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2024年8月実施 第2回東大本番レベル模試 スタッフによる所感【世界史】


全体概観:標準

全体的に至って標準的な問題レベルだと言えます。この時期にこの問題セットで高得点が取れているのであれば、自信を持っていいでしょう。ただそれができなかったとしても全く問題ありません。模試は自分の出来ないところを発見するためのものです。きちんと復習して足りないところを丁寧に補完していけば、必ず本番で戦えるだけの実力がつきます。焦らずに学習を進めましょう。

第1問:標準

今回の東大本番レベル模試も従来型の問題となりました。従来型であれ2023年度入試のような中論述×2であれ、複数の歴史的事象を比較的長い時代スパンで捉えて限られた字数でストーリーにしていくという作業は、求められる知識の水準こそ高くはありませんが慣れるまでかなり大変ですし時間もかかります。おそらくそろそろ通史は少なくとも一周している頃だと思われますので、早いところ定着を図っていきたいところです。私のおすすめは資料集の後ろの年表を、1世紀ごとにノートに写して力業で暗記するやり方です。早急に自分のやり方を確立しましょう。
今回はインドネシアとマレーシアについて、7世紀から18世紀における支配勢力の変遷とそれに伴う影響を経済・宗教の面を中心に記述せよという問題でした。近現代には言及しなくてもいいですし、指定語句も使い方に迷うようなものはほとんどない(せいぜいチョーラ朝くらい?)と思われるので、この時期でもそれなりの得点を見込めるのではないでしょうか。もしかすると学習がヨーロッパやアメリカ偏重になり、東南アジア・西アジアについての学習が疎かになっている人がいるかもしれませんが、東大では割と頻出です。この機会にしっかりと覚えましょう。
第一問はまずは政治、経済、宗教、社会、文化の5つの側面から眺めた上で、問題の要求に沿って解答をつくっていくというプロセスを辿ると分かりやすいかもしれません。自分なりの解答のつくりかたを確立しましょう。

第2問:標準

単語問題と1~4行程度の論述の組み合わせで構成される第2問も、求められる知識レベル自体はさほど高くありませんが必要十分な量の知識を簡潔にまとめる力が必要です。普段から教科書や資料集などを用いながら力を養っておきましょう。東大世界史第3問の解説もまとめ方の参考として非常に有用です。

(1)

aは間違えてはいけません。bはなんとなくわかっていても、改めて説明するとなるとやや厄介かもしれません。百済と結ぶことで朝鮮半島に影響力を持ち続けたかった、ということは最低限書きたいです。cはやや難しそうです。登場する単語も難易度が高めですね。新羅のあとに朝鮮半島を統一した高麗、李氏朝鮮の制度や文化についても学習しておきましょう。意外と出題されます。

(2)

aは軍事同盟です。経済同盟であるハンザ同盟とは性格が異なります。bはそのハンザ同盟に対抗してつくられたカルマル同盟についての問題。文字数に余裕があれば、個人的には“ハンザ同盟への対抗”という内容を入れたいところです。

(3)

aについて、ABCは年号を手掛かりになんとか当てておきたいところ。そこで分からなくても“対立→提携”というヒントで論述はできるはずです。bは問題文が完全に誘導なので、そこに知識をくっつけてあげればよいだけです。WW1勃発に至る経緯は基本的な事項ですから、ここはしっかりと取っておきたいところです。

第3問:標準

もう8月ですのでこの大問はなるべく全部取りたいところ。東大の第3問で問われる単語レベルは概ね教科書レベルです。第1問も第3問も配点は同じ20点。本番では必ず満点を取れるように暗記にもきちんと取り組んでください。

(2)

諸子百家は頻出な印象があります。学派から人物、主張まできちんと対応させて覚えましょう。

(3)

ちょっと難しいかもですが、最古の修道会であるベネディクト会を覚えていれば導き出せるのではないでしょうか。

(4)

インドの王朝は個人的には覚えるのが大変かと思いますが、順番・時期を含めてきちんと覚えておきましょう。

(7)

インドの首都がデリーに移る経緯とタイミングを説明できますか?

(10)

第1問や第2問ではあまり出なそうなので暗記が追い付いていないかもしれませんが、世界史知識としては基本的な部類です。きちんと対処しましょう。


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