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ワイドスクワットとケツトレ

こんにちは。
Instagramでこんな投稿を目にしました。
”ワイドスクワットでお尻を鍛える”

恐らく大殿筋を鍛える、というニュアンスでしたので
大殿筋にスポットを当てて考えてみたいと思います。

ワイドスクワットの足幅の定義ですが、今回はパワーラック幅と変わらないもしくはやや狭いスタンスを前提にしたいと思います。

投稿されている動画もその様な傾向が多く見られましたので。

大殿筋

まずは大殿筋の付着位置と作用についておさらいします。
筋が収縮した際の各関節の動き


https://shinngobass.com/%E5%A4%A7%E8%87%80%E7%AD%8B%E3%80%80%E5%9F%BA%E7%A4%8E/

起始・停止

起始:PIIS、後殿筋線、仙骨下部後面1/2外側、尾骨外側縁、仙結節靭帯
停止:上部繊維 大腿筋膜(腸脛靭帯に移り変わる)
   下部繊維 殿筋粗面

作用

股関節伸展、股関節※外旋、股関節外転(上部)、股関節内転(下部)
※股関節屈曲60°で内旋に切り替わる

一般的に作用通りの動きを行う事で筋肉は収縮
作用と反対の動きを行う事で筋肉は伸張します。

股関節の動き
https://nagomihime.blog.fc2.com/blog-entry-223.html

ワイドスクワット

大殿筋への負荷

スクワットにてしゃがむと股関節は屈曲します。
すなわち作用とは反対の動きが行われる事で、股関節伸展作用のある大殿筋は引き伸ばされ※エキセントリック負荷が強くかかります。

※筋肉が伸張される際に掛かる負荷
 反対はコンセントリック負荷

スクワットで大殿筋に与えられる負荷は
エキセントリック負荷(ストレッチ種目)である事が分かります。


股関節の動き

ワイドスクワットの姿勢を取ると股関節は
外転外旋した状態になります。

本来であれば作用通りの動きですので大殿筋はカチカチに収縮した状態であるはずです。

実際に姿勢を取って頂けると分かりますがプニプニです。
力なんて一つも入っていません。

何故でしょう。答えは地面によって他動的に近づけられている為です。

上腕二頭筋に置き換えて考えてみましょう。


重さに逆らうことで筋肉は収縮する

腕を体の横にぶら下げた状態で肘を曲げると二頭筋はカチカチに収縮します。重力という負荷に逆らい、負荷動きベクトルが一致する為です。

ところが他人に手首を持ってもらい、他動的に肘を曲げるとどうでしょう。
二頭筋は力むどころかプニプニです。

スクワットに話を戻すと
ワイドスクワット姿勢を取ると股関節は外転、外旋と作用と一致します。
しかし地面によって足が固定され、他動的に作用通りの動きを行っている為プニプニと言う訳です。

ヒップアダクターは別です。マシンの滑車により負荷の方向と動きのベクトルが一致し、トレーニングが成立します。

https://www.ifitness.shop/shopdetail/000000000257/matrix-for-gym/page1/order/

スクワットは大殿筋のストレッチ種目

しゃがみ股関節が屈曲する事で伸展作用のある大殿筋は引き伸ばされ鍛えられます。

しかし大殿筋自体は他動的に寄せられプニプニ状態ですので、引き伸ばしていくにはとても効率が良い状態とはかけ離れています。

ワイド幅に足幅を取ることで、他動的に筋肉が寄りプニプニになるという事は反対の足幅、いわゆる※ナロースタンスを取ることで大殿筋がパツパツに伸びた状態からスクワットを行う事が可能になり、より強いエキセントリック負荷を与える事が可能になります。

※骨盤幅程度&つま先正面とします

しかしこれには幾つか問題が


ナロースクワットのリスク

骨盤の形状を見てみましょう。

https://assemble-bc.com/trainingstretch/kotubanyugami/

さっくりと野球のホームベースのような形をしています。
股関節を屈曲、すなわち深く曲げる為には股関節を外転外旋させる必要があります。

僕らはこの動作を自然に行っています。
和式便器にて用を足す際や、ヤンキー座りを行う際です。

誰一人としてナロースタンス和式便器ナロースタンスヤンキー座りを行いません。当たり前ですがしゃがみ辛い、もしくは深くしゃがめない為です。

ナロースタンスで深くしゃがもうとすると
骨盤(画像:恥骨)大腿骨頭(画像:骨頭)が擦れ
股関節インピンジメントを引き起こします。

その為、深くしゃがむ際は股関節が外転外旋している必要があります。

ナロースタンススクワットはどうでしょう。
股関節は外転外旋しておらず深くしゃがむと骨盤と骨頭が擦れてしまいます。

擦れを生じさせまいと大腿骨(膝から骨盤)外旋しようとします。
ですが足の裏は地面に接した状態ですので下腿(膝から足首)固定されたままで膝とつま先の向きが一致しなくなります。

このとき大腿骨と下腿間に強い捻じれが生じ、膝を痛める原因に。
よってナロースタンススクワット基本的にはNGになります。

※大腿四頭筋や大殿筋への負荷はかなり強くなります。
フルまでしゃがまない、つま先の向き、目的に応じて行うのはアリです。


大殿筋に強いエキセントリック負荷を

ナロースタンスが最も強いエキセントリック負荷を与えられる事が分かります。しかし膝関節を深く曲げるのは怪我のリスクが伴います。

どうしたら良いでしょう。

そうです”デッドリフト”です。
ナロースタンスかつスクワットほど※膝を深く曲げる必要がないかつ膝に対し下からの負荷の掛かり方をしますので
より安全に大殿筋に強いエキセントリック負荷を与えられます。

※腕の長さや、肩甲骨外転コントロールにより差はある

またワンレッグでのスクワット”ブルガリアンスクワット”なども有効だと思います。

片足で行う事で捻じれを解消しやすい為です。


最後までご覧いただき、有難う御座います。
ここまで読んだ貴方の大殿筋は間違いなく発達する事でしょう。

ワイドスクワットが大殿筋に対して全く負荷を与えられない種目というつもりは御座いません。

例えばハムストリングスが固い人にとっては
骨盤が後傾する代償動作の発現が遅れる事で深くしゃがめますし。

下心丸出しのInstagramアカウントのフォローも獲得できますし。
知らんけど。


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