「シンプルさ」を保ったままゲームの起伏を生むことに成功している。

そしてこの記事でもやはり Warrior Heart に言及している。ぼくの目指しているのは実はこのゲームなのではないか、と思ってしまう。

また遊んでみた。やっぱり楽しかった。なのでこのゲームを分解して列挙してみる。

・ポーションは落ちているものを拾った瞬間使う
・ポーションには回復と毒がある
・毒は1ターン毎にダメージを与える
・巻物・爆弾は2種類までストックでき、いつでも使うことができる
・巻物の種類は「白紙(足踏み用)」「武器修復」「回復」
・爆弾は置いてから3歩後に爆発し、自分と敵にダメージが与えられる
・武器は拾ったら持っているものと交換される
・武器には種類によって攻撃力と防御力のパラメータが付いている
・武器を使っていくと壊れ、巻物で回復させることができる
・敵・自分は上下左右にしか動けない
・プレイヤーは移動方向に攻撃する
・敵は近づいてくる敵以外にも、決まった動きを取ったり毒攻撃を出すものもある
・死ぬと爆発する敵や、宝箱に見える敵がいる
・ダンジョンは自動生成ではなく、たくさんのパターンを用意しているだけと思われる
・鍵のかかったドア、宝箱があり、拾った鍵を使って開けることができる
・経験値は敵を倒す以外にもポーション、階段を登ることでも得られる
・地面からトゲが出たり引っ込んだりする罠がある
・ゲームモードを最初に決められて、強い武器を最初から持っている、HPは高いけど回復ポーションの効果が得られない、というようないくつかのモードを2つ組み合わせられる

こんな感じで作られている。また、移動速度が早く、ゲームのテンポ感が非常に高い。ゲーム性としては駆け引きはほぼなく、武器の選択も、今持っているものより強いかどうかで選べば良い。攻撃力と防御力のどちらかを選ぶことはあるが。

じゃあなぜ面白いと感じるのかを考えた。やっぱりテンポ感じゃないかと思う。適当に遊んでポンポンレベルが上って敵を倒すときも気持ちいいしフロアを掃除していく感じ。塊魂や無双シリーズに近い面白さがある。ローグライクの緊張感はほぼ存在しないが、クリア寸前で緊張感が高まり、小さな失敗がクリアを妨げるため慎重さも必要となっている。

ぼくは考えた。このゲームをお手本にしようと。序盤からの緊張感は維持しておきたいが、テンポ感とフロアのお掃除、という気持ちよさを追加しようと思った。

そのため、ローグライク(仮)を次のように変更してみたいと考えている。

改良案

装備の単純化
・武器は攻撃力、盾は防御力だけを持ち、アビリティを持たない
・武器をひろうと今持っている武器と交換する(複数の武器は持てない)
・武器に耐久度は持たせない
フロアのお掃除感
・精霊召喚用の宝石をフロアのいたるところにたくさん散りばめる
・宝石は足元で拾うのではなく近くにあると吸い込むように取得していく
爽快感を増やす
・移動速度を上げる
・何が起こっているかわからない、ということを防ぐために複雑な攻撃を行う敵は作らない
・敵を倒すと今よりもっと宝石を手に入れることができる
・精霊召喚用の祭壇は使っても消えない(たくさん持っている宝石を使って大量召喚できる)
・精霊はピクミンのように、弱いがたくさん召喚できてどんどん消費していくような使い方にする
・レベルアップの速度を上げる
・その他、効果音やアニメーションなどの演出には十分気をつける

この変更は、フロアにあるリソースを吸い上げて経験値と精霊を大量に取得し大群で戦っていくような遊び方になる。緊張感については強敵と魔物の巣で良いと思われるが、この変更を試してから検討しても良いだろう。

まとめ

今日は久しぶりにまともにローグライク(仮)について考えた。お休みしていた間も少し考えていて、そのおかげか良い案が生まれたと思う。

フロアの掃除、という表現は我ながら良いと思っている。マッピングをするゲームでは多くのプレイヤーがそのイメージを持っているのではないだろうか。いっその事、床を汚して、それを拭き取るようにしても良いかもしれないくらいだ(が世界観に合わない)。

次回からはこの方針で実装していこうと思う。今日は胃痛で無理なのだが、健康状態が良ければ明日から行いたい。作るものが決まっていれば実装はあっという間に終わると思っている。どれくらい良くなるか、今から楽しみだ。

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