海水を飲みながら小説を書く [随想小説]
文章を書くことは、海水を飲むのと同値である。
そんなことを突然言われても、きみは何のことやら、と思うことだろう。
けれども、文字を書いて何ものかをこの体から排出することが、逆に海水という塩分濃度3%程度の液体をこの身に吸収することと等価であるという主張は、内が外になり、外が内になる位相空間の住人にとっては、それほど奇妙なことじゃあない。
だってさ、きみは物を口に入れたら、もうその食べ物は自分の中に入ったと思うでしょ?
でも口から肛門につながるひと続きの管の「内側」は、