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ナボコフ 詩抄 (17) Translated by Toshiya Kawamitsu

  描くように歌え


記憶は つらぬく 追放の
夢へと かえる とげ 記憶
ペテルブルクの雲は 船
吹きっさらしの楽園で
誰も知らない 路地裏で
街灯 しずかに 語りだす
ななめに かり かり えんぴつの
トワイライトの影 ネヴァ川
ひと筆書きの思い出は
ぱっとひらいて 風が 吹く
その風 感じた 頬の色
いいえ 落葉のいたずらです
雲のため息 退屈で
波止場の鼻歌 聞こえたら
半月の鐘 りん ごん と
いいえ 青銅 カテドラル
なつかしい 庭 そこに いて
飛んで のぼって 石の塔
雪の まどろみ 立ちつくし
丸太 横たえ つみあげて
運河の橋の下の石
まるく 青々 秘密基地


Ut Pictura Poesis
Translated by Toshiya Kawamitsu

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