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グラス 詩抄 (4) Translated by Toshiya Kawamitsu

  郵便カタツムリ

長い手紙を 友人へ
死んでしまった 友人へ
かなしく みじかいなら 愛へ
すぐに 消え去る あの 愛へ
ときどき とても あいまいで
時間を つらぬくほど 鋭利
時間がとまったかのように

あせりと 倦怠 やせていく
いま に ついても 話そうか
ことばに 酔った 目撃者
株式市場の顧客さま
なにが 子供になるだろう
何人 孫が いるだろう
どんなことばが 生きている
どんなことばが 死んでいる

別れた友人 そして 愛
名前は たんすの奥 しまい
生き生きとして まだ 秘密
心のなかで くりかえす
秋風 朝の 階段に
色 とりどりに 葉を ちらし
つつみこむまで あきもせず

やがて 見つけた カタツムリ
手紙 とどける その 途上
思えば 遠くへ 来ただろう
何年かけて 来たのかと
いつものように 夕暮れに
その足あとを 読みふける
いとしい 死んだ友人と
恋しい あなたの ことば 読む


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