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クロノタイプと社会的時差ボケに要注意

こんばんわ。

世界一睡眠時間が短いと言われ、一般成人の5人に1人が睡眠障害を抱えると言われる日本人ですが、一昨日、昨日と、少しでもグッスリと眠れる人が増えればと、睡眠に関する内容について書いております。

そして、本日は「クロノタイプ」と近年問題視されている「社会的ジェットラグ(時差ボケ)」について、綴っていきますね。

睡眠に遺伝的なタイプがあることを知り、社会的ジェットラグをなるべく起こさない様に日々を過ごせると良いですね

体内時計と睡眠の関係

 私達が「眠る時間」と「起きている時間」。言い換えると「睡眠」と「覚醒」をどの様に決めているかというと、「サーカディアンリズム」と呼ばれる、体内にある24時間時計によるものと、睡眠の欲求の強さを「睡眠圧」と言い、脳内に蓄積されていく化学物質の影響によります。

 よく、「朝起きたらカーテンを開けて、太陽の光を浴びましょう」なんて言われたりするかと思いますが、私達の体内時計は、ピッタリ24時間という訳では無く、個体差があり、だいたい24時間くらいの為、日々生活を送る中でズレが生じてきます。

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そうした体内時計のズレを、朝に太陽の光を浴びることでリセット出来るんですね。その為、朝起きてはいるけれど、カーテンを開けずに暗い部屋の中でスマホをいじりながら、ベッドでゴロゴロしていると、本当の意味で起きた事にはなりませんので、太陽光を浴びたり、明るいライトを付けたり、立ち上がって1日のスイッチを入れる事が大切です。

そして、こうした体内時計は、全身の細胞に備わっていますが、全体をコントロールするのが、眼球から繋がる神経である視神経が交差をする、「視交叉上角」という場所に、マスタークロックと呼ばれる基準時計があり、目から送られてくる光の情報を元に、調整しています。

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またそれ以外にも、食事や運動および仕事やコミュニケーションなどの活動、体温の変化の変化などによっても、調整されています。

 通常は夜になり、暗くなると、体内時計の働きにより、前回お話した睡眠ホルモンのメラトニンが分泌をされ、このメラトニンの増加が、眠たくなる1つの要因と考えられています。

朝型、夜型の睡眠タイプ

 こうした24時間時計は皆が持っているものの、遺伝による個体差であるクロノタイプの違いであることが分かってきています。

 例えば、朝太陽が昇ると同時に覚醒し、夜早い時間に眠くなる「朝型」タイプの方や、昼くらいに起きてきて、夜遅くに眠たくなる「夜型」タイプの人。そして、その中間くらいのタイプの人。

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一説には、こうしたタイプの違いがある事によって、集団の中で全員が眠っている時間が短くなる為、敵に襲われる確率を下げる事が出来るとか、出来ないとか。たしかに、朝型タイプが寝ている間に夜型タイプが起きて見張りをし、夜型タイプが寝ている時に朝型タイプが見張りが出来れば、マンモスに襲われる確率は減りそうですよね。

 そして先述の様に、これらのタイプは遺伝によるものであるため、職場の同僚などに、何度言っても朝起きられない人がいたり、午前中はボーっとしている人がいたとしても、それは怠けている訳ではなく、クロノタイプの違いによるものです(副腎疲労の場合もありますが)ので、そうした理解を持つ事が、チームワークという観点からも重要かと考えられます。

また、世の中では、朝型がもてはやされる傾向にありますが、「夜型のタイプ」の方が、無理に朝型の生活をしようとすると、かえってパフォーマンスが下がる事も考えられますので、朝型に切り替えてみて上手くいかない時は、無理をしないのも1つです。

社会的ジェットラグに要注意

社会的ジェットラグという言葉は聞いた事ありますでしょうか?

ジェットラグとは、いわゆる「時差ボケ」のことで、一般的に時差ボケというと海外旅行を思い浮かべる場合がほとんどかと思います。

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社会的ジェットラグとは、個人のクロノタイプは夜型だけど、仕事や学校などは朝型に合わせた設計になっていることがほとんどの為、クロノタイプと社会時刻のズレによって引き起こされる心身の不調のことを言います。

例えば、平日は学校や仕事などがある為、朝7時に起きるけれど、クロノタイプは夜型の為、休日は12時頃に起きるなどの生活をしていると、時差ボケの様な状態になってしまい、月曜日に身体がダルイと感じたり、疲労感が抜けなかったりします。また、食行動の影響やそれに伴う肥満などを引き起こしやすい事も考えられます。

Social Jetlag, Eating Behaviours, and Body Mass Index among Adolescents in the United States

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7554217/

上記はアメリカの青年に対する研究ですが、社会的ジェットラグによって不健康な食行動を引き起こしやすい事などが示唆されています。

多様性が尊重される現代においても、学校や仕事などは朝型に合わせたものが多いですからね。

自分で始業時間などが調整出来る方は、基本的には平日、休日に関わらず、なるべく同じ時間に起きるか、休日に少しゆっくり起きるとしても、1~2時間以内の範囲を目安に遅く起きる形がおススメです!

ブルーライト&LEDライトの睡眠への影響

夜遅くまでスマートフォンを使用している方が多くいますが、多くの方が耳にしたことがある様に、スマートフォンやLEDライトに含まれるブルーライトは、睡眠に影響を与えることが考えられます。

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以前は人工照明が体内時計に及ぼす影響は限定的と考えられていたが,
一般的な室内照度である 500~1,000 ルクス程度の人工照明でも,メラトニン分泌の抑制や位相後退を惹起することが明らかになっている.
また,光位相反応に関わるipRGCsは480 nm付近の短波長光(青色光,ブルーライト)に最も感受性が高い.逆に,長波長光(黄色~赤色光)
ではほとんど反応がみられない.そのため,光による体内時計,睡眠への影響は,暴露される光にどの程度ブルーライトが含有しているのかが大きな決定要因となる.最近主流のLED照明は従来の全波長型蛍光灯に比較してブルーライトが多く含まれているため,日々,長時間暴露することによって無視し得ない夜型化作用が蓄積するとされる.~日本内科学会雑誌 105 巻 9 号より~ https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/105/9/105_1675/_pdf

電気代などの観点から、最近ではLEDライトを使用されている方も増えているかと思いますが、電気代はリーズナブルになったけれど、夜になかなか寝付けなくなり、体調を崩してしまってはもったいないですからね。知った上で選択をすることが大切かなと。

そして、ものすごくシンプルですが、グッスリと眠る為には、夜は室内の明かりを少し暗めにしつつ、寝室にはスマートフォンやパソコンなどのデジタルデバイスを持ち込まないなど、先ずはやれそうなことから始めてみるのがおススメです。

自分に合わせた睡眠のコンディショニングを行っていきましょう!

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