[短詩]三つの主題による大失恋の変装曲

きみとぼくとは 広大な砂漠で 暮らしていた
砂丘を一つ越えれば きみとぼくとは 離ればなれ
そうなってしまえば きみはぼくのことなんか
すぐに忘れちまうに決まってた

なのにそーゆー現実を 知りもしなかった唐変木クンときたら
きみが自分のとなりにいる という事実だけに
すっかりいい気になって 空想ばかりを相手にして
いつも通りにうっかりと 毎日を過ごしてた

そんな自分の愚かさが ちっとも分かってなかったもんだからさ
砂丘の向こうに歩き去ったきみを 恨ませてもらいましたとも
枕を涙で濡らしながら 何年も何十年も何百年も
怨念というには頼りない 厨ニ病的自己憐憫の雨雲に包まれて

そうして許せなかった きみのことを
ようやく許せるようになった ぼくのことを
きみに伝えたいような気持ちも どこかにあったはずだけれど
それだってもう必要がなくなって いつの間にか静かに月がのぼって

人生の終わり近くには 静かな時間が訪れる
きみの人生もいつか終わり ぼくの人生もいつか終わる
メコン川の向こうに 真っ赤な満月が見えたよ
ここには砂漠はないけれど 世界はきちんとつながっているよ

嵐を乗り越えてきたんだよね 高い峠を越えてきたんだもんね
木星のほとりの星の門で ぼくらは魂を洗い浄めたんだから
一人で逝くことになっても なんの心配もない
だって世界は一つで世界が神で きみは宇宙を旅する光の子どもなんだから

[c.f. ]
さとねこと「片目のジャーナル」
https://note.mu/satonekoto/n/n749810e0da3b
偉大なる横紙やぶり「砂漠の風」
https://note.mu/yokogamiyaburi/n/n1f97d9e48271
K 「黄昏に香る道」
https://note.mu/kutsunayuichiro/n/n996ad32a0129
(敬称略)

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