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<美しい所作>寿柳流チャンネル 2021年3月公開

「中心からからだを動かすイメージが大切です」
「美しい所作を学びましょう」


<着物を着たときに、どんな風に動けばキレイに見えるか>
について、お話をさせていただきたいと思います。

歩くとき、立っているとき、それぞれに意識していただいた「重心」「丹田」というキーワードがあったと思いますが、上半身を動かすときにも同じことが言えます。

「手をただ動かす」のではなく「きちんと重心と丹田を意識して、指先まで力をつたえる」ということがとても大事になってきます。

チェック「上半身を動かすときも、丹田から力をつたえて動かす」

どういうことなのか、説明致します。点と点のように、手をここからここに動かす(映像では手を左右にふっています)という行為だけですと、手しか力を使っていないので、手にとても負担がかかります。

手のみを動かすのではなく、重心からものを動かすと、手だけではなく、肩や腕や腰や背中や、足にもきちんと力がつたわります。からだ全部を使うことで、座っていても大きな力を使うことができます。

怪我をすることも少なくなりますし、舞台に上がっても、大きな動きができます。

チェック「重心の使い方を学ぶことによって、より大きな力を使うことができる」

からだの中心から手足を動かすということを意識する動作の方法を学んでいきたいと思います。

やってみよう!『手をあげる練習』
(映像ではこどもと一緒に実演しています)

中心からからだを動かすことで、普段の生活で着物を身に着けても、キレイに動けます。

(こどもに対して)手をここまでまっすぐあげてみてください。
(映像では頭の上にあげています)

手だけでこうやって動かすと(映像では、腕を上にあげています)
どうしても袂(たもと)や袖(そで)が、ズッと落ちてきてしまいます。

日本の文化の中では「恥」という言葉があります。肌が多く見えるのは
「恥ずかしい」と言われていました。とくに女の人の肌が見えすぎる所作は、キレイじゃないという価値観がありました。

中心からからだを動かすということをイメージしてください。

手を動かすのではなく、お腹から背中を伝わり、肩甲骨に伝わり、腕に伝わって、上までこうしてあげてきてください。(映像では、ゆっくりと話にあわせて手を動かしています)
(映像では、子どもが手を上にあげています)

今は、袖がさがらないようにと思ってこうやって上げて動かしましたね。そのために、からだの中心じゃなくて、ここから(映像ではひじのあたりをさしています)動いてしまいました。

ここが(映像ではひじのあたりをさしています)おちてもいいので、お腹の中から、力がこう伝わってきて大きく広げていくと、上げても落ちません。
(映像では、子どもと一緒に、手をゆっくりあげています)

チェック「手をあげるときはからだの中心から手を動かす」

からだの中心から手を動かす。歩くときもからだの中心から動くというイメージをしてください。そこで、点から点に動くのか、線で動くのか、曲線で動くのかという差があります。

やってみよう!『お扇子を渡す練習』
(映像では、お扇子をつかって実演をしています)

このお扇子を渡すときに(映像では、子どもに唐突にお扇子を渡しています)急にここでまっすぐ来られると怖いでしょう?ワッて驚きますよね。

でもこれ(お扇子を)が持ちやすいように、まず持つ方を向けるということ、そして、曲線でもっていくということを意識してください。

そのときにここ(映像では、たもとを持っています)がピラピラ動くとキレイではないので、たもとを持ってください。

この時にたもとを持とうとすると、どこをつかんでよいのかわからないので、両手とからだを全部使ってたもとをもつと、相手にお扇子をそっと渡すことができます。

(映像では、子どもが、お扇子を渡す実演をやっています)

そのときにひじをこうやると(映像では体を前斜めにのりだして、お扇子を子どもに渡しています)怖いので、お腹の力をつかって寄っていきます。

チェック「お扇子を渡すときはお腹で相手に寄っていく」

(映像では、子どもが、お扇子を渡す実演をやっています)
そうするとていねいに渡せます。学校で先生に提出するノートを渡すときも、はいっ!て渡すのではなく、お腹の力で相手に寄っていくと丁寧に見えます。

やってみよう!『お茶を出す練習』

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お茶の出し方と言っても私は作法の先生ではないので、からだの使い方をつたえていきたいと思います。まず、お茶を下の受け皿から持ってみてください。(映像では、子どもと一緒に、湯呑を持ち上げる実演をやっています)

手だけで持つのは、すごくやりにくいですよね。手だけで持つのではなくて、お腹を意識するように持ってみてください。(映像では、子どもが、湯呑を持つ実演をやっています)

お腹(重心)を意識して持とうと思うと、すこし持つ場所が自分に近寄ったことがわかりますか。自分より遠い場所だと力をつたえるのが難しいので、お腹を意識すると自然とからだの中心がお茶に寄ってきます。お腹から寄っていくとしっかり持てますので、危ない時は(手を)そえてください。

今度はこれを、だれかに出す、お茶を出す所作をやってみましょう。湯呑を置いてみてください。(映像では、子どもが、湯呑を置く実演をやっています)

今のように直線で持ってって、直線で置くと、ガシャンガシャンとあたって物が壊れてしまうかもしれないし、中のものがこぼれてしまうかもしれません。

日本の所作と言われるものの一番大事なことは、相手にイヤな思いをさせないということです。

チェック「所作で大事なことは、相手にイヤな思いをさせないこと」

お茶を乱暴に出されたらどう思いますか。(映像では、子どもの前に、湯呑をガチャンと置いています)
驚きませんか。

ですので、物を大事にして、相手にイヤな思いをさせない。という気持ちが大事になってきます。お茶を持ってみてください。(映像では、子どもと一緒に湯呑を持つ実演をしています)

置くときに、お腹から持ってきてください。

チェック「お茶を出すときは お腹から持ってくる」

今度は、こうやった時に(映像では手をのばしています)
たもとが何かにひっかかったりしたら大変ですので、たもとも持ってください。

たもとを持つときに右手は右手、左手は左手と別々にすると動きが直線的になって、キレイではありません。キレイに見せるには、お腹から動いて、たもとを持って、そっと持って、お腹から持ちあげます。

お腹から前に、上からそうっとなると、直線の動きの場合、途中でとめることが難しいですよね。(映像では実演しています)

ですが、上から曲線をえがいてくると、ここで(湯呑を机に置く時)、ちゃんと加減ができることがとても大事になってきます。飲んだフリをしてみてください。(映像では、子どもが湯呑を持ち上げ、お茶を飲んで、湯呑を置く実演を行っています)

置くときも、ちゃんと音を立てないように、お腹の中心から持っていってください。飲んだら、お腹の中心から寄せていき、そっと置く。そうするとキレイな作法になるから、やってみてくださいね。

まとめ:所作がキレイに見える方法
<からだの中心から動かす>
<曲線をえがきながら動かす>


こども日本舞踊教室は
『実技 日本舞踊の基礎』花柳千代先生著を参照させて頂いております。

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