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2024年1月20日、21日実施 最終東大本番レベル模試 スタッフによる所感【地理】


全体概観:やや易


 表やグラフの読み取りに関係なく基本知識だけで解答できる問題が多く、比較的点数がとりやすいセットだったのではないでしょうか。特に第1問と第2問設問Aは高得点を狙える問題でした。環境問題や高齢化社会、災害など時事的なテーマを扱った問題が多数出題されているのも特徴的でした。近年の東大でもそうした問題が出題されているので、知らなかった知識はしっかりと確認しておきましょう。

第1問


設問A:易
(1)炭素循環に関する基本的な問題です。地球温暖化と絡めて覚えておきましょう。
(2)Xがモルディブと分からなくても「サンゴ礁」「温暖化」というキーワードから正答したい問題です。
(3)北極周辺のトナカイが絶滅危機にあるという知識があるかを問う問題です。知らなかった人は覚えておきましょう。
(4)永久凍土が溶けると温室効果ガスのメタンが放出されるという基本知識を問う、確実に取りたい問題です。
(5)ヒートアイランド現象と都市型水害についての問題です。これも取りたいです。
設問B:やや易
(1)大規模火山噴火により気温が低下することがあります。コメ輸入自由化との関連も確認しておきましょう。
(2)ふたつの指定語句から考えると分かりやすい問題でした。2行にうまくまとめるのがやや難しかったかもしれません。模範解答を参考に論述力を磨きましょう。
(3)秋田と山形=日本海側や冬という条件から積雪を想起したいです。さらに高齢化、過疎化というキーワードを思いつけば完璧です。

第2問


設問A:やや易
(1)2007〜9年=リーマンショック、2020〜22年=新型コロナウイルスのパンデミックは基本知識です。
(2)急増したのはオーストラリアから中国だと気付きたい問題でした。
(3)LNGが重油より環境負荷が少ないということは基本知識として知っていて欲しいです。北欧というワードから酸性雨を思いつくのはやや難しいですが、高得点を狙うなら取りたい問題でした。
設問B:やや難
(1)NAに注目すると、cとdがアメリカと地続きのカナダとメキシコであることが分かります。aとbは合計に着目すれば判別可能です。cとdの判別がやや難しいですが、航空の割合が高い方が先進国だと判断できます。
(2)表が表すのは貨物輸送額であり、重量でないことに注意したいです。やや難しい問題でした。
(3)初見で正答するのはかなり難しい問題です。世界地図を思い浮かべながらスエズ運河、パナマ運河を利用した航路について確認しておきましょう。

第3問


設問A:標準
(1)イは原子力が、ウは風力が、エは地熱が特徴的な値となっているので判別しやすい問題でした。
(2)自然条件は風力の部分から比較的思いつきやすいですが、社会条件がやや難しいです。電力の需給差(表中の(a)-(b))が小さいことから道内で電力需給が完結していると考えられます。その理由として本州との送電容量が小さいことが挙げられます。
(3)ア=福島県はもともと原子力発電が多く分布していましたが、東日本大震災による福島第一原発の事故の影響で脱原発を図り、復興支援を兼ねてメガソーラーが多数建設されました。一方茨城県は晴天が多く平野が広がっているため太陽光発電の適地が多いと考えられます。
(4)表から地域的な不均衡とは地方で発電し大阪や埼玉、東京などの都市に送電していることだと読み取りましょう。
設問B:標準
(1)表3−3から第一次、第二次産業が多い農村地区だと判断できます。
(2)表3−2から旧A市、旧B町、旧D町では人口が減少しているのに、世帯数が増加しています。これらの地域は(1)の考察から都市部とその近郊と考えられます。こうした地域は周辺の農村部から単身世帯や核家族世帯が多く転入してきています。
(3)過疎化が進む農村地域ではインフラも老朽化しますが、改修できません。また、都市地区の旧A 市でも人口が減少していることから中心地の衰退も始まっていると考えられます。そのため、人口を中心地に集中させる取り組みがあります。こうした考え方はコンパクトシティーと呼ばれ、最近の地方行政のトレンドなので覚えておきましょう。

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