the dark side of the mushroom - きのこの話 #6

少し時間が空いてしまいましたが、ようやく今回は、向精神性のあるきのこの、その暗黒面について書きます。 前回は、きのこのワークショップについて書きましたが、そのワークショップをやっていた漢方医の先生が、一年ほど毎週のようにきのこを摂取した後、自ら命を絶ってしまったという悲しい話です。

さて、きのこのワークショップをやっていた漢方医の先生をここでは、きのこ先生と呼ぶことにします。 当時ぼくは別の漢方医の先生の畑を手伝っていました。こちらの先生は畑先生としましょう。

その畑は伊豆の函南というところにあって、漢方の薬草や野菜を作っていたのですが、そこには新潟から持ってきた立派な古民家が鎮座していました。 畑先生は、漢方医として、きのこ先生の先輩であり、きのこ先生の出していたミニコミが、その古民家の台所においてありました。

そのミニコミを見て、ぼくはきのこワークショップときのこ先生のことを知ったのでした。

きのこ先生は、精神に働きかける「きのこの力」にまさに魅入られており、精神療法に使えるはずだと考えて、自らを実験台に、毎週のようにかなり多めの量を摂取していることが、そのミニコミには詳細に語られていました。

そのミニコミをきっかけに、ぼくがワークショップにヘルパーとして参加したことは前回書きましたが、それからずいぶんと経った、とある晩のことです。

畑仕事を終えて、いつものように古民家の台所で、畑先生とぼくは夕飯を食べていました。 

すると畑先生が言うのです、「きのこ先生が亡くなった」のだと。

なんでも、しばらく前にきのこ先生から電話があって、自分はきのこに熱を上げて長い時間を費やしてきたが、あんなものには何の価値もないことがようやく分かった、けれど、自分はまだまだ漢方のことが分かっていないから、もう一度一から教え直してほしい、と言われたのだと。 

畑先生はそれを聞いて、そうは言うけれど、君ももう独り立ちして十分立派にやっているんだから、ぼくから改めて教えることはないと思う、少し落ち着いてじっくりやったらどうかね、となだめたのだそうです。

そうして、しばらくしてから、きのこ先生が命を絶ったと連絡を受けたのだというのです。

実を言うと、ぼく自身その頃、きのこに熱を上げていました。周りの人間に勧めるようなことすらしていました。 そして経験を積むうちに、きのこの効果はかなり強いものなので、使い方によって、また人によっては、とても危ういものであることも分かってきていました。

畑先生は、ぼくがきのこに対して抱いている過剰に肯定的な気持ちを知っていましたから、きのこ先生の死を伝えることで、きみも気をつけなさいよと、伝えてくれたのだと思います。

きのこには、普段の意識では経験できない、強烈な体験をもたらしてくれる力があります。

けれど、それがいい体験となるか悪い体験となるかは、あらかじめ予測できません。 十分な知識を持ち、よい案内役がいれば、よい経験ができる可能性は増しますが、以前 lsd について述べたことがあるように、ある種の素質がある人が摂取すると、正気を失う可能性があることも否定できません。 ですから、決して遊び半分にやることはお勧めしません。

けれど一方で、ぼく自身は、きのこの経験があることを、大変ありがたく思っています。 ぼくはもともと「鈍い」人間なので、きのこによる「揺さぶり」を経験しなかったら、この世界に対する今の理解はないと思うからです。 

普段ぼくらの多くが見聞きして、それこそが「現実」であると思っている「世界」が、実は非常に視野を狭められた、一面的なものであるかもしれない、ということにぼくが気がつくことができたのは、きのこをはじめとする向精神性の物質のおかげだったと思っているからです。

ということで、とりあえず、きのこについての話は終わりとします。 質問などあれば、http://twitter.com/tosibee などまでお気軽に。できる範囲で答えたいと思います。 また、きのこなどの薬によらない変成意識の話は、機会を見て続けられたらと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、みなさん、また会う日まで♬

[2011/11/22 改稿]

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