見出し画像

2024年1月20日、21日実施 最終東大本番レベル模試 スタッフによる所感【化学】


全体概観:標準


得点しやすい基本問題から、考える時間を取られる問題までバランスよく揃ったセットでした。受験学年の方については、第一問II、第二問、第三問Iを中心に解けていれば良いと思います。ただ、中には計算が煩雑なものもありますので丁寧に計算する時間がなければ飛ばすのも一つの戦略です。本番に向けて短い時間で高い点数が取れるよう調整していきましょう。高2以下の方については内容のインプットが追いついていない箇所もあるとは思いますので、解けたかどうかはあまり気にする必要はないでしょう。今後の勉強の指針として活用できるよう、問題自体を分析することが肝要です。

第1問


I
難易度:やや難
構造決定の大問は時間を取られがちです。もう1科目との時間配分を考え、ある程度考えたら見切りをつけることも必要です。今回の問題でいえばア、イ、ウを確実に拾い、他の大問を解いた後にその先を解く方が効率的かもしれません。
ア、イ:問題文前半の反応が理解できれば解けると思います。R1,R2,R3 を設問の化合物と対応させればできるのでここは得点したいところです。
ウ:CもDも問題文に製法が記載されています。これらの反応は覚えておくのが良いでしょう。
エ:それぞれの分子式と条件を整理し、C,D,Eの構造までは分かりますが、これらの化合物がどのように結合しているかを考えなければなりません。A,B共に塩基性溶液では加水分解後の化合物が二つであること、Eがヒドロキシ基を持つことに注目して、文章前半のアセタール反応を考えられると良いです。
エ、オ:Eのヒドロキシ基がいくつかあることに注目し、さらにDが異性化によりヒドロキシ基を生じることがわかるとBの構造も決まるかと思います。Bの構造がわかると、Gまた不斉炭素原子の数から立体異性体の数もわかります。

II
難易度:やや易
知っている高分子が多く解きやすかったのではないでしょうか。それぞれの化合物の分子量を求めるのがやや大変ですが、立式しやすい問題が多かったと思います。
カ:いずれも有名な反応です。
キ:基本問題です。平均分子量が大きければ末端は無視できます。
ク:図1-1の構造からそれぞれの物質量比がわかれば簡単です。
ケ:基本問題です。
コ:Pの分子量を計算することがやや大変ですが、それがわかると反応したスルホ基の物質量とナトリウムの物質量に関して等式を立てられます。

第2問


I:易
基本事項を理解していれば解ける問題が多かったと思います。ここを確実にとり、他の大問に考える時間を割きましょう。
ア:基本問題です。
イ:(式1)を利用すればわかります。
ウ:基本問題です。
エ:解けなかった方は金属錯イオンを復習しましょう。
オ:電池全体の質量が正極で反応した酸素の分だけ増えることに気付けば簡単です。

II:標準
きちんと問題文を読み、各金属の反応が暗記できていれば解きやすい問題だと思います。しかし、少しでも暗記に抜けがあると解けなくなってしまいますので不安な方はこの範囲をもう一度復習しておきましょう。
カ:SiO2は共有結合の結晶で溶けにくいですがフッ化水素酸には溶解します。
キ:イオンの分離において頻出の反応です。
ク:B,D,Hからそれぞれの質量がわかります。
コ:計算は少し大変ですが、問題はシンプルです。

第3問


I:やや易
それぞれの設問が独立していますし、見慣れない問題はなく解きやすかったと思います。ただ、ウのように立式はできるが計算が煩雑な問題は、配点があまり高くないことを踏まえ一度全ての問題に目を通してから解くのも良いでしょう。
ア:問題文からわかります。
イ:2通りの方法で密度を表せば比較的簡単に求められます。
ウ:求め方は基本ですが、計算が煩雑です。
エ:反応式が書ければわかります。
オ:あまり見ない問題ですが、それぞれの言葉の意味と単位が分かれば解答できます。今回は物質量だけが問題となっていますので1molあたりの量なのか、□あたりの物質量(mol)なのかが分かれば解答できますが、曖昧な方はこれを機に復習しましょう。

II:標準
平衡の問題としては比較的計算が少ない方ではありますが、それでもかなり作業量は多いです。時間があるならばきっちり解答してほしいところですが、もう一方の科目との時間の割合を考え解く問題を決めても良いでしょう。
カ:炭素に関して反応前後で質量保存則を立てます。
キ:物質量に関して変化量を求め平衡時の全圧を求めます。あとは圧平衡定数の定義に従って計算します。
ク:全ての炭素粉末が反応したとして求めた値が圧平衡定数より大きい時、未反応の炭素が残ります。
ケ:クと同じように計算し、今回は熱平衡定数以下であるため全ての炭素粉末が反応したとして体積を求めます。
コ:それぞれ平衡定数の式を立て、連立して解きます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?