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第3回東大本番レベル模試 理系数学所感

総評:標準
煩雑な条件の議論、数学的帰納法、値の評価、複素数平面、立体図形、重い定積分といった重要事項が集まった6問だったと思います。また、第1問は骨があったり、第3問は見た目の割に取り組みやすかったりと、はじめに6問を概観することが重要でもありました。以上のことから、知識や演習が足りない分野が無いか、試験に戦略的に取り組めているか確かめる良い指標になるでしょう。

第1問:標準
(1)
まずは問題文をきちんと読み取りましょう。その後は、「aとPを固定→直線と放物線が異なる2点で交わる条件→PQ・PRの値→PQ・PR=5となる直線の傾き(aの必要条件も出てくる)→傾きを判別式に代入してPを動かし、(J)を満たすPが存在するか調べる」と自然な流れだと思います。なお、PQ,PRをx座標の差と直線の傾きから求める、二次方程式の解を文字でおいて最後に解と係数の関係で処理する、など計算を簡単に済ませる方法や、「○○を十分大きく取れば成り立つ」という議論にも慣れておきたいです。
(2)
考えている直線の傾きがPによらないというのが効いています。というのも、(1)で判別式から得た条件を見ると、P=(0,-a)の場合を考えれば十分だと簡単に分かって瞬殺できるのです。解説の2°のようにしてもいいですし、個人的には、「mとpを逆符号にすれば(2p-m)^2がp=0の場合より大きくなる」とするとスッキリしていると思います。「すべての○○に対して成り立つ」という問題で特別な○○の場合を調べると上手くいく、ということは結構見かけますので知っておくと良いでしょう。

第2問:やや易
(1)
模範解答では新たにθを設定していますが、(2)も含め、SをLの式で表して進めても大丈夫です。どちらの場合も「cosが正だから括りだしてtanだけの計算に持ち込む」というのがポイントになります。θもtanθも増加関数だからf(θ)は減少関数だとしてもいいですが、その後の議論に際してはf(θ)の連続性に触れておきたいですね。
(2)
模範解答では凸関数の性質を使っています。難易度の高い不等式の証明では重宝しますので慣れておきましょう。しかしこの方法が思いつかなくても、解説の3°のように計算して解くこともできます。tanπ/8は直角二等辺三角形と角の二等分線の性質から簡単に導ける上、平方根を0.1の精度で挟めば解けるので喰らいつく価値はありそうな問題でした。

第3問:易
(1)大小関係に気付けば簡単。
(2)問題文中に「数学的帰納法を使って」と明記してあるのですから嫌でも方針が立ちます。しかも論証を楽にするためか、示す命題をP_nなんて名付けてくれています。これも簡単。
(3)(2)が大ヒントになっています。A_nを互いに逆数の関係にあるペアで分けるというのは自然な発想ですね。また、(1)は重要です。集合を表す{}の中に同じ数が複数あっても、集合の要素としては1個と数えられるからです。

第4問:やや易
(1)素直にαを消して|β|=1に帰着させれば解けます。これは簡単。
(2)パラメーターが多い時は一つずつ動かすという定石通りに処理すれば大丈夫です。なお複素数の扱い方について、模範解答ではzの実部を表す式が出てきたところでzを実部と虚部に分解しています。むやみに(例えば(1)のはじめから)分解すると変数が増えて処理に困るだけなので、複素数のまま扱うことには慣れておきましょう。

第5問:やや難
(1)空間での回転は平面と違ってイメージしづらく、解きにくかったと思います。回転の前後で対応する三角形が合同になることから攻めていきましょう。二つのベクトルの大きさと内積それぞれで等式を立てると、それが二辺挟角相同に対応している、ということに気付くと模範解答の解き方に納得できるのではないでしょうか。
(2)(1)と同様に攻めれば解けます。また、3つのベクトルの移り先が分かったことを踏まえた解説の1°の発想は良く、4°の話にもつながっています。

第6問:標準
(1)図を書いて情報を整理すれば簡単ですね。
(2)座標を媒介変数表示し、置換積分を施して計算するという定番です。東大の積分計算は重いことが多く、日々の練習の成果が出ます。不安な人は今から少しずつこなしていきましょう。

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