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生きていく力を身につけたい:

「くらしのね」の営みは、のぶさんの祖父母がかつて暮らしていた土地に生活拠点を移すところから始まります。
 とはいえ、快適な住まい空間があっての始まりではなく、辺り一面を覆う竹藪を切り開き、伐った竹を利用したデッキの上でテント生活をするところからのスタート。子供の誕生とともに、必要なものを加えたり、修正したりと、正に暮らしを創ることからの始まりです。
 普通に考えると結構チャレンジングな取り組みですが、どうしたらそんな風に取り組めるのか?のぶさん、渓さんの生き様をかいつまんでではありますが、見ていきましょう。

◎渓さんの話:

<東日本大震災のあった年、渓さんは作業療法士として社会人デビュー>

 働いてお金を得て自由に暮らすつもりでいましたが、日々自分の目の前では死ぬか生きるかみたいな真剣なやり取りが続いていたんです。一方で、一年目、駆け出しの自分を作業療法士というだけで「先生、先生」と呼ばれてしまって、「なんだろうこれ!?」、「自分に頼られるだけの存在価値があるのか?」と違和感を覚えたんです。

「実際に自分が被災したら何ができるんだろう?」と考えた時、自分の生きていく力の無さをすごく感じました。

 お金があれば何でも出来ると思っていたところから、一瞬でお金も地位も家族も失い、病んでしまった人たちを目の前にして、自身の生き方を考えるようになりました。

貴重な資材としても役立つ竹林に囲まれた「くらしのね」

 そこから「自分がやりたい事って本当に出来ているのかな?」と、ネットでいろいろ調べていく中で、自然と共に暮らす人たちがいる事を知りました。彼、彼女らは自然の仕組みを上手に暮らしに取り入れて生活しており、それは自分の欲しかった「生きていく力」をまとった生き方でした。その生き方に魅了された私は、いつしか自身もそっちに行きたいと考えるようになっていました。

 それでもしばらくは、身近にそうした人たちの集まるコミュニティがあっても、中々飛び込むまではいたらなかったんです。どうしたらそういう人たちと繋がれるんだろうと考えつつ、兎にも角にもやりたい事をやろうと決めて、当初は3年、勤めるつもりだった会社を、お金を貯めて2年で辞め、[1]ワーキングホリデーを利用して[2]デンマークに行くことにしました。



[1] ワーキングホリデー:旅行、就労、就学しながら長期滞在が許されるというビザ制度

[2] デンマーク:国民幸福度が高く、幸せの国とも呼ばれている

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