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2020年4月の記事一覧

詩 344

詩 344

  自画像

さびた 細い 目 水のなか
しずかな 讃歌 銀の蜂
ひとひら 灰色 門を出て
本棚の上 なつかしく

あなたの影をよろこばせ
浄化のために 枯れること
したたる種に 鈴 鳴らし
サフラン色の面影と

浸透していく 春 一夜
牛乳 こぼした テーブルで
泣いていた ただ あきらめていた

まどろむ 踊り子 城のなか
まわり つかれて ヒメジョオン
やさしい 無音 背のびする 無垢

詩 343

詩 343

  対岸へ

はるかな 合図 薄明の
線香花火 ただ ふたつ
見てはいけない 自画像に
光 流れる ひとりごと

いろどり かすむ 白日に
深くて 長い 息づかい
あとかたもなく 燃えつきて
雨を降らせる ひややかに

解読不能の錯覚は
なぜか おだやか かたち なく
どこへでも 行く 傷つき 不機嫌

プラスチックの憂鬱と
祝福 モザイク あどけなく
暗く 万物 やどる あじさい

詩 342

詩 342

  百年ピクニック

足どり ゆるやか 影 落とす
ただの風さえ 讃えたい
はら はら ひとつ かわき 消え
まるでなかったかのように

無垢の証拠は見つからず
やっと出会えた 虫めがね
天使の骨だと だまされて
不安はないのに かなしくて

境界線に 指紋 つけ
背後で 崩壊 雲の峰
ベッドの端の つめたい余白

返事はいつも 故障中
悪夢の夜を数えあげ
うたがうために 唾棄するために