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第2回東大本番レベル模試 理系数学所感

総評:標準

受験生の8月に身についていると良い、様々な数学的考え方を問う問題群だったと思います。どれも本番では解けてほしい問題なので、解けなかった問題や解法が思いつかなかった問題は良く復習し、自分が使える道具にしていきましょう。

第1問:やや易

取りたい問題です。等差数列をなすという条件からf(α)+f(β)=2f(0)が立式できますが、この左辺には(α^n+β^n )の形が出てくる上に、基本対称式であるα+βおよびαβの値は導関数に解と係数の関係を適応することで簡単に手に入るので、後は計算するだけです。とはいえ計算ミスを起こしやすい問題でもあるので、細心の注意を払いましょう。

第2問:やや易

(1):最初に問題を見たときに「どこが直角なのかで3通りも場合分けしないとあかん」と思った方もいるとは思いますが、図形的な意味を考えると∠Cしか直角になり得ないということが分かります。いつも有効な手になるというわけではないですが、複素平面の問題では点の大まかな場所を考えたり書きながら解くと良いです。さて、∠Cが直角と分かれば、複素数のargを利用したりa+biと置いたりして、答えまで一直線にたどり着けたと思います。除外点の存在を忘れないように気をつけましょう。
(2):AB=4であることと(1)の結果よりzの値がすぐに求まります。計算も極めて単純なのでミスは避けたいです。

第3問:やや易

(1):数学的帰納法をやるだけです。この手の問題は1回前の状態からどう推移するかを考える癖がついていれば簡単でした。
(2):同じく数学的帰納法をやるだけです。
(3):前問の結果を利用すればPで考えればよいとわかりますね。前問の証明問題が分からなかったときでも、これらの結果だけを以降の問題で使うことは全く問題ありません。つまり、仮に(1)(2)の証明の答案が書けてなくても(3)から解き始めて良いということです。これは難しい問題が出たときに差が点いたりするので覚えておきましょう。
(4):漏れなくダブりなく足しましょう。これも計算ミスはしたくないです。

第4問:標準

(1):解答のようにM(A)=kとなる部分集合Aの個数を考えても良いですし、漸化式を立てるという目標のもと、I_(n-1)のすべての部分集合についてnを入れるか入れないかの2通りが生じると考えて漸化式を解いても良いです。いずれにせよ、どちらも少し難しい程度のシグマ計算/漸化式なので、解けなかった/解き方が分からなかった人は良く復習しておきましょう。
(2):直接考えてもできますが、解答のようにM(A)の総和を考えたほうが計算は簡単で速いと思います。

第5問:やや難

(1):増減表を書いてグラフを描くだけの基本問題なので、是非とも得点したいです。
(2):まず積分の形でS(a)の式を書き、その後微分をします。とはいえ微分に少し罠があり、uやvがaによって変化する変数であるということをしっかりと理解できていないと解説1のような大嘘の答案を書くことになってしまいます。なお、最初に積分を計算せずに積分の形で残したのは、d/dx∫_h(x)^g(x)f(t)dt=f(g(x))g'(x)-f(h(x))h'(x)という式を利用できるだからです。これをはじめ、合成関数の微分法は数Ⅲ微分の肝腎な部分の一つですから、あまりよく分かっていない人は復習しましょう。
(3):(2)が解けてなくても、(2)の結果を見れば2u=vのときに最小値をとることが分かりますね。あとは積分するだけ。

第6問:やや難

三角関数と整数を融合したような問題でした
(1):0<x<π/2におけるtan(x)の単調増加性、およびtanの加法定理を用いるだけの問題です。落とせません。
(2):この問題のメインパートです。整数問題は①素因数分解、②値を上から押さえる、③余りに注目などの手法で解けることが多いですが、今回は①と②を用いることでうまく絞り込むことができました。この問題のように大小関係があるものの総和や総積を考えるときに②がよく利用されるイメージがあります。例えば1/a+1/b+1/c=1/2 (a<b<c)を満たす自然数a,b,cを求めるときに、まずa=3,4,5,6だと絞り込みますよね。そういうことです。なお、別解ではa,b,c,dを一気に用いて条件式を立式してから絞り込んでいますが、やはり考える文字は少ない方が易しい&ミスしにくいですから、本番では解答のようにうまく絞っていくと良いと思います。

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