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簡単に文書内を移動できるPDFファイル(しおり付き)を作成するには

PDF Epertを使うのはアウトライン編集のため

 PDF Epertというメタ編集向きの編集ツールがあります。このツールは私が日常使いするには複雑過ぎますが、PDF使いの間では一定の評価を得ているツールです。[ファイル]アプリ+PDF Viewerを愛用している私としては、いろいろと機能が被るので、PDF閲覧にはたまにしか使いません。


 私がPDF Epertを使うのは、PDFファイルに「アウトライン」を作ったり編集したりする時です。アウトラインはPDF Viewerでは表示することしかできません。GoodNotesでも表示できますが、編集できません。私がまだ知らないだけなのかもしれませんが、PDFファイルのアウトラインを編集できるのはiPadではPDF Epertしかありません。
 そこで、PDFメタ編集を身上としている私にとって、閲覧しかできないアウトラインは役に立たないので、iPadでPDFのアウトラインを編集するときはPDF Epert一択だったのです。

 さて、PDFのアウトラインというのは文書の構造を知るのに便利なだけでなく、その各項目をタップ(パソコンならクリック)すると文書の中の項目の位置に即移動できるので、「簡単に文書内を移動できる」一覧として利用できます。
 実際にはPDFファイルの文書に見出しと本文があるときに、その見出しだけを集めたものがアウトラインの正体であり、電子書籍を閲覧するApple謹製のアプリ「Apple Books」(以前の名前はiBooks)では「目次」として利用されています。

PDFファイルにはフォントのアウトラインもある

 「それってブックマークなのでは」と思われる人もいるかもしれませんが(私も最初はそう思いましたが)、PDFファイルには「ブックマーク」という機能が別にありますから、参照先を系統立てて集めて目次のように見出しを集めたものがアウトラインであると考えてもよいと思います。

 また、PDFファイルにはアウトラインフォントが使われているので、ネット検索で「PDF」「アウトライン」で調べると、アウトラインフォントに関する情報の方がよく引っかかって来たりします。検索して出てくる情報の限定され具合に「構造化文書のアウトラインというのは、まだまだマイナー扱いなのだなぁ」と思ったりもしましたが、「アウトライン」がフォント関連の話でもあったように、他のPDF編集ツールでは違う名前で呼ばれているのでは、とネット検索しているうちに気付かされました。

 私のようにiPadでPDFファイルをメタ編集していると、Adobe Acrobat Reader含めて、Adobe製品を日頃もあまり使う機会がありません。一方、たまにPCしかない仕事先でPDFファイルを閲覧するとなると、PC版PDF Epertは有料ですし、そこは閲覧だけしかできなくても無料のAdobe Acrobat Readerを使うしかなくなることは多いと思います。

 iPhone・iPadでは Acrobat Readerの代わりに利用できるPDF閲覧・編集ツールが数多くありますし、Adobe製品は何かと有料だし、作法も何かとiPhone・iPadとは違っています。

アウトラインではなく「PDFのしおり」で調べてわかったこと

 そんなこんなで無料の「Adobe Readerを始めとするPDFリーダー」さえ使っていなかったので、PDF Expert用語の「アウトライン」をそのまま使っていましたが、ふとAdobe Acrobat Readerではどうなっているかと、見てみると「PDFのしおり」となっていました。そこで、もしかすると「アウトライン」だけを追っかけていて情報が偏っていたかもしれないと、ここ数年の遅れを取り戻すべく「PDFのしおり」で検索してみると、いろいろ最新情報がわかってきました。

 まあPDFの仕様に関しては、Adobeの翻訳調の解説は、やはり印刷の専門家を相手にしているせいか、かゆいところに手が届かない感じで、今ひとつわかりにくいし、結局は有料のAdobe製品を買わないとPDF編集ができないみたいに書かれていることが多かったりします(結局、無料なのはリーダーだけだったりする)。

 そこで、日頃はAdobe製品に頼らず(PhotoshopやIllustratorは別格ですが)にPDFファイルを利用しているMac&iPadユーザーが精読に値するのが、以前からWindowsプラットフォームでPDF製品を販売しているアンテナハウスのサイトだったりします。「えっ?Windowsのツールの解説を読むの?」と思われるかもしれませんが、たとえ日常的な慣れの中で使うのが良しとされるWindows・PCであっても、そこはPDF関連の話ですからMac&iPadユーザーにも他山の石として勉強になることが多いのです。

「PDFのしおり」ってどうやって作るの?

 アンテナハウスのサイトでは、最近はPDFの啓蒙活動に力を入れていて、いろいろなPDFの参考資料が豊富に公開されています。「PDFのしおり」を作るその名も『アウトライナー』という製品も開発・販売されているので、当然といえば当然なのかもしれませんが、わかりやすい日本語で解説されています。

紙に印刷するためのPDFではしおりは意味がありませんので、ISO 32000では、しおりはPDFの必須機能ではなくオプション機能とされています。そのためか、インターネットなどで配布されているPDFファイルにはしおりが用意されていないものも数多くあります。また、ISO 32000ではPDFリーダーはしおりを表示しても良い、と規定されています。つまり、しおりを表示しないPDFリーダーでもISO 32000準拠を主張できます。

こうして以前はしおりを表示できないネット環境もありましたが、最近提供されているPDFリーダーの多くは、タブレット用(アップルのiBooks リーダー(V4.1.1で確認)など)や、Webブラウザに組み込まれたPDFリーダーでもPDFにしおりが設定されていれば、しおり画面を表示できるようになっています。ページ数の多いPDFをインターネットなどで配布するときは、しおりを付けることを標準とすべき準備は整っているといえます。

 そんなアンテナハウスの記事の中でも「PDF作成時にしおりを付ける方法」という項目に、「「名前を付けて保存」でPDF作成時にしおりを自動的に作る」」というのがありました。
 「そうか。スタイルを使って目次を作れば、しおりが作れるのか」と、これまでPDF Epertでちまちまとしおりを作っていた私は我が意を得たのでした(続く)。


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