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第3回東大本番レベル模試 文系数学所感

総評:やや易
今回の文系数学は近年の東大二次試験と比較すると点を取りやすいセットでした。特に基礎的な解法が身についている人にとって、大問1~3は解答が作りやすかったのではないでしょうか。大問4は問題文が長いため理解するのに時間がかかり難しいと感じた人もいるでしょうが、何度か実験を行い定義を完全に理解すれば案外難問ではなかったでしょう。このような得点しやすい問題が多い場合は特に計算ミスに気をつけて欲しいです。大問1や大問2は計算ミスで完答を逃してしまった人が多いと思われます。検算するなどしてケアレスミスを減らしましょう。

第1問:易
(1)直線lが放物線Cと2点で交わる条件を考え、判別式を利用するところまでは多くの人がたどり着いたことでしょう。その後PQ×PR=5の条件を利用するために点Q、点Rを文字で表すという解法を思いついて欲しいところです。あとはお馴染みの「二次方程式の解と係数との関係」を用いて答えを導きましょう。
(2)放物線Cと直線lが2点で交わる条件を(1)で求めた傾きを利用して具体的に求めましょう。あとは式変形を行えば解答が導けます。この大問は基本的な内容がほとんどなので完答を狙って欲しいところです。

第2問:やや易
ガウス記号についての問題です。1度は見た事がある人や演習をこなした人も多いと思われ、設問に関しても難しいものは無かったので手をつけやすかったのでは無いでしょうか。逆に今まで1度も触れたことがない人にとってはなかなか難しい問題になったと思われます。
(1)ガウス記号の定義をいかにして利用するかが鍵です。与えられている条件はガウス記号の定義と方程式のみなので、定義を上手く利用しようという発想で解答するのは自然な流れと言えるでしょう。
(2)12x-36が整数となることからx=「整数」×1/12と表せることに気づけばあとは簡単だったと思われます。先程も述べた通り本問では経験の有無が差を生んだと思われます。ガウス記号について知らなかった人はよく復習してもらいたいです。また本問は解けたとしても、本番で新たに定義される初見の記号が登場する可能性はあります。その場合記号の定義をしっかりと理解しそれを上手く活用することが大切です。

第3問:標準
(1)基礎的な問題で絶対に落とせません。条件1からb,cをaで表し、条件2を二次方程式の解の配置問題に帰着させるだけです。ここでの解答の道筋を間違えた人や計算ミスをしてしまった人は要反省です。
(2)典型的な逆像法の問題です。逆像法に慣れている人は解答が作りやすかったと思います。しかし逆像法を利用する際に注意して欲しい点は同値関係を崩していないかです。同値関係を保ったまま最後まで解答を書き上げてもらいたいところです。また、後半の計算では2つの曲線の対称性を利用して計算量を減らしています。こうした工夫が解答時間の短縮と計算ミスの発生を防ぎます。少々難しいところですが対称性の利用は頻出ですので身につけておきましょう。
(3)(2)が出来ていればただの計算問題です。ミスをしないように気をつけましょう。

第4問:やや難
問題文が長いと問題自体が難しいと感じる人が多いのですが、そこはひとつ踏ん張って、問題文を読み込んで理解しましょう。この問題文もよく読めば理解は容易いと思います。このように見たことの無い定義が登場し問題が進む場合、その定義をしっかりと理解するためにわかりやすい数値で実験を行うことをお勧めします。実験を行うとより定義が理解しやすくなり、法則や規則が見えてくるものです。
(1)実験を繰り返すと分かることですが正の有理数の枝の一方は1より大、もう一方は1より小であることがわかります。ここから4つの有理数が異なることを示すときに、1より大きいもの同士の比較と1より小さいもの同士の比較のふたつの比較のみで処理できます。
(2)これは数学的帰納法を用いることが問題文中に書いてあるので易しい問題です。問題文に従って帰納法で処理すると簡単に証明することができます。(1)を落とした人もここはとって欲しい問題でした。このように前の設問が解けなくても後の設問が解けることがあるので、一つの設問が解けないからといって諦めることがないようにしましょう。
(3)この問題は少し難しいです。Snを考える時に(1) (2)を上手く利用できたかが鍵です。最終設問が難しい問題の場合、前の設問がヒントになっていることが多いので、前問が利用できるかどうかを積極的に考えて行きましょう。この問題の場合それを踏まえた上で、Anにおける対の要素からSnを考えていくとわかりやすいのですが、それ以降の発想は少し難しいかもしれません。しかし完答出来なくても部分点は狙える問題なので白紙は避けたいところです。

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